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第14章 10話

 結論から言うとドラゴン飛行はかなり無理があった。ステータスがかなり上がっているにも関わらず飛び立つと共に吹っ飛ばされた……。そもそもだけど乗れる仕様じゃないと思うんだよね。


「タカシ様は少し辛抱が足りないかしら。私まだ飛んでませんわ。一回、羽ばたいただけですの」


「な、なんで敵地に向かう前に味方から攻撃を受けなきゃならないんだ……」


「タカシ様、さぁ早く行きましょう! アモナなんちゃらが待ってるわ」


 ティア先生がとてもハイな感じで聞く耳を持たない雰囲気。どうしよう水竜になるとご機嫌になってしまうのだろうか? レヴィを見ると首を横に振って困った姉を見るような表情をしてるっぽい。なんとか乗ってあげたいんだけどさ……。


「よし、わかった。ちゃんと背中に乗るから。ちょっと冷たいけど我慢してよ」


 再びティア先生の背中に乗った僕は体全体を固定するようにスキルを発動した。


 スキル『エレメント氷人』


「ひゃぁっ! あ、あれっ? ちょっと、冷や気持ちいい!? この密着具合なら大丈夫じゃないかしら。レヴィ、タカシ様が溶けない内に行くわよ」


「だ、大丈夫みたいですね。では行ってまいります」


 二体の水竜が羽ばたくと、ものすごい風が巻き起こる。まさに暴風。大きな巨体はそのままゆっくり浮かび上がると一気に大空へと飛び立っていった。





「レイコ、あれは乗ってることになるのか?」


 明らかに氷で無理やり張り付いているようにしか見えないのだからしょうがあるまい。


「ヨルムンガンドちゃん、これはティア先生が納得するかしないかの問題なのよ」


「そ、そうか。マスターも大変なんだな……」




 水竜一行は、順調にフライトを続けている。高度約3万5千フィート、つまり地上から1万メートルは離れているらしい。


 もしも無理してしがみついていたら僕はほどなくして低酸素症を発症し意識を失っていたことだろう。気温も相当低いはずだ。スキルを使っていなかったとしても自然に凍って張り付くことになっていたかもしれない。


 水竜フライト危険すぎる。

 いや、高く飛びすぎだよティア先生っ!


「お、お姉さま。も、もう通り過ぎています! 旋回してください!」


「もう終わりですの? シャルビー意外と近いのね、とても残念だわ。レヴィ、着陸地点を決めてくれるかしら?」


「はい、お姉さま」


 北の街シャルビーを通りすぎた水竜一行は7キロほど離れた海岸に降り立った。


「あちらの港に大きな船が停泊しているようでしたのでこちらの砂浜にしました。シャルビーの方角は向こうです」


「あっ、じゃあ、此処からはカイトさんに案内してもらおう」


 結果的に、この行動が魔王城から北の街シャルビーにかけて網を張っていたカミア王子の目を掻い潜ることになるとはこの時誰も思わなかっただろう。



◇◇◇◆◆



「カミア様、クリメニア伯爵とその嫡男シトラスの口封じですが、仰せの通り我が配下の者が処理いたしました」


「ほう、エレモ男爵もやるではないか。しかし、そろそろ気づかれる頃合いか」


「念のため魔王城からの街道に関所を数ヵ所設けております。ここで魔王側からの情報収集と少なからず時間稼ぎも出来るでしょう」


「ミクロ男爵もご苦労。私は明日にでもアモナを連れて出港する。お前達はしっかり足止めを頼むぞ」


「はっ、かしこまりました」

「カミア様のことはアモナ様と同様、誘拐されたとでも言っておきましょう」


「それからわかっているとは思うが、キメラについては何も申すなよ。もし、少しでも話が漏れているようなら……わかっておろうな」


「も、もちろんでございます」

「その代わりこの作戦が成功した暁には、新王国での我ら侯爵への叙勲を何卒よろしくお願いいたします」


「ところでメルキオールは何処にいるのだ?」


「メルキオール様は大型船へキメラの搬入と積み荷の指示をされております。準備は夕方まで掛かるのではとのことでございました」


「そうか、戻ってきたら私の部屋に来るように言え。例の白いキメラのことで妙案がある」


「かしこまりました。戻り次第すぐに向かわせます」


「あぁ、頼むぞ。私はそれまで休憩させてもらおう。おいっ! 誰か、湯浴みの準備をせい」

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