第18章 7話
「それで侯爵様、城内の簡易的な地図のようなものはございませんか?」
「普段は持っていてはいけないのですけど、緊急事態ですから実は手書きで用意をしておりました。少し見にくいかもしれませんが、こちらでよろしいですか?」
「はい、ありがとうございます。場所等の確認をしていきたいのですが……」
「それでは、説明させていただきますね。中央に位置するのが謁見の間、そこから東側が近衛師団のエリアです。先ほど私たちが行ったところですね。食糧庫もこの位置です。次に西側のエリアが王家の御所となっております。そして、最近北側で急ピッチに整備が進められておりましたのでキメラがいるとすればこの辺りがあやしいかと思われます」
侯爵様は僕が知りたいと思っていることも付け加えて説明してくれたようだ。
「師団長クラスが普段いる場所とかわかりませんか?」
「そうですね。師団長、副師団長クラスになると個別の住まいが割り与えられます。そこでは戦略の話し合いや訓練スケジュールの打ち合わせなどをする戦略部屋も用意されております。外で訓練をしていなければ、その部屋にいることが多いでしょう。場所は東側の一番奥北側となります」
キメラの方をカイトさんチームに僕のチームで師団長か副師団長を見つけに行く。
「レイコさんには僕たちの援護をしてもらいたいんだ。どちらからかバッジで指示がいったら城を攻撃してほしい。もちろん遠距離から位置を特定されないように注意しながらね。城内を混乱させるだけでいいから」
「そういうことでしたか。闇矢で南西側を攻撃すれば、みなさんが目当てのものを探しやすくなりますかね」
「うん、そうだね。ちゃんとヨルムンガンドちゃんがやり過ぎないようにちゃんと見張っててね」
「マスター、俺は作戦に忠実な男だぜ! 任せておけよ」
危ないな。とりあえず見つかりそうになったら王様でも誘拐すればいいんだろ。ぐらいに思っていそうだ。五歳児だけに勢いで行動は出来ても細かい作戦にはあまり向いていない。レイコさんに上手くハンドルを握ってもらわないとな。
この内戦では僕たちは活躍してはいけない。というか目立ってはいけないと思っている。あくまでも公爵派が圧勝して国をまとめてもらいたいのだ。その後の圧倒的支持率のもと、ベルサリオ新国王とヘーゼル魔王による平和条約に持っていきたいと思っている。
「うん、やり過ぎて見つかってしまったらレイコさんを危険な目に合わせることになるんだ。そうならないようにしっかりレイコさんのことを守ってね」
「おう! レイコのことは俺に任せとけ」
こう言っておけばそこまで無茶な行動はしないだろう。と思う、多分、お願いね。何だかんだでヨルムンガンドちゃんはレイコさんに弱いからな。
レイコさんが笑顔でヨルムンガンドちゃんの頭を撫でている。嫌そうにしながらも気持ちよさげに嬉しそうにしているヨルムンガンドちゃん。うん、レイコさんに任せておけば大丈夫だろう。
「侯爵様、キメラが街の中に出てきたことはありましたか? 城への攻撃で街中に出て暴れまわられたらちょっと面倒だなって思いまして」
「奴らを外に出すことはないでしょう。見た目は完全に魔物です。少なくとも民衆の目に見せるような行為は支持率の大幅低下に繋がりかねません。既にかなり下がりきっておりますが、そういうのを気にする男です」
「では、私たちも念のために城壁を壊さない程度にとどめましょう」
「うん、そのあたりの調整はお任せするね」
「カイトさんは明日はどこまで進めるつもりですか?」
「様子を見ながらだけど、チャンスがあればキメラの討伐はもちろん、メルキオールの殺害までやってしまいたい」
「それでしたら、私のチームも任務を終えたら北側に向かいましょう。侯爵様方やアモナ姫を戦闘に巻き込むわけには行きませんので、バレたらすぐに闇の門の中に避難して頂き退散する方向で。バッジで連絡をとりながら行動していきましょう」
「そうですね。了解です!」
「みなさーん、食事の用意が整いましたよー」
いい匂いがして来たと思ったら夕食の準備が整ったようだ。アモナ姫と侯爵の奥様が料理を持ってきてくれた。僕たちも食器や料理を運ぶのを手伝おう。
あっ、そうだ。カイトさんにモンスタードールズのブロマイド写真を持ってきてあげたんだ。食事中にお渡ししよう。ゲリュオンからは想像できない一応アイドル三人組だからね。
今日は活動報告にレイコさんとヨルムンガンドちゃんのキャラデザをご紹介しておりますので、是非いらしてください。




