第19章 15話
結論からいうとモンスタードールズのゲリュオン合体からの雷鳥は見事に発動できた。しばらくはすぐに魔力切れを起こしてしまうようなので魔力回復薬をぐびぐびと飲みながら頑張ってもらっている。
「雷鳥凄いよ! 気づいたらレベルが上がっているのがまた嬉しいよねっ! ちょっとお腹が魔力回復薬でタプタプだけど、これで半日はのんびり寛げるとか最高かよっ!」
ワイバーンもあっという間にレベルが上がっていきダンジョン内は逃げ惑うガルーダで大混乱だ。何とか隠れようとするガルーダの後ろからはゴーストが接近して体力を奪っていく。すでに余裕をもって管理できているような気がしてきた。
「タカシ、このワイバーンはボスモンスター級の力がないか? あと少しレベルが上がったらワイバーンだけで『大阪ダンジョン』を管理できそうな気がするのだが」
「大柄だから、ワイバーンだけだと大量のガルーダが来たら入口を抜けられそうなんだよね。適度にゴースト達や雷鳥さんに数を減らしたり弱らせたりしてもらわないとまだ安心できないかな」
「見事なものだな。ダンジョンモンスターの組み合わせというのも面白い考えかもしれないな」
「そうだね。リリアさんのダンジョンだとウィッチと上手くハマる組み合わせがあったら難易度の高い階層が出来そうな気がするよね」
自分で言葉にしてみて嫌だなと思ったのだから相当手強い階層が造れそうな気がする。
「ウィッチは特異魔法もあるし、汎用性が高いモンスターであるからな。今までは階層ありきでモンスターの配置をしていたが、組み合わせで考えるというのも面白いかもしれん。参考にさせてもらおう」
「明日にはいったんダンジョンに戻るんですよね。『佐賀ダンジョン』にお土産を用意しているのでガルフに渡すように伝えてください」
「了解した。それにしてもガルフがミサキをねぇ。面白いものだな。昨日の敵は今日の愛する人になるというのか。私も同じようなものだがな……」
「ん? 何か言った?」
「い、いや、何でもない。ドロシーのこと、よろしく頼むぞ!」
「会えることがあったらね。リリアさんの仲間なら協力したいところだからね、じゃあ、僕たちもそろそろ戻ろうかな」
「他のダンジョンのボスモンスター達を待たないのか?」
「うん。ここはもうモンスタードールズ達三人に任せているからね」
「そういえば、一緒に来ていた水の精霊はもうレベルアップはいいのか?」
ウンディーネは僕と一緒のテントで休んでいて、今もまだぐっすりと眠っている。もうレベルが上がらなくなっていることを理解しているようだ。『大阪ダンジョン』にガルーダメイジが多くいたらもう少し伸ばせたかもしれないけど、ガルーダメイジは全て『千葉ダンジョン』で討伐してしまったからね。
「前半頑張って飛ばし過ぎたようでここ数日はもうレベルが上がらなくなってしまったようなんだ」
「さすがはタカシのボスモンスターの一角であるな。雷鳥魔法のアシストがあったとはいえ凄まじい」
ウンディーネのレベルは23でストップしている。やはり20を超えてからの伸びは鈍くて、ここらあたりが限界なのだと思う。更にレベルを上げるには別の方法を考えないとならないかもしれない。
今パッと頭に浮かんでいるのは『ペナンダンジョン』のブラック系モンスターだろうか。とはいえ、他のダンジョンマスターやボスモンスター達がレベル20を超えて来るのはまだまだ先のように思える。結構頑張っていたリタちゃんですらまだレベル10に届いてないのだからね。
「私からもミサキにも軽く話をしてみよう。近隣のダンジョン同士仲良くなるに越したことはない。ヒト型のガルフもなかなか良い男だと思うしな。少しでも可能性があるのなら応援したい」
部下のボスモンスターの恋路を応援できるダンジョンマスター。僕の場合だと、例えばヨルムンガンドちゃんがリタちゃんのことを好きになったら応援できるのだろうか。
対象の年齢が低すぎて、どうでもいい感じになってしまったな……。そういえば新魔法の特訓をするとか言ってたっけ。上昇思考の強い五歳児なだけに、そういう意味では僕も応援してあげたい。
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