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第17章 8話

「ソフィアよくぞ無事に戻ってくれた。そなたがこの街に戻ってくれたことで、兵や民が喜ぶだけでなく、国王派に対しても聖女が公爵派であるということを示せたであろう。これで精神的なショックを与えることができたはずだ」


「ベルサリオ様、ご心配お掛け致しました。私の帰る場所はどんなことがあってもこの街でございます。少し、おやつれになりましたか?」


 肌つやはとてもいい。どうみても30代半ばぐらいの弾力があるように感じるおじ様だ。


「うむ。やはり内戦は堪えるのでな……。仲間同士で争わなければならぬというのは辛い。少し痩せてしまったかの」


 筋肉は盛り上がっており、油でも塗っているかのようにテカテカに輝いている。単に筋肉が増えて体脂肪が減っただけではないだろうか。


「そなたがタカシ殿であるか」


 この人何歳なのかな。前国王と同世代としたら還暦は過ぎてておかしくないと思うんだけど、見た目がどうにも若すぎる。体の大きさと筋肉がそう見せているのだろうけど。


「はじめまして、此度の内戦を早期解決するように魔王ヘーゼルより仰せつかっております。私と仲間とで力を合わせてあたりたいと思います」


「すまないな。このタイミングで魔族とおおっぴらに手を組んでいると思われるのは悪手と思われてな。魔王殿に相談をさせて頂いたのだ」


「それで、潜入と伺いましたが私の役目はどのようなものなのでしょうか」


「儂はタカシ殿がどの程度動けるのかわかっておらぬ。そこでじゃが、儂と手合わせしてもらえんかの。実力がわかれば指示もしやすいとは思わぬか?」


 このおじ様、戦い大好き系の人種か。まぁ、見た目通りわかりやすいタイプとも思える。こういうタイプの人とはしっかり向き合ってあげた方がいいだろう。とはいえ、僕は魔力特化型。適任ではないと思うんだ。


「では私の部下と戦ってもらいましょう」


「タカシ殿ではないのか?」


「私は見ての通り魔法使いなものですから、武闘派の公爵様のお相手をするならば、同じ武の者が良いでしょう」


「なるほど、武の者であるか。それは楽しみであるな」


 武の者、5歳児だけどね。おじ様も孫ぐらいの年齢のヨルムンガンドちゃんが相手だとは思うまい。どうだ、凄くやりづらいだろう。


 とはいえ、実際に魔法なしの戦いだったら僕もヨルムンガンドちゃんに勝てるのは難しい。スキルがあるから何とかなるかもしれないけども。ヨルムンガンドちゃん普通に魔法無しの縛りがあれば、ティア先生やレヴィともいい勝負になりそうだ。


「それでは、ご紹介いたします。武の者よ、出てきなさい」



「……マスター、今ちょうどおやつ食べるとこだったんだぞ! せっかくレイコがクッキー焼いてくれたのに冷めたら美味しさ半減するじゃねぇかよ」


「タ、タカシ殿。ま、まさか、武の者というのは……」


「レイコさんならきっと焼き立てを保存してくれているだろうから大丈夫だって。それより、ヨルムンガンドちゃん、ほらっ、公爵様にご挨拶を」


「ん? お前が公爵か。よろしくな」


「ん、おぉう。よ、よろしく頼む」


「よろしくお願いします。でしょ」


「よ、よろしくお願いします。……そ、それで、俺だけがこの場に呼ばれた理由はなんだよ」


 素直に「よろしくお願いします」を言えるヨルムンガンドちゃん偉い。


「公爵様が僕たちの実力を知りたいと仰っていてね。ヨルムンガンドちゃんには公爵様と魔法無しで戦ってもらいたいんだよ」


「このじいちゃんとか? 大丈夫か? 殺したらダメなんだよな」


「ダメに決まってるでしょ。ちゃんと手加減するんだよ」


 ピキピキという音が聞こえてきそうなほどにこめかみの血管が浮き出ている公爵様。血圧上がり過ぎたら危ないと思うんだ。


「手加減だと!? 今、手加減をするといったのか?」


「年寄りは労るようにってレイコが話していたからな。安心しろよ、本気でやらないからよ。俺は空気が読める男だからな」


 全くもって空気の読めない発言をして煽っているヨルムンガンドちゃん。これが作戦なら素晴らしいが多分違う。


「タカシ殿、全力であたらせてもらうぞ」


「結構です。重傷でも私の回復魔法ですぐに治せますのでご安心ください」


「わかった。おいっ、儂の大剣を持ってこさせろ。その子の武器は何なのだ?」


「ヨルムンガンドちゃんの武器ですか。あったっけ?」


「男は拳で勝負だろう。俺に武器はいらねぇよ」


「よ、よぉしっ! 剣はいらぬぞ。ヨルムンガンドとやら。勝負だ!」


 どうやらここで勝負が始まるらしい。というか、ヨルムンガンドちゃん武器とか元々持ってないよね。

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