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第14章 12話

「見て、あの大きなのってドラゴン?」

「ドラゴンなんて伝説のモンスターがこんな場所に……いるぅぅぅ」

「ド、ドラゴンがいるぞぉぉ!!!」

「な、なんでこんな場所に!?」

「あれは敵なのか! 味方なのかっ?」


 ブォォンッ!


「も、門が壊されたぞぉ!!」

「て、敵襲っ! ドラゴンが来襲っ!」

「近衛兵を呼んでくれっ! すぐにカミア王子に伝えるのだ」

「女、子供、老人は反対側から避難しろ! 港の方まで退避っ! 退避だぁ!」


 グルォァァァァァ!!!!!!


「お、おい、ドラゴンが二体いるぞ……」

「反対側の門も塞がれている……」

「逃げられないわ。私達、ここで死ぬのね……」

「カミア王子の館に避難させてもらおう」

「そうだな、近衛兵も大勢いるし防御もしっかりしているはずだ」


 ズダァァァンッ!!!!!


「あ、あっちのドラゴンあらぶり方が半端ねぇ」

「お、俺たちが何をしたって言うんだよ」

「終わりだ……ここでみんな死ぬんだよ」


「あのドラゴン、魔法を撃とうとしてねぇか!?」

「に、逃げろぉー!!」

「ど、どこにだよぉぉぁ!!」


 ティア先生っぽい水竜が尻尾をぶん回してあらぶっている。何かのストレス発散になっている気がしないでもない。


 一方、反対側にいるレヴィは空に向かって極大水弾(ウォーターボール)を撃ちまくっていた。


 街の人からしたらどちらにも近づきたくないだろう。理不尽に暴れまわる水竜、まさに厄災。



「タカシ君、この混乱で警備もあったもんじゃないね。それにしてもティアさんは演技派ですね。リアリティーがあります。これじゃあスキルを使わなくても館に入れたかもしれないですね」


 ティア先生のは演技ではなくストレス解消なんです。褒めるならレヴィを褒めてあげてください。


「近衛兵と思われる人達もかなりの人数が出ていったみたいですしね。まぁ、水竜を囮に使う作戦だなんて考えるはずもない」


「タカシ君、館の中も慌ただしいと思います。見えていないとはいえぶつからないように気をつけましょう」


「了解です。ではいきましょう」




 館に入ると、予想通りの慌ただしさで広間では地図を広げて緊急の会議をしているようだった。ミクロ、エレモ両男爵の顔もある。これでかなり確度が上がったな。


「カミア様はもう秘密の抜け穴に入られたのですかな?」


「あぁ、エレモ男爵。ご家族とアモナ姫、残りの近衛兵とともに向かわれた」


「我々もギリギリまで様子を見て逃げようぞ」


「そうだな。おい、外の者に伝えよ。街の者は決して屋敷に入れてはならぬぞ! ドラゴンが寄ってきてしまうからなっ!」


「それにしても何故にドラゴンが……まさか魔王様なのか!?」


「いや、魔王城の方角から来たのであれば関所の者が知らせるはずであろう」


「それもそうか。まぁ、近衛兵があれだけいるのだ。いくら伝説のドラゴンとはいえすぐに追い返すであろう」


 ちょっ、秘密の抜け穴とかどこだよ! カイトさんと地図を見ているけど港の方に向かっているのはわかるんだけど屋敷のどこに抜け穴があるのかがわからない。


 もう男爵二人を脅して吐かせるか……。


 カイトさんが首を振っている。やめた方がいいということみたいだ。広間から少し離れてカイトさんと小声で話をする。


「タカシ君、こういう状況で貴族は口を割らない可能性が高い。自分自身はもちろん家を守るために長期戦に持ち込もうとする」


「では、どうするんですか?」


「僕はここに残って抜け穴をみつけるよ。タカシ君は先回りして港へ向かってもらいたい。ティアさんとレヴィさんはこの屋敷の外壁を壊したら港へ行くように指示お願いします」


「わかりました。何か考えがあるんですね。あれっ、でも透明化のスキル消えちゃいますけど大丈夫なんですか?」


「入口のそばに近衛兵の待機部屋を見つけたから何とかなると思う。予備の装備もあるだろうからね。こういうのは慣れてるから任せて」


「さすがです。では、港で」


 僕は一人館から出るとティア先生の耳元に飛んで行くとカイトさんの作戦を伝えた。


「あらっタカシ様、私まだ何もしてないわ」


「いや、結構な恐怖を植えつけていると思うけどね。じゃあレヴィと一緒に屋敷の外壁を頼むね」


「近衛兵を少しは倒しちゃったけどしょうがないわよね?」


「うん。出来る限り最小限に抑えてね。そんなに手を抜けるほど弱くはないと思うから怪我をしないようにしてよ」


 振り返ると水竜二体がゆっくりと王族の館に向かっているのが見えた。カイトさん大丈夫だろうか。


 僕は僕の仕事をしよう。一応、このスキル『風人』なら空を飛んでいけるので走るよりも早く到着できる。抜け穴の出口を探すのは厳しいと思うけど、避難しようと考えている場所の当たりぐらいはつけられるはずだ。

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