第19章 13話
空に浮かぶ島かぁ。そんなところにダンジョン出来たらどうやって侵入者を呼び込めばいいんだろうね。とはいっても、僕が第二世界に行くというのは考えにくい。ドロシーさんがポイントをクリアしていたら会えるのかな。
さて、僕はサクラちゃんに魔法を教えないとね。自分が楽をするためだ。全身全霊をもって教えこもうではないか。サクラちゃんも魔法のことになるとちょっと頭のネジが緩い子になるからね。多少強引な教え方でも付き合ってくれるだろう。
「タカシ殿、もう吸血は終了でございますか?」
「あっ、うん。やっぱりレベルが上がった影響があるのかもしれませんね。リリアさん割りとすぐにダウンしてしまいました」
テントを出ると少し離れたところにカールさんが立っていた。
「やはりですか。これはまたスキルレベルが上がっているかもしれませんね」
「力に成れたなら嬉しいです。念のため回復魔法はかけておきました。私はまたダンジョンに入りますので後はよろしくお願いします」
「はい、かしこまりました」
すると遠くからヘリコプターの音が近づいている。方角的にも、どうやら『熊本ダンジョン』からゴースト達が到着したのだろう。ヘリコプターがなかなか降りてこないでいると、ハッチが開きウィッチの婆さんがいっぱいパンモロしながら降ってきた。その強気に見せてくるスタイル相変わらずエゲつないな。
「どっかで見た顔だと思ったらリリア様のコレじゃないかい」
小指をくるくる回しながら、わざと着陸せずに五メートル上空キープしながら続けられるパンモロ。新手の精神攻撃かよ。嫌がらせにも程がある。
「は、早く降りてきなよ」
「わしらはまたダンジョンに戻るのでな、ゴースト達を出したらすぐに戻るのじゃ。闇の門!」
そう言うとウィッチの婆さん達はパンモロさせながら次々にゴースト達を取り出していく。ピンク、イエロー、ブルー、レッド、ブラック。どの婆さんも色かぶりがない徹底ぶりだ。これはもう狙ってやってるとしか思えないよね。それにしても結構の量のゴーストを出しているな……。意外に容量が大きいのか。
「ちょっとお願いがあるんだけど聞いてもらってもいいかな」
「おさわりはお金が発生することになるぞい」
「さわらねぇーよ!!」
いかん、いかん、奴らのペースに乗せられてはいけない。冷静になれ落ち着くんだ。
「少しなら構わんけどなぁ……」
そう言いながらパンツのゴムをパッシン、パッシン弾いている。こんな嫌な音がこの世界にあるとは思わなかったよ。
「チラチラみせないでいいからっ! それで、出来たらお願いしたいんだけど『千葉ダンジョン』に行って、うちの『ワイバーン』を連れてきてくれないかな?」
「別にいいけど、食べられない?」
「大丈夫。ちゃんと話はしておくから安心して」
「そうか、じゃあ貸し一つということで引き受けてやろう」
「貸しって、一応聞くけど何をお願いするつもり?」
「そうじゃな。お主の血を少し分けてもらいたい」
「す、吸うのはダメだよ」
「ウィッチは吸血鬼じゃないから吸わんよ。そうじゃなコップ半分ももらえれば十分じゃ。お主の血はかなり高濃度の魔力が含まれているようじゃからの。研究に使わせてもらいたいのじゃ」
「研究ね。ちなみに何の研究してるの?」
「若返りと体の美補正をする重力系の魔法じゃ。一応、リリア様からも十分に研究するように言われておるので、我らの欲求だけではないことを伝えておこう」
「そ、そうなんだ。まぁいいや。そういうことなら、血はちゃんと用意しておくから『ワイバーン』連れてきてよ」
「おー、血を分けてくれるか! 有り難いのお。お礼にパンチラフラッシュを……」
「いらんわっ!!」
「そ、そうか、残念じゃの。じゃあ『千葉ダンジョン』に行ってくるか」
「よろしくね」
ティアにメッセージを送っておこう。
『ワイバーン』と大量の『ゴースト』が来ることで『大阪ダンジョン』運営はかなり目途が立ってくる。
残り一週間はサクラちゃんの訓練に費やそうじゃないか。僕が雷鳥さんを出したのはレベル50前後だったっけ。そう考えるとまだまだ厳しそうには思えるけど、元々の魔法の素質みたいなのはかなり高いもんねサクラちゃん。『魔力操作』スキルもいち早くレベル2になったし、ここは頑張ってもらおうか。
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