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第16章 15話

 リノちゃんが覚醒している。髪が若干逆立ち、手から光が溢れ出ている。そして、『ブラックシャーク』も何だか気持ちよさげに、うっとりしているような気がしないでもない。


「リノちゃん? 何かよくわからない光りが手から出てるけどそれ大丈夫なの?」


「あっ? 光? 問題ない。問題があったのはこのサメの心。スキル『改変』で変えたから大丈夫」


「スキル『改変』? やっぱりスキルになったの?」


「うん、新スキルだ。この『改変』はモンスターの心をほんの少し変えることができる。このサメの生意気な部分を一部アイシャへの忠誠に改変した」


「何そのスキル。対象はモンスターだけなんだよね?」


「基本的にはね。魔力を有した者でなければ深い干渉は出来ない」


 なんだか面白そうなスキルだ。テイム的なスキルの可能性はあるかと思っていたけど、『改変』とはね。あれっ? 魔力を有する者って……僕も対象になってるじゃない!?


「他にもこのスキルを使うにあたっては条件がある。私の触診を受け入れ、身を委ねる状況にならなければスキルの発動が出来ない。逆に身を委ねたら最後、『改変』中毒に落とすことも可能だ」


 リノちゃんの目がキランと光っている。なんだよ『改変』中毒って。


「何それ? ちょっと怖いんだけど」


「簡単なこと。例えばこのサメを定期的に『改変』していくことで、私の触診なしでは生きられない身体にすることができる。何度も『改変』することで、ご褒美を貰おうと躍起になり私の手足のように動いてくれるだろう」


「そ、そんなことが可能なの!?」


「もちろん、このサメが私を何度も受け入れたらだがな」


 1回目にして『ブラックシャーク』の目はまるで薬中患者のように虚ろだ。スキルを受けた後だから余計にそう見えるのかもしれないけど。『ブラックシャーク』さん、間違いなく何度でも受け入れそうな感じだよ。


「そ、そのスキル僕には使わないでよ」

「で、できればアイシャにも使わないでください」


「身も心も委ねるのは楽だ。スキルを受けたかったら、いつ言ってもらって構わない。極上の世界に案内しよう」


 リノちゃんらしい、ヤバいスキルだ。モンスタードールズがまた新しい武器を手に入れた。この感じだと、ミクちゃんもリーダーなだけに何か持っているかもしれないよね。


「ミクが一番これといった個性がない。タカシ、ミクの必殺技も早く教えろ」


「何で僕が知っている前提なんだよ。何かありそうだなとは思ってるけど、まだわからないかな」


「そうか。サクラの魔法を強化し、合体のアイデアをくれたし、私の新スキルも見抜いていた。タカシは私達3人をよく見ている。ミクも内心、みんなの力になりたがっている。手を貸してくれればスキルは使わないでおこう」


「いきなり脅しから入るのは感心しないけど、君たちのことを助けると決めた以上、最大限手を貸すよ。こっちもいろいろと助けてもらってるし、持ちつ持たれつだね」


「そうだな。これからも頼む」


「うん」


 よくわからないけど、リノちゃんと握手した。スキル使ってないだろうな? 頼むぞ、おい。


「ちっ」


「おい、何だその舌打ちは! 勘弁してくれよ」


「冗談だ」


 まぁ、気持ちを委ねなければ大丈夫なんだよね? そこに嘘はないんだよね?


「そ、それで、この『ブラックシャーク』はもう大丈夫なの?」


「あぁ。アイシャに忠誠を誓っている。普通のダンジョンモンスターとそう変わらないはず。足りなかったらもう一度『改変』しておこう」


「了解。アイシャちゃんはどうする? このモンスターは召喚する度にリノちゃんに『改変』してもらわないとダメみたいだけどそれでもいいのかな?」


「アイシャ、生意気な奴がいたら何時でも私を呼べばいい。このスキルを使えるのならすぐに駆けつけよう」


「そ、そうですか。目がちょっと怖いですけど、なんだかちょっとだけ可愛い気がしないでもないです。アイシャは毎日の餌やり忘れないように頑張ろうと思います」


「が、頑張ってね」


 若干、生き物の自由研究とかペットのお世話的な雰囲気が見え隠れしているような気もしないでもないが、今のところは大丈夫だろう。あとはモンスタードールズにお願いして引き上げよう。


 僕はまだ温泉を満喫しきれてないし、残りの日にちはもっとぐうたら過ごすんだ。

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