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第2章 6話

 「お、30人の侵入者っすね」


 「うまいこと誘導できたようだね」


 てんとう虫さん。さすがでございます。



 「お兄さま、次はどのような作戦なのでしょうか」


 「次は何もしないよ。結構、前がかりになってるし、ダンジョンの能力を試してみるよ。もちろん、逃げようとしたら手をだすけどね」


 「場合によっては私達にも出番があるかもしれないのですね。お姉さま頑張りましょう」


 「最終階層まで来れるかしら。楽しみね。レヴィ」


 侵入者さんには頑張ってもらって、いろいろ問題点を洗い出してもらいたい。


 さて、みなさん無理せず適度に頑張りましょう!




◇◇◇◆◆



 「敵は重傷だ。血痕を探すんだ!」


 「魔法には気をつけろ!耳を澄ませ。詠唱を聞き逃すなよ」


 ダンジョンに入るとやはり敵はいないようだが、隊員の姿も争った形跡も特に見当たらない。慎重に進んでいた隊員も徐々に歩みが速くなりながら探しまわる。すると一人の隊員が奥に細い通路を見つける。


 「報告通り、奥に通路を発見しました!」


 人が一人通れるぐらいの幅の通路。曲がりくねっており先は見えない。


 「よし、前方を確認しながら一人ずつ進め」


 慎重に先を確認しながらしばらく進んでいく。


 嫌らしい通路だな。


 ここで敵と遭遇したら一対一をせざるを得ない。なんとも非効率な通路だ。


 何度も繰り返すように曲がりくねった道もどうやら終わりが見えてきたようだ。


 ホッとする。光の射す出口が見えてきた。ゆっくり確認しながら進むと拓けた場所に出た。目の前には黄色の小さな花が咲き乱れた花畑。これは菜の花か。


 「洞窟内に花だと。ダンジョンマスターが潜んでいるかも知れん。10名はこの場所を探しながら進め。残りは奥の通路に進むぞ!」


 「はっ。大久保以下9名この場を探索後、向かいます!」


 「うむ。では我々は先を進むぞ。この場は任せた」


 花畑を抜けた20名は、また細い通路を慎重に進んでいく。またしても続く曲がりくねった道だ。


 神経をすり減らされる。

 早く出てこい。どこまで進めばいいんだ。


 すると水の流れる音が聞こえてきた。どうやらようやく次の場所にたどり着いたようだ。

 その場所はまるで神殿。

そして、神殿を囲うように水路が造られており、神秘的な印象を受ける。水の流れる音はこの水路からのようだ。


 このような場所があるということはおそらくここがダンジョンマスターのいる部屋なのだろう。手間をかけさせやがって。待ってろよ。


 「6名は一応、水路を探せ。残りは神殿に向かうぞ」


 6名を残し他の隊員は神殿の中へと入っていった。しかし予想を裏切るように神殿の中は人の気配が全くといっていいほどない。


 そして、さらに奥には通路が見えていた。


 「おいおいおい。まだ先があるのか。通信手段がないとここまで不便とはな。いったん休憩し、後ろの組を待つとするか」




 一方、水路の捜索を任された隊員は3名ずつになり回り込むように左右に分かれた。


 しかし彼らは水音で小さな音に気づいていない。

 水路の底から上がってくる泡に。後ろから静かに近づく足音に。またある者は水路の壁にへばりつきじっとその時を待っている。いつでも水中に引き込めるように。


 その時は一瞬だった。後ろから口を押さえられ手を足をつかまれ水路に引き込まれる。


 パシャン。


 「ん?お、おい中村がいないぞ。っ!」


 パシャン。


 「っむぐ!」パシャン。



 ピコン!侵入者を討伐しました。


 討伐ポイント18万P取得。


 半魚人は隊員が少数に分かれるのを待っていた。


 なぜなら真正面からでは勝てないから。


 一人を水中に引き込むのに6体がかり。そのまま水中で押さえ込み1本。


 彼らは音がする、重いから等を理由に武器も棄て水底に潜む。


 そして、隠密系半魚人として少数に的を絞ったのだ。


 真正面から行ったら一人も倒せないばかりか、こちらは全滅である。


 少しでも侵入者の数を減らす。そのために彼らなりに考えた戦法だった。



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