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第15章 7話

「いやぁー、食べたね。もう食べられないよ」


「タカシ君、寛ぐならここはお片付けしておくから違う部屋にいってもらえない?」


「えっ? どういうこと?」


「この部屋は朝食と夕食のみに使用する予定よ。荷物は真ん中の部屋に移動させてもらったわよ」


 マジですか。露天風呂付きのエグゼクティブスイートを贅沢に使用しているよ。


「じゃあ、部屋を移動するよ。エディ、明日の朝食も期待してるよ」


「まぁ、欲しがるわねー。期待に応えられるよう頑張るわ」



 さて、風呂でも入ってのんびり過ごそうかな……あーっ、みんなで入るの忘れてた。ヤバいな、緊張してきた。


 レイコさんも恥ずかしそうに髪をくるくると手で巻いてはほどきを繰り返している。


 それに比べて水竜姉妹の落ち着きっぷりはなんなんだろう。自らがイラストになっているダンジョンバウムクーヘンを美味しそうに召し上がっていらっしゃる。まだ食べるのか。


「お姉さまのバウムクーヘンとてもしっとりしていて美味しいですね!」


「当たり前よ。私が監修しているんですもの。しっとり、やわらか、程よい甘さとこだわっているわ。卵はダンジョンの養鶏場から出荷されたものを利用しているのよ」


「さすがはお姉さまです。あれっ、でもこの商品賞味期限がとても短いのですね。三日しか持ちませんよ」


「甘いわねレヴィ。あまあまかしら。全部がそうではないけど、美味しさと賞味期限は比例することを覚えておきなさい」


「そ、そうなんですか?」


「当たり前じゃない。作りたてが一番美味しいに決まってるでしょう」


「そう言われるとそうですね」


「この商品はね、添加物を最小限に抑えて水分量も高めているの。言ってしまえば日持ちしない商品なのだけどその分、味、食感は抜群なのよ」


「日持ちしない商品をお店が取り扱ってくれるのは何か理由があるのですか?」


「仕入れ原価の安さとサンプル提供よ。サンプルは1ケースに一つ付けてるわ」


「そんなことして儲けは出るのですか?」


「レヴィ、お金は余っているの。使いきれないくらいにね。でもね、卵はダンジョン産で輸送費用しか掛からないし、バウムクーヘンの味に自信があるからサンプルからの購買率が高いのよ。結果として店も儲かるし、売上も上がるし、がっぽがっぽよ」


「がっぽがっぽですか」


「今後は全国のダンジョンから無料で卵が手に入るから卵を利用した商品開発をどんどん進めていくわ」


 菜の花食品、かなり儲かっているようです。ティア先生の大胆な戦略が上手くはまっているようだね。


 話が盛り上がっている内にそっと露天風呂行っちゃおうか。



「タカシ様、お風呂ですか?」


「えっ? いや、どんな景色かなぁと思ってさ」


「ならもう入りましょう。夕暮れ時もよかったですが、ライトアップされてまた雰囲気が変わりましたわ」


 逃げられない。覚悟を決めなければ……。


「じゃ、じゃあみんなで入ろうか。僕は先に入ってるね。ヨルムンガンドちゃんも入るよ」


「おう! ここも泳げそうな広さだな」



「先に頭洗ってあげるから座ってね」


「シャ、シャンプーはサッとでいいからな。泡をすぐとってくれよ」


「はいはい」


 シャンプーが目に入るのが嫌いな五歳児は、洗い終わるとダッシュで風呂に飛び込んでいった。


 僕も体を洗い、湯に向かおうとする。


 マナーとしてタオルは外すべきだろう。恥ずかしいが、これでみんなもタオル無しになる確率が格段に上がるはずだ。これが先行の利というやつか。みんなの裸をじっくり見たいからではない。あくまでもマナーなのだ。


 頭にタオルを乗せると上にウンディーネが乗ってきた。いつの間にか入ってきてたようだ。頭がひんやりとして気持ちいい。のぼせないで済むかもしれない。


 僕が露天風呂に入った頃に女性陣も入ってきた。


「あ、あの、あまり、じろじろ見ないでくださいね」


「う、うん」


 レイコさん、じろじろ見ないでと言われて見ない男は残念ながらいないんだ。しかも、体や髪を洗うため無防備になる瞬間を逃す訳がない。


 それにしても双子なのにティア先生とレヴィは体型が全然違う。レヴィはレイコさん寄りのモデル体型といえるだろう。一方でティア先生の成長が半端ない。一段と破壊力を増している気がする。


「せっかくですからゆっくり浸かりましょうね」


「そうですね、お姉さま」


 ティア先生が僕の左腕を自分の胸で抱き締めるようにして掴まえてくる。右腕にはレヴィが。破壊力抜群だ。


 そして、レイコさんは僕の膝の上に乗ってくる!?


「ひ、膝の上は、ま、まずくないかな!?」


「10分おきのローテーションなので気にしないでください」


「ローテーション!? ちょ、何分浸かるの?」


「二周するから一時間弱かしら?」


「お兄さま、嫌ですか?」


 レヴィがウルウルした瞳で見つめてくる。


「だ、大丈夫かな……」

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