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第16章 7話

「雪蘭さん怒ってるの? プンプンなの? 話を最後まで聞かない方にも問題があると思うんだよね。やっぱり何事も決めつけはよくないと思うんだ。穏健派の僕としても散々不潔呼ばわりとかされたら、少しはカチンと来るというか……」


「う、うるさい! あー、もう、わかったよ! 私も悪かったのは認めるし、今回の事はお互い水に流そう。実際、アイシャを助けてくれて本当に感謝しているんだ」


 なかなかに殊勝な態度ではないか。もう少し揉めるかと思ったけど、雪蘭さんは意外にもあっさり矛を収めるようだ。


「まだ助かった訳ではないし、油断はできないよ。勿論、そうならないように僕やサクラちゃん達が暫くは様子を見るけどね」


「いや、今回の一件は半分以上私のせいだったからな。悪い流れが好転したことにせめて感謝させてほしい」


 なるほど、それなりに責任を感じていたということか。雪蘭さんのアイシャちゃんのことを想う気持ちはこちらにも伝わってくる。



 その時、打ち合わせを終えたアイシャちゃんがリーダーさんと居住区に戻ってきた。顔を見る限り、とりあえず問題はなさそうだね。


「しばらくはマレーシア政府の国内整備待ちってところかな?」


「はい。テスト期間についても無事に了承頂きました」


「よし、そうしたら次はダンジョン造りについて話し合おうか」


「は、はい!」


 本来であれば、『魔力操作』スキルを習得して、通路幅を調整しながら造ってもらいたいところだ。しかしながら、アイシャちゃんにはその時間がない。通路に関しては後で追加するとしても簡単に居住区に来れないようにするため、階層状態で対応しようと思っている。


「新しい階層を追加しようと思ってるんだ」


「新しい階層ですか……」


「うん。とりあえず明日またコウモリさんがお出掛けして増えたポイントを使って階層を増やそう」


「どのような階層がいいのですか?」


「『ペナンダンジョン』は、リザードマンをメインモンスターとしたダンジョンだから、彼らの特性をある程度考慮した方がいいと思うんだ」


「そ、そうですね。彼らは爬虫類の人型モンスターなので、水陸どちらでも大丈夫です。低い気温に弱いところがあって氷系の魔法を極端に苦手としているようです」


「なら、海一択かしら。幾つか島や岩場もあるし、そこで日光浴も出来るわ」


 ティア先生にしては良いアイデアではないだろうか。海なら重装備の軍人は来れないだろうし、ボートなどの特殊装備を準備しなければ次の階層には進めないだろう。


「砂漠はどうなのだ? 爬虫類なら厳しい環境でこそ強みが出せると思うのだ。灼熱の砂漠、水分がなくなり弱ったところを強襲すればいいのではないか」



「海と砂漠ですか。アイシャは砂漠を見たことがありませんが、ペナン島は海に囲まれているのでとても身近に感じます。タカシさん……やはり海でしょうか?」


「どうしてそう思ったの?」


「砂漠だとリザードマンさん達も隠れる場所がないですし、水がないと干からびてしまいそうじゃないですか」


「アイシャ、きっとオアシス的な水場はあるはずだ」


 雪蘭さんの砂漠案も悪くはない。しかし、砂漠なら部隊がそのまま行軍する可能性がある。目の前が海なら一旦退却せざるを得ない。つまり、時間を稼げることに他ならないのだ。


「リザードマンが干からびるとか、ちょっとわからないけど、侵入者の進行をストップさせるには海だろうね。ダンジョン攻略にきて、二階層目に海原が広がっているとか想像できないし、さすがに船やボートなんて持ってこないでしょ」


「ほらね。海一択と言ったでしょう。リナのところのローパーが召喚できるようなら更に無敵かしら」


 どうやらティア先生は、海でのほろ苦い思い出が頭に浮かんでいたようだ。まぁ、あとは単純に水竜なのだから水の多いエリアは好む傾向にあるのだろう。


「砂漠ではダメだったかぁ……」


「雪蘭お姉さんが一緒に考えてくれるのは、アイシャはとても頼もしく思ってますよ。『チンポー湖ダンジョン』のピンチの時には必ず駆けつけます!」


「えっ? どこのダンジョンだって?」


「雪蘭お姉さんの『チンポー湖ダンジョン』です!」


「おい、タカシ! アイシャに卑猥なことを何度も言わせようとするな。この変態!」


「えっ? どの部分が卑猥なの?」


「だから! 『鏡泊湖(チンポーコ)』だ!」


「もっと恥ずかしそうに言ってくれないと、面白味がないということがよくわかったよ」


「タカシ様、そろそろ夕飯にして今日はもう寝ましょう」


「ま、まだ食べるのか!!」

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