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第18章 15話

 カイトさんのお願いとは、魔王城にいるジルさんの変化を解いてアグノラを活かそうという判断だった。確かに、この二人をしっかり押さえておけば作戦そのものを潰せる。アグノラにはカイトさんの部下が変化してしっかり補佐していくとのことなので安心感もある。


 これでアグノラの社会復帰が早まったように思える。治癒(キュア)漬けよくない!


「カイトさん、最初の白いキメラ、ジルサンダーが見当たらなかったように思えるのです。無理のない範囲でこの研究施設の調査を進めて頂ければと思います」


「そうですね、近くにいるはずでしょうから優先度を高めて探します。国王からも撤退を視野に入れて何かしらの指令があるかもしれないですし、上手く情報を集めながら探ってみますね」


 しばらくカイトさんは忙しくなりそうだ。取り急ぎこの凍らせてしまった部屋と砕けたキメラ達の掃除ぐらいは手伝わないとなるまい。


「カイトさん、ちょっとお伺いしたいのですけどアグノラってこのまま闇の門(シャドウゲート)に入れたまま第三世界に行ってしまっても大丈夫なんでしょうか」


「いえ、それは無理なはずです。こちらの世界の者が他の世界に行く場合は、案内人としてダンジョンに行く方法以外にありません。何かしらの法則で弾かれてしまう、ひょっとしたら消滅するとかも考えれそうですよ」


 一転してアグノラの社会復帰が厳しい状況を迎えているようだ。運のない娘である。まだ若いし、こちらの都合で消滅させちゃうのはちょっと可哀想だ。どこかバレない場所で匿えないか……。


「うーん。アグノラ、どうしましょうね」


「タカシ殿、それでしたら我が屋敷にて彼女の身柄を預かりましょう。この国を守るために頑張っている兵士です。内戦終了後にはきっと我々の助けになってくれることでしょう」


 侯爵様が身柄引き取りを名乗り出てくれた。とはいえ、アグノラも副師団長補佐だ。回復して、いや回復はもうしているのか。目が覚めて暴れた時に侯爵様が対応しきれないと不味い。


「私の部下を侯爵様のお屋敷に一人つけましょう。また、念のため魔導拘束具も手配しておきますので体力、魔力共に限界まで押さえておきましょう」


 魔導拘束具、なんだか魅力的なキーワードが聞こえた気がする。あとで詳しくカイトさんに聞いておこう。


「それなら安心できますね。ではアグノラをよろしくお願いいたします。公爵様の顔を見られたら面倒なのでアグノラには目隠しをしておけばよいでしょう」


「はははっ、私たちの顔を覚えられるわけがない。問題ないでしょう。屋敷も地下だけならば、うちのおんぼろ屋敷とは思いますまい」


 侯爵一家が揃って笑顔で頷いてみせるのが何とも悲しい。なんなら顔をしっかり覚えてもらいたいぐらいに思っている可能性もある。この不憫な一家をなんとかスターダムにのし上がらせたいところだが、まず無理だろう。



「タカシ様、認識(スキャン)完了しました」


「ありがとうアモナ姫。さてと……ではもうメルキオールには用は無いということだね」


 顔面蒼白になりながら氷で固められ身動きの取れない。既に言葉もしゃべれないように首まで凍っている。その内黙っていても心臓が止まり死んでいくだろう。そうはさせないけどね。自分でも驚くぐらいに怒りの感情に支配されているようだ。すぐに殺してしまわないように注意しなければ。


「身動き取れないまま死んでいくってどんな気分なのかな? これは、カイトさんの分ね」


 僕の杖が右腕を軽く叩くと亀裂が入りバラバラに崩れていく。内側がまだ完全に凍りついていなかったようで右肩からは血が滲みながら落ち床を汚している。


「次は、侯爵様を人質に取った罰を与えなきゃね」


 左腕を同じように杖で叩くと両腕が無くなったメルキオールが涙を流しながら目で何かを訴えている。まだ、涙なんか流せるのか。この期に及んで助けてもらいたいとでも思っているのなら残念だが、君の命はもうすぐ終了する。


「最後は僕のティアを怪我させた分だよ」


 炎剣(レーヴァテイン)


 凍った場所では痛みを感じないだろう。最後ぐらいは強烈に死を感じさせてあげよう。


 メルキオールの顔をゆっくりと炙るようにバターのように押し込むようにして真っ二つにスライスしていく。声にならないうめき声のような断末魔を最期に体は後ろ向きに倒れていき、床にぶつかると同時にその体は砕け散った。


 さようならメルキオール。


 ピコン! ダンジョンマスターを討伐しました。ダンジョンマスター討伐特典として討伐したマスターの経験値及びスキルを吸収します。


 ピコン! 『経験値』を取得しました。

 ピコン! スキル『交配』を取得しました。

 ピコン! スキル『転送』を取得しました。

 ピコン! レベルが上がりました。


タカシ(ダンジョンマスター)

レベル80

体力860

魔力1800

攻撃力405

守備力410

素早さ407

5月24日に集英社ダッシュエックス文庫より発売となります。

お楽しみ頂けたら嬉しいです!

しばらく毎日更新予定です。

引き続きWebの方もよろしくお願いします。

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[気になる点] ウンディーネの分が無いぞ!笑
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