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第2章 13話

 その日夕方の記者会見で佐野総理からダンジョンについての説明が行われた。


 「えー、本日午後二時に二つあるダンジョンのうちの一つ『山梨ダンジョン』の攻略に成功しました。しかし残念ながらこの探索に於いても、また5名もの隊員が犠牲となったことも併せてご報告いたします」


 記者団がざわついた。


 昨日50名の殉職を発表したばかりなので、さすがに驚きがあったのだ。


 「詳細については機密事項となるため伏せさせていただきますが、お話しできる範囲でご説明させていただきたいと思います」


 「まず、『山梨ダンジョン』ですが完全に安全となった訳ではありません。どういうことかと言いますとダンジョンのモンスターは一定の時間で再出現することがわかりました」


 「総理、モンスターはダンジョンの外に出てこないのでしょうか?」


 「個別の質問は控えてほしいが、まぁいい。モンスターの生態は調査中ですが、好んで外に出てくることはないと聞いています。また、警察が入口を封鎖しているため一般市民に危険が及ぶことはありません」


 「50名もの殉死者を出しながらも本日またダンジョンに踏み入った理由をお聞かせください」


 「質問は後でまとめて聞きます。ダンジョンというものの危険性はみなさんも映像等でご覧になられているようにご存知かと思われます。今回、『山梨ダンジョン』の探索をしたのはその映像情報をもとに危険度がそこまで高くないと判断したからです」


 「また結果的に攻略となりましたが、もともと調査的な意味合いの強い安全面を考慮した探索ではありました。それでも5名もの犠牲者が出たことは誠に遺憾であります。『山梨ダンジョン』は出来たばかりの若いダンジョンと思われ、いわゆるゴブリンと呼ばれるモンスターが数十体いる程度にもかかわらずです」


 「以上のことからもダンジョンは見つけ次第なるべく早い段階で管理下に置くべきであります。国民のみなさまにはダンジョンを発見しましたらすぐ警察へ連絡するようにお願いします。間違っても自力で攻略などと考えないようにしてください」


 それから記者団による質疑応答が始まった。


 「ダンジョンを攻略したというのは何をもってそう判断されたのですか?」


 「最奥にいたモンスターで再出現しないものがいました。現状、政府はこれをダンジョンマスターと呼び、それを討伐することでダンジョンの成長が止まるのではと考えています」


 「ダンジョンマスターとはどのような姿、形をしているのですか?」


 「機密事項となるためお答えできません」


 「モンスターを倒すことでレベルが上がる。または何か力が上がるようなことはありましたか?」


 「現在調査中ですが、モンスターを討伐した隊員のなかで明らかに力が上昇したと思われる者は複数おりました。その要因、力の上昇度や他にどのような影響があったのかを含め調査中です」


 「ダンジョンで力を得ることで人類は魔法を使うことが出来ると思いますか?」


 「わかりません」


 「『千葉ダンジョン』の攻略予定はどうなっていますか?また、千葉近郊の突然死がダンジョンと関わりがあるのではと噂されていますが、その点はいかがでしょうか?」


 「『千葉ダンジョン』については別格であり、『山梨ダンジョン』より数段上のレベルにあるダンジョンだと認識しています。よって現状は全力で入口を封鎖するということです。また突然死との関わりについてですが現在調査中です」


 「ゴブリン一体の強さはどの程度なのでしょうか?また『山梨ダンジョン』の国民への解放はあるのでしょうか?」


 「ゴブリンについては機密事項のためお答えできません。また管理下に置かれたダンジョンの国民への解放については、現在行われている調査結果をもとに検討したいと思っております」


 この会見は全世界へ一斉配信され注目を集める。そしてその後、世界的なダンジョン解放運動が行われることになる。


 注目されたのは討伐に伴う能力の向上と魔法の可能性について。

 日本だけでダンジョンを独占するな!ダンジョンの情報を隠すな!われわれもダンジョンに入らせろ!といったデモ運動が繰り返されることとなる。


 また水面下では各国の外交折衝が激しさを増し、日本政府は同盟国であるアメリカの在日米軍に対してのみダンジョンの探索協力を認めることになる。それ以外の国は交渉中ということにして保留している。

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