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第19章 1話

 数日振りに『千葉ダンジョン』へ戻ってくるとスマホのメッセージに複数の連絡が入っていた。一つはアイシャちゃんからで、お礼の連絡とマレーシア政府との状況についての報告だった。とりあえずは、洞窟の拡張工事が始まったようで、順次、屠殺も行われているためポイントに困るようなことはないとのことだった。


 そうそう、『海(闇夜)』という階層とその階層で召喚された『ブラックシャーク』についてだが、ダンジョン協会でも興味深い案件として調べ始めている。


 『ダンジョンとパラレルワールドについての研究』をしているガズズ氏の見解によるとおそらくダンジョンポイントを容易に貯めさせないための機能が発動しているのではないかということだった。


「ダンジョンとは外部の敵を飲み込んで成長していく生き物とも言える。そして、命のやり取りをする緊張感の中でスキルや魔法、ダンジョンモンスターを成長させていく。マスターとダンジョンの関係性については共存共栄という生存目的があるはずなのだが、外部の敵と仲良くしながら楽にポイントを稼ぐというのは本意ではない可能性があるのではないだろうか」


「ダンジョンの意志ですか。つまり、外から敵が来ないなら、ダンジョン内に敵を生み出そうとしているってことですか?」


「あくまでも可能性の話だがね。そう考えるとしっくりくる。緊張感の中でこそ生まれるものが多いのは事実であるからの。魔操殿、マスターに忠誠を誓わないダンジョンモンスターなんて初めてである。あのダンジョンには注意した方がよいであろう」


 といったやり取りがこちらの世界に戻ってくる前にあった。ダンジョンの意志とか言われてもちょっとよくわからない。ダンジョンと話したことないしね。とりあえず、アイシャちゃんへの返事としては特殊な階層についてはしばらくは造らないようにしましょうという連絡をしておいた。もちろん、『ブラックシャーク』についてもリノちゃんが立ち会うことを条件にしてもらっている。


 次にスマホのメッセージを見ていくと『熊本ダンジョン』のリリアさんからだった。相変わらずメッセージの文章と本人のイメージが一致しない。


『ハロー、愛しのタカシきゅん。いつも元気なリリアちゃんです。今日は相談というか、ちょっとお話したいなぁって思ってることがあるの。ほらっ、最近ご無沙汰じゃない? 久し振りにどう? 大阪ダンジョンで会いましょ。そんなに待てないんだからねっ! 追伸、最近リタが弟を欲しいとか言ってるの。困ったわ、どうしましょう?』


 どうやら『大阪ダンジョン』の今後の運営について話があるから早く来なさい。あと、そろそろ血を吸わせてもらう時期なんじゃないの? まさか忘れた訳ではないでしょうね的なメッセージだったんじゃないかと思う。弟ね……来ないならボスチケットぐらい寄越しなさいということだろうか……。ボスチケットは僕だって欲しいんだけど、誰かそろそろ新しい取得情報とか見つけてくれないかな。


 ということで、いろいろ言いたいことはあるんだけど、今週は大阪出張になりそうなのだ。10億ポイント達成してから途端に忙しくなってきてるんだけど、一体どういうことだってば。普通はクリアとかしたら、しばらくのんびり出来るんじゃないのかな。


「タカシさん、大阪へは新幹線で行かれるんですか?」


「在日米軍にお願いして輸送用ヘリをチャーターする予定だよ。早いし便利だもんね。レイコさん、悪いけどアレックス准将に連絡しておいてもらえるかな?」


「確かに楽ですからね。了解しました」


 今回、大阪へ行くのは僕とウンディーネだけだ。他のみんなはガルーダを倒したところで、そうそうレベルアップとかしないと思うし、なんかリリアさんに血を吸われているところを見せるのも何だかなぁと思ったわけで。一応、男性枠のヨルムンガンドちゃんを誘ったんだけど意外なことに断られてしまった。


「少し必殺技の訓練をしようと思ってんだよ。レイコとレヴィにも手伝ってもらうからよ。のんびり大阪に行っていいぞ」


「そ、そう。ところで、ヨルムンガンドちゃんの必殺技ってどんなやつなの?」


「知りてぇか? まだ秘密だ。完成するまで待ってろ。驚かせてやるからよ」


「じゃあ楽しみにしてるよ。レイコさんとレヴィがいるから大丈夫だとは思うけど無理して怪我とかしないようにね」


 ということで、ウンディーネのレベルアップと今後の『大阪ダンジョン』の運用に関して打ち合わせをしてこよう。

5月24日に集英社ダッシュエックス文庫より発売となります。

お楽しみ頂けたら嬉しいです!

しばらく毎日更新予定です。

引き続きWebの方もよろしくお願いします。

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