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第15章 12話

 エディには再び席を外してもらい、モンスタードールズ達の部屋へ配膳のお手伝いに行ってもらった。


 改めて『ペナンダンジョン』の状況を説明すると、三人とも完全に酔いが覚めているようでかなり驚かれた。


「えっ! マ、マレーシアに行くんですか!?」


「レイコ、マレーシアは九州よりも近いのかしら?」


「お姉さま、九州は結構遠いですよ。大阪ぐらいではないでしょうか」


 水竜姉妹、日本の地理は少しだけ把握してきているようだ。やはり実際に外出するとイメージもしやすいのだろう。


「マレーシアはね、日本から約5千キロ離れてるらしいよ。ちなみに千葉から九州は約1千キロぐらいみたいだね」


 スマホで距離を検索してみたら、九州へ行くおおよそ5倍の距離があることがわかった。


「け、結構遠いのね」


「それで、ティアと一緒に飛んで行こうと思ってるんだけど」


「タカシさんはMっ気が強いのですか?」

「ま、また氷で貼り付いて行かれるのですね」


「えーっと、それはティア次第なんだけど」


「そうね……氷の一択かしら。冷たくてフィット感がいいわ」


「あっ、やっぱり氷なんだね。まぁ、構わないんだけどさ」


 若干、レイコさんとレヴィが引いているように見えるけど気にしないようにしよう。


「タカシさんがそれでいいなら私は別に、その、問題ないです」

「つ、次は私にも貼り付いてくださいね!」


「お、おう」


「私達も明日の朝に一度ダンジョンに戻って魔素を1日吸収してきますので、なるべく1日で戻ってきて下さいね」


「うん、もちろんそのつもりだけど、もしもの場合は、ヘルプに来てもらうかもしれないから念のため準備はしておいて」


「ちなみに、ペナン島のどの辺りか聞いているんですか?」


「うん、ちゃんと聞いている。島の北側にある、ゴルフ場から少し外れた山あいにあるらしい。マップで見るとだいたいこの辺りかなと」


 スマホでマップを見ながら、だいたいのダンジョンの位置を把握した。


「なるほどですね。観光地だから人がそれなりに多そうですね」


「お兄さま。ご武運を」



「うん。じゃあ、行こうかティア」


「かしこまりましたわ」




 前回同様に、水竜になったティアの首に掴まるようにして、スキルを発動させる。透明になった僕達は激しい羽ばたきとともに夜空をやや低空で飛んでいく。


「ティア、南西方面にこの高度をキープしたままでお願い」



「いやっふぅー!!! きぃーもちぃー!!」


「ちょっ! ティア!? 西に行き過ぎだよっ! 行くのは中国のダンジョンじゃないんだからね! マレーシアだよ!」


 水竜フライトハイのティア先生が落ち着いたのは福岡から長崎の辺りだろうか。じっくり方角の修正をして進んでいこう。


「ティアは休憩とかしなくて大丈夫?」


「今飛んだ距離の5倍ぐらいよね? 全然問題ないかしら。10倍は飛べるわ」


 余程の迷子飛行にならない限りは大丈夫そうだ。なるべく公海を飛ぶようにしてレーダーの探知から逃れるように低空で進む。最悪探知され戦闘機や哨戒機のスクランブルがあったとしても、透明な僕たちを発見することは出来ない。何かの間違いか、レーダーの故障で片付けられると思う。


「このまま真っ直ぐ行こう。このまま南シナ海を抜けていく。ペナン島は反対側だから手頃な海岸で降りたら、適当に車でも見つけて向かおうかな」


「それなら、『てんとう虫』さんが到着してたら迎えにこさせましょう。私、お腹の中がナシゴレンになってますの。朝ごはんはナシゴレンがいいわ」


 ナシゴレンはマレーシアの焼き飯料理で辛甘なソースを調合し、ニンニクや唐辛子で鶏肉や海老を炒めたものだ。半熟卵が乗ってるとテンションが倍上がる料理である。


「旅行じゃないんだからね。ナシゴレンは全部片付いたら、もしくは緊急性が低かった場合に『ペナンダンジョン』でいただこうか」


 ちっ、僕もお腹がナシゴレンになってしまったじゃないか。パッと終わらせて、ナシゴレン食べて帰ろう。


 あれだけ食べた後なのに、またご飯の話をするあたり、僕もティア先生の影響を受けてグルメになってきているのかもしれない。



 話をしながら景色を見ながら、たまに高度を上げて目視で地理を確認しながらの飛行。意外なことに、そこまで迷うことなく到着できた。その場所は、タイの国境と程近いマレーシア北部のクランタンという場所だった。



「タカシ様、『てんとう虫』さんが時間が掛かりすぎるから迎えにこれないとか抜かしてますの。ちょっと生意気じゃないかしら」


「ちょ、ちょっと電話代わって……」


 どうやら、『てんとう虫』さん達はすでにペナン島に入った所だそうだ。クランタンまでは車で5時間以上。つまり、往復だと10時間も掛かる距離があるそうだ。緊急な状況でもあるので、『てんとう虫』さん達にはダンジョンへ急いでもらい、僕たちも再び水竜フライトを継続し、山越えを低空飛行で向かうことにした。


 ナシゴレン……じゃない、アイシャちゃんの無事を祈りたい。

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