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第16章 2話

 事態が動いたのはティア先生が食料を食べ尽くしたその時だった。


「ナシゴレンのおかわりはあるかしら?」


「も、もう、ポイントありませーんっ!」


「あらっ、ポイント無いのにナシゴレン出してくれるなんて、アイシャなんていい子なのかしら。代わりに私が最近はまっている駅弁『牛肉ど真ん中』を20個あげるわ。米沢名物なのよ!」


「や、やったぁ! 雪蘭お姉さん、ポイント使ったらお弁当が増えましたよっ!」


「い、いや、アイシャ、前提条件がおかしいだろ。お弁当あるのに何でこの人、ナシゴレン頼んでるんだよ」


 そんな会話をしている時だった。入口の方から何か物音のようなものが聞こえた気がする。すぐに、パール君が反応した。


「アイシャ、リザードマンが戻ってきたよ」


 モニターを見ると確かにリザードマンがダンジョンの入口から居住区の方に向かってきているところだった。


「えっ、どういうこと? ダンジョンの外はマレーシア軍がいっぱいだったって……」


 確かにおかしい。あれだけ多くのマレーシア軍が山狩りをしている中、誰にも見つからずに戻ってくるとか流石に無理があるだろう。


「アイシャちゃん、とりあえずリザードマン達の話を聞こうか」


「そ、そうですね」


 戻ってきたリザードマン達の首には取り外しが難しそうなピタっとフィットした首輪が付けられていた。爆弾などを警戒したが、どうやら危険なものではないというのは、その後のマレーシア国王の手紙でわかった。


「リザードマン達は何て言ってるの?」



「はい、外で人間に見つかって檻に閉じ込められていたそうです。3日を過ぎた頃から仲間が徐々に消滅していった……そうです。それからは血を抜かれたり、検査的なことを行われ体調面を調べているようでした。また、食べてはいないけど、食事や水を定期的に持ってきてくれたと言ってます。殴られたり、殺された仲間はいないそうです」


 なるほど。ダンジョンモンスターに対して、それほど酷い扱いはしていないようだ。これも日本でのダンジョン効果を知っているが故の反応かもしれない。つまり、ある程度ダンジョンと話をする考えがあるのではないだろうか。


「さて、じゃあ手紙を読んでみようか。同じ内容なのかな。英語のはアイシャちゃんが読んで。日本語のは僕が読もう」


 そうして読み合わせた、手紙に書かれている内容は全く同じものだった。以下、手紙の内容である。




 ダンジョンマスター殿


 私はこの国の国王をしているイスマイルと申します。この度、そちらのダンジョンから出てきたと思われる未確認生物を捕獲させて頂きました。何日か様子を伺っていたところ、最初の頃に捕獲した数体が消滅してしまいました。このままでは良くないと判断し、捕獲した場所近くにて残りの3体を解放することにしました。しかしながら、私達はこの未確認生物が人類にとって危害を加えるものなのかの判断が出来ません。その為、彼らの首に位置情報がわかる機器を取り付け解放させて頂きました。(首輪は特に危険なものではなく、数日で自動的に外れるようになっています)

 さて、ここからが本題となりますが、私達はダンジョンマスター殿と話し合いをする用意があります。お互いが利益を得られるように交流を持ち、相互理解を深めていきたい。話し合いに応じて頂けるのであればダンジョンに攻め入ることは勿論、命の保証も致しましょう。そして、ダンジョンマスター殿の希望に沿えるような条件を話し合いたいと思っています。この手紙を読んでいる頃、私達はダンジョンの入口にてテーブルと椅子を用意しています。是非話し合いましょう。お待ちしております。



「なるほどね、話し合いか」


「わ、罠の可能性はないのか?」


「うん。雪蘭さんの言う通り、可能性は無くないね。どちらにしろアイシャちゃんはダンジョンの外に出ることは出来ない。ならば、今後のことも踏まえてリザードマンリーダーに相手をしてもらおうか」


「リザードマンリーダーですか……。でもリーダーさん、無口な方なのであまりこういうの向いてないのではないかなと思うんです」


「手紙でやり取りすればいいよ。リーダーさんには手紙を運んでもらうだけでいい」


「そ、それなら大丈夫かな。で、でも私が手紙を書くんですか?」


「うん、もちろん最初は僕が対応する。ある程度流れが決まったらアイシャちゃんに引き継ぐよ。では、最初の手紙から書こうか。ポイントで紙とボールペンを出して」


「あっ、ポ、ポイントありませーんっ!」


 しまった。ご、誤算だ……。

続きが気になった方は、ブクマやポイント評価を頂けると作者のモチベーションアップに繋がります。

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