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第15章 5話

 完全にツアーガイドとなっているエディがマイクロバスを運転し、観光名所を回りながらホテルまでの道程を案内してくれている。


 10万株のポピーが咲き乱れる館山ファミリーパーク、白浜フラワーパークでは南国ムード満点の巨大ヤシの木が茂る園内で様々な熱帯植物を満喫した。やはりこの時期の房総半島はとても魅力的だ。



「みなさぁーん、今日から泊まるホテルはあれよっ!」


 エディが指差した方向には、まだできたばかりのように新しい南国風のホテルが海辺の程近い高台に建っていた。


「エディ! なんか、あのホテル真ん中にでけー池があるぞ!」


「ヨルムンガンドちゃん、あれはプールって言うのよ。温水だから今の時期でも泳ぎまくりよ」


「泳げるのか!?」


「ウォータースライダーもあるわ」


「すげーな。スライダーってなんだよ」


「回転する滑り台よっ! 全ちびっこが体力が無くなるまで滑りまくるわ」


「あ、悪魔の滑り台か!? ドレインタッチされるんだな。俺もスライダー特訓やるぜっ」


 何だかよくわからない野球のピッチング練習みたいな特訓が始まりそうだ。


 ホテルで水着を売っているそうなのでエディに頼んでヨルムンガンドちゃんのを買っておいてもらおう。




 ホテルに到着すると荷物はすべて部屋まで運んでくれるそうで、今はピーナッツ最中と温かいお茶を頂きながらホテル内の施設や食事の説明をしてもらっている。


 今までどちらかというとお土産として渡してばかりだったピーナッツ最中を自らが頂くのは何とも不思議な気分だ。相変わらず最中の食感とたっぷり詰まった餡のハーモニーが素晴らしい。やっぱり和菓子にはお茶が合う。


「これだけ高そうなホテルだと部屋の中が気になりますね」


「最上階貸し切りとか言ってたもんね。レイコさんはエディから画像とか見せてもらわなかったの?」


「楽しみにとっておきました。あっ、でも露天風呂からの景色はチェック済みです。あれは期待してもらっていいと思います」


「露天風呂とか久々だな。ポイントにも余裕が出てきたし、ダンジョンのお風呂とか居住区のインテリアとか大幅に変えるのもいいかもね」


「インテリア関係はポイントではなく、外からエディに用意させた方がいいものが多いかも知れませんね」


「確かにそうだね。のんびりするつもりだし、ネットでいろいろと探してみようか」


「そうですね」


 部屋を案内されると全室オーシャンビュー。波の穏やかな館山湾を目の前に喧騒から隔絶された静寂さがなんとも素晴らしい。


 こちらの要望通りに部屋で食事を用意してもらうことになっており、神輿盛りの準備は着々と進められているらしい。今日揚がった新鮮な魚介を中心に盛り合わせにされるとのこと。


 部屋には大きめの露天風呂があり、敷地内から湧出する温泉を引いた風呂からの眺望もまた絶景だ。お風呂に入り海を眺めるとその境目が見えない造りとなっている。


「マスター! 俺、スライダーしてきていいか?」


「あっ、うん。エディ! 頼まれてくれるかな?」


「しょうがないわねぇ。タカシ君も私の水着が気になったら遊びに来ていいのよ」


「あっ、うん。またの機会にね」


「もうっ、シャイなんだから!」


 なんて便利なんだ。エディが役に立ちすぎている。今日は大活躍だな。



「お兄さま。私たちは早速、露天風呂に入ろうと思っています。よかったら……」


「あー、そしたら僕は売店にでも行ってくるね」


 危険を察知した僕は流れるような動きで部屋を出る方向に足を向けていた。


 ヘタレと言われても構わない。まだ心の準備というか、タイミングというかだね……いきなり魅力的な女の子三人とお風呂とか攻撃力が高すぎると思うんだ。


「タカシ様、今一緒に入るのと食後に一緒に入るのとどちらになさいますか?」


 に、二択だ。ティア先生が追いこみを掛けてくるー。


「えーっと、では食後に……」


「もうっ、シャイなんだから」


 エディと同じことを言われるとは甚だ心外ではあるが、ティア先生に言われるとドキっとしてしまう。ホテルの中や売店を散策しながら少しクールダウンしよう。


「じゃ、じゃあ行ってくるね」


 神輿盛りの夕食は楽しめるだろうか。無心になろう。そう、悟りを開くのだ。


 ……おっぱいが6つ。


 あー、ダメだ。僕もプール行こうかな。頭を冷やそう。

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