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第15章 1話

 魔王城に戻った僕たちは今後の話し合いをすることになった。カミア王子は捕らえられ地下牢とは別にある隠し部屋に幽閉されている。このことは城兵にも知らされておらず、ディラン宰相のご子息が自ら世話を行うとのこと。


 おそらくだけど、情報がとれ次第処分されるのだろう。対外的には病気とかの理由で。



「そうか、メルキオールと大型のキメラを逃がしたか」


「も、申し訳ございません」


「いや、構わぬ。アモナも無事戻ったし、カミアを取り押さえられた。タカシとカイトに改めて礼を言わせてもらいたい。身内のゴタゴタに巻き込んでしまい申し訳なかった。ありがとう」


 あの魔王様が礼を言うとか珍しいこともあるものである。それにしても最低限の目標はクリア出来たけど、何とも後味の悪い結果も残してしまった。


「カイトは引き続きメルキオールとキメラの行方を追ってくれ」


「かしこまりました」


「それから聖女殿とカシューの捕虜交換の日取りが決まった。カミアの一件があるだけに慎重に進めねばならぬが、あちらの公爵が秘密裏に動いているのを今は信じよう」


「魔王様、私は何をすればよいのでしょうか」


「タカシは、いったん第三世界に戻ってもらう。そして一週間後にまた戻って来てもらいたい」


「えっと、何でいったん戻るんですか? 僕も白いキメラを追いますよ」


「お前は最大一週間しかこの第一世界に居られないのだ。また戻ってくるには、ダンジョンのある世界で一週間以上過ごさなくてはならない」


「えっ、ピースケ、そうだったの?」


「予定では一日滞在してまた戻る予定だったっすから言い忘れてたっすよ」


「タカシ、新しく生み出した魔法のことをダンジョン協会に報告してから戻れ。キメラに有効な魔法はなるべく早く使えるようにしておきたい。サイゼスに早急に分析するように伝えてくれ」


「了解しました」



「あとは何だ、ついでにアモナの見舞いに行っておけ」


 魔王様が何となく優しい。相変わらずの娘大好きパパなのだろうけど、僕も一連の働きにより信頼をかなり得てきたように感じなくもない。それか、息子の不祥事で心が参っているかのどちらかだな。義理の息子として少しは頑張ってあげてもいい。


「そうですね。ダンジョン協会に伺う前に顔を出します」


「うむ。ダンジョンに戻るとはいえ、お前の役割は魔法とスキルの研究だ。滞在中にキメラに有効なスキルか魔法のひとつでも開発しておけ。一週間後を楽しみにしている」


 優しいと思ったのは勘違いだったのだろうか。だが、こっちの方がいつもの魔王様のようでしっくりくるのも確かだ。


 しかしながら、義理の息子的にはゆっくりダンジョンで休憩させてもらおうと思う。何でも上から目線で仕事を振ってもそうは簡単に動かない世代なのだ。僕はカイトさんに渡すモンスタードールズの撮影とかで忙しいしね。


「もちろんです。では、失礼致します」



「カイトさん、では一週間後に」


「そうだね。一週間後、タカシ君に良い話が出来るように頑張ってみるよ」


 魔王様とカイトさんと別れた後、ピースケとともにアモナ姫のお見舞いに向かった。


「ジルさんも復職してるんだよね?」


「そうっすね。アモナのことを心配していたからよろこんでいるはずっす」


 コンコンッ


 扉をノックするとしばらくしてジルさんが扉を開けてくれた。


「あっ、タカシ様、ピース様。ようこそお越しくださいました。アモナ様をお救いいただき誠にありがとうございました」


「実際に救ってくれたのはカイトさんだけどね。アモナ姫とは会えますか?」


「はい。ベッドの上にいますが起きていらっしゃいます」


 カイトさんがアモナ姫を救い出した時は、薬で眠らされていたらしく全く覚えていないとのことだった。


 ベッドで上半身を起こして此方を見るアモナ姫の姿が見えた。


「タカシ様、この度はジルと私を助けてくださりありがとうございます。無事にまたお会いできてアモナは嬉しく思います」


「無事でよかったよ」


「アモナはタカシ様にご迷惑お掛けしてばかりですね……」


「今回のことは災難みたいなものだから気にしなくてもいいよ。また、ダンジョンに戻らないといけないみたいだから、その前に顔を見に来たんだ」


「戻られてしまうのですね。つ、次はいつ頃こちらに?」


「一週間後に戻るよ」


「そうなのですね。では次に来られた時にはティアさんやレヴィさんレイコさんともお話させてください」


「うん。前回話できなかったもんね。三人にはちゃんと伝えておくよ。それじゃあね」


「はい。一週間後を心待ちにしておりますわ」

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