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第18章 8話

 次の日は早朝から城の中に忍び込んでいる。朝は合同訓練があるとかで近衛師団が集合しているそうだ。僕としては師団長を探すチャンスでもあるし、カイトさん達も北側へ動きやすい状況といえよう。


「では、カイトさん何かあったら連絡ください。僕たちも指揮権を持つ人物を発見出来次第ご連絡します」


「了解です。まだ時間はあります。焦らずじっくり行こう」


 スキルエレメント風人&透明化!


 侯爵様たちと別れた僕はスキルを発動させて透明化する。両脇にはレヴィとアモナ姫がいて手を繋いでいるので二人の姿ももちろん見えない。このスキルは気配は消せないようなので高レベルの猛者には気づかれる恐れがある。僕らが探している人はおそらく高レベルの人になるはずなので、注意しながら距離をとって任務にあたりたいと思う。


「そういえばアモナ姫の特異魔法は、どのぐらいの距離でその相手を確認すれば変化出来るようになるの?」


「ちゃんと説明していなかったですね。対象を魔力で認識(スキャン)させる必要があるので、できる限り近くで行った方が早く完了します。通常なら3メートルぐらいの距離で1分程度の時間が必要になります。距離は離れればそれだけ認識(スキャン)させる時間が掛かるようになります」


「指揮官を相手に距離3メートルは正直厳しいかもしれないね。師団長は諦めた方がいいかな……何か良い方法がないかな」


「お兄さま、この際全員眠らせてしまうというのは如何でしょうか?」


「そ、それは、いくら何でもやりすぎじゃないかな」


「全員寝かせてしまえば誰がやったかなどわからないはずです。スピーディ且つスムーズ、そして安全に終わらせることが出来るのではないでしょうか」


 若干ティア先生の濃い血が出てしまっている気がしないでもないが、レヴィの言うことが正論のような気もしてくる……。しかしながら目が覚めた時に近衛師団はどう思うのだろうか。まだ近衛師団が狙われていることを覚らせる訳にはいかない。やはり、どうにもやりすぎ感が拭えないんだよな。


「と、とりあえず、多少時間がかかっても指揮権をもっている人物が一人になるところを狙って眠らせる方が無難じゃないかな」


「そ、そうですね。それならば狙いを定めた人物に近しい者に変化して呼び出すとかは如何でしょう」


「アモナ姫! 天才か!」


「そ、そろそろアモナと呼び捨てにしてもいいのですよ……」


「それならとても自然にいけそうですね。とても良い案だと思います。流石に冗談とはいえ全員寝かせてしまっては次回以降、警戒させてしまうので忍び込むのも苦労しそうですからね」


 じょ、冗談だったのか……。レヴィにしてはあまりにも大胆な作戦だと思ったけどさ。


「よし、では対象者の絞り込みから始めようか!」


「はい、お兄さま」「頑張りましょう!」


 こうして始まった作戦だが、早速、僕たちはある人物に絞り込みをかけていた。



「アンジェリカ副師団長殿、午後の訓練についてエルモア師団長より朝食をとりながら打ち合わせをしたいとのご連絡が入っております」


 金色の長い髪の毛を邪魔にならないように丁寧に編み込んでいる女性の副師団長。女性いるじゃないか。しかも副師団長。どうやら5名いる副師団長の内、新しく副師団長に昇格したばかりの人材らしい。


「私がまだ頼りないのだろう。早く師団長が気に掛けないで済むようにこの旅団をまとめ上げねばならぬな。あい分かった。すぐに向かおう。お主も来てもらえるかアグノラ」


「勿論でございます。アンジェリカ副師団長殿」


 そして、このアグノラさんも女性だ。女性いるじゃないか。しかもアンジェリカ副師団長の側近! ショートカットの活発そうな女の子だ。これから朝食を師団長ととるとのことなので、まだ入れ替わりをするのは危険だろうから様子を見る。朝食後にアグノラさんを眠らせてアモナ姫にスキャンさせる。その後、アグノラさんに扮したレヴィにアンジェリカさんを連れ出してもらい眠らせてしまえばこちらの任務は完了といえる。完璧だ。我ながら完璧すぎる。


 この分なら他にも役に立ちそうな人材をアモナ姫に認識(スキャン)しておいてもらったらいろいろと動きやすくなると思う。厨房とか先回りしておいてもいいかもしれないね。


 あとは、そうだね、朝食のタイミングでまだ見ていない師団長とやらを少し離れたところから眺めてみよう。名前なんだっけ……そうそうエルモア師団長だっけね。

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