第19章 9話
夕方を迎える頃には『新潟ダンジョン』からサクラちゃんと勇者君。そして『千葉ダンジョン』からは無事ピースケが到着していた。今は少し大きめのテントを使って今後の打ち合わせをしているところだ。『熊本ダンジョン』からはリリアさんとカールさんに同席してもらっている。
「それで、タカシよ。我々は残りの一週間、ここを封鎖しておればよいのだな。といっても、タカシと水の精霊、サクラまでいるのだから楽そうではあるな」
「僕からの提案としては、新人さんを含むダンジョンマスターのボスモンスターのレベルアップと入口封鎖を兼ねてローテーションしていこうと思っているんだ。『熊本ダンジョン』、『新潟ダンジョン』が指導している新人のボスモンスター、『静岡ダンジョン』、『山形ダンジョン』といった感じで一週間ごとの持ち回りにしたいんだけどどうかな」
「師匠、質問っ!」
「何かな、サクラちゃん?」
「私はそう何度もダンジョンを出ることが出来ない。次に戻ってからまた出るには相当ダンジョンポイントを貯めないとならない。リリアさんだって、何度も外出するのは流石に難しいと思うんだよね」
「確かにそうであるな。まだポイントに余裕はあるとはいえ、何度も外出できるものではない」
「そうだね。出来ればサクラちゃんにはしばらくの間『大阪ダンジョン』に滞在してもらいたい。みんなが運用に慣れるまでの期間で構わないんだけどお願いできるかな?」
「タ、タカシもここに滞在するのか? そうであるのなら私もしばらく滞在して構わないぞ。居住環境もかなり改善しているしの」
「リリアさん、僕はここにずっと滞在する予定はないんだ。もちろん、この一週間はいるつもりだけどね。『大阪ダンジョン』は、あくまでも新人マスターやボスモンスターのレベルアップ場所として考えてるから運用する人たちで管理してもらいたいと思っている」
「そ、そうか……」
「師匠、新人ダンジョンのボスモンスターだけだとまだ10万の『ガルーダ』相手は大変だよね。というかやられかねない。私の役割は、みんなのレベルが上がるまでのフォローって感じかな?」
「理解が早くて助かるよサクラちゃん。入口を封鎖するだけなら在日米軍や特侵隊に任せておけばいいかと思うんだけど、ダンジョンの中で討伐をするとなると話は別だからね。ずっと張り付いてもらうのも大変だと思うから、サクラちゃんには雷属性の中級魔法を覚えてもらいたい。この一週間は魔法訓練ね」
「おぉー、久し振りの訓練だね師匠! 了解だよ。訓練中はその賢者の杖を借りるからよろしくね」
「ふむ。レベルアップの補助ということか。リタもまだまだレベルアップさせる必要がある。タカシ、よかったらうちのダンジョンモンスターを『大阪ダンジョン』に派遣しようか?」
「本当ですか! それはありがたい。実はうちのダンジョンモンスターの派遣も考えていたんです。『ガルーダ』は飛行型のモンスターなので、『千葉ダンジョン』からは『ワイバーン』5体に来てもらうつもりです」
「飛行型か。それであれば、うちからは『ウィッチ』を派遣しよう。箒に乗って空中を移動できるからの」
婆さん軍団だと……。むやみやたらにみせるパンチラいやパンモロ。人を逆なでさせる陰湿な性格。やつらが『大阪ダンジョン』にいたらここに遊びに来るのがとても億劫になるではないか。
「却下、リリアさんここは『ゴースト』でお願いできませんか? 彼らなら上手く『ガルーダ』の力をドレインタッチしながら弱らせることも可能だと思うんです」
「おー、なるほど、それは適任であるな。ではそうするか。『熊本ダンジョン』は『ゴースト』1000体を派遣させよう。サクラ殿、レベルが上がるまで『ゴースト』達のフォローを頼めるであろうか?」
「もちろんだよ。任せて!」
「タカシ、すまぬがあのうるさい輸送機を『熊本ダンジョン』に回すように手配頼む」
「もちろんです。すぐに手配させますね」
これである程度の枠組みが完成したかな。あとは、あの討伐アイテムか……。
「ピースケどう? その討伐アイテム何かわかった?」
「そうっすね。この『風属性の羽』は複合アイテムっす。10枚揃うと『風の羽』というアイテムになるっすよ」
なんだそのチョコボール的なものは。銀のエンゼル的なものか。金のエンゼル的なものはないのか?
「ないっす!」
「いや、何も言ってないんだけどね!」
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