閑話 14
ここはマレーシアにあるペナンダンジョン。
ペナンダンジョンのボスモンスターはリザードマンリーダー。召喚可能なモンスターは勿論リザードマンである。二足歩行で長い尻尾も攻撃に使えるため単体ではゴブリンよりも強い。しかしながら団体戦となるとおそらく連携力でゴブリンに軍配が上がるだろう。
ダンジョンマスターのアイシャとパール君はいつも通り魔法の練習をしていた。
サクラ先生はカモメを退治するとかで、自主トレをしておくようにと言われている。カモメさん、一体何をしちゃったのかな?
サクラ先生は先生といっても私と同じくらいの年齢でとても親しみやすい。実は他の先生と比べても当たりじゃないかなと思っている。
リナ先生は、たまにヤバい目をする瞬間がある。性的な危険を感じさせるヤバい目だ。あれは超えてはいけない一線を簡単に超えてみせた猛者の目だと思うの。
そして、コウジ先生。目線だけで言えば最も犯罪臭を感じさせる。あの眼鏡の奥底はロリコンという性癖を隠しきれていなかった。サクラ先生や私を見る目線は暴力的だし、無意味にスキンシップを取ろうとしてくる。ロリコンがスキンシップを取り始めたらもう終わりだと思うの。雪蘭お姉さんの言うようにあまり近寄らない方がいいのかもしれない。
「パール君、そろそろ雪蘭お姉さんが来る頃かな?」
火弾!
「そうだね。そろそろじゃないかな」
「火属性の魔法は普通に撃てるようになってきたよね」
「アイシャは闇属性の魔法を早く覚えた方がいいよ。闇属性は使い勝手がいいんだから」
「わ、わかってるよ。でもイメージが上手く出来ないの。雪蘭お姉さんはもう出来るようになったのかな?」
私に適性のあった属性は、火と闇。雪蘭お姉さんは水と闇に適性があった。今日は一緒に自主トレをすることになっている。雪蘭お姉さんは中国の方で綺麗なお姉さん。同じ海外組ということもあってか私を妹のように思ってくれて仲良くしてくれる良い人だ。
「闇属性魔法、雪蘭お姉さんと練習しなきゃね」
「噂をすれば到着したみたいだよ」
あらかじめ練習場所にしていた部屋に雪蘭お姉さんと案内人のキャロちゃんが現れた。
「雪蘭お姉さん、いらっしゃい!」
「アイシャ、もう練習してたの?」
「はい。火弾はかなり安定してきました」
「じゃあ後は闇属性ね。一緒に練習しましょうね。キャロちゃん、闇属性の特長を教えてくれるか?」
「闇属性は攻撃、防御、収納と、とても汎用性の高い属性なの。その分、明確なイメージ力を必要とされる魔法よ。あとは、光属性と対になる魔法ね。回復魔法がない以外は欠点がないレア属性だと思うわ」
「私の場合は水属性で回復魔法が使えるから、組み合わせ的には恵まれているのかもしれないな」
「私は残りは火属性だから、回復魔法がないんだね……」
「ダンジョンポイントを貯めて属性魔法は習得出来るから今は魔法の扱いに慣れることを考えておけばいいと思うよ」
「そうなんだ! うん、私、頑張るよパール君」
雪蘭お姉さんと最初に影盾という魔法に取りかかることにしました。アイシャは回復魔法が使えないから防御をしっかりと固めた方がいいそうです。
影盾!
影盾!
二人で防御魔法を練習しますが、盾と呼べない手のひらサイズの影盾しかできません。何か良い方法があるのでしょうか。
「キャロちゃん、この盾もっと大きくするにはどうしたらいいんだ?」
「魔法はイメージよ。タカシの花火のような火弾を見たでしょ。まぁ、あんな変態的な火弾見たことなかったけど」
「あ、あれ、火弾だったのか? う、嘘だろっ! ま、まさかアイシャもできるのか?」
「で、できません! 私のは普通の火弾です」
「だ、だよな? びっくりした。とりあえず、魔力の回復も兼ねて昼ごはんにしようか」
「あっ、じゃあ菜の花弁当持ってきますね。飲み物は紅茶でいいですか?」
「烏龍茶をもってきたんだ。お湯を沸かしてもらえるかな」
「はい、了解ですよ」
ところで、普通の魔法って何なのでしょうね。変態な先輩が多いと判断にとても困ります。サクラ先生が戻ってきたら詳しく聞いてみたいと思います。それにしてもダンジョンマスターの変態率がちょっと高い気がするの。
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