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第14章 9話

 その夜、クリメニア伯爵とその嫡男シトラスは城の警備を掻い潜った何者かに殺害された。城兵の目を掻い潜っての犯行はまさに口封じと考えられた。


「警備の数をかなり増やしてたっすけどね」


「内部に敵が入り込んでいると見た方がよいかと思われますね」

 カイトさんのシビアな意見に魔王様も目を瞑る。


「カミアが関わっているかもしれんと考えたのは風隠カイトか?」


 風隠というのはカイトさんの二つ名だそうだ。忍者みたいでカッコいい。


「はっ、魔王様。おそれながら可能性の一つとして」


「よく提言してくれた。身内を疑うのはどうも後手となってしまってな。今、他に手がない以上カミアを追うしかなさそうだ」


 息子を疑わなければならないってどんな気持ちなんだろう。


「カミア王子が関わっている可能性はありそうなのですか?」


「タカシ、カイトの話していたことが現実だったとしたら早めに対応せねばなるまい。少なくともカミアとメルキオールに面識があることはわかっている。疑わしきは罰せよという訳ではないが調査は必要であろう」


 当たり前だけど、魔王様はやるせない表情をしている。息子を疑わなければならい、しかも自らが信じてスキルを継承した嫡男なのだから。


「少なくとも兄貴にそんな思想があったとかは見受けられなかったっす。今朝もバッジで何気なく会話をしたっすけど、ちょっと信じられないっすね」


「そうだな。裏切るということはそういうことなのだろう。カミアなら人族の王とも定期的な会合で会っていたので交流を持つことも出来た。もしそうであるなら一体どんな目的があるというのだ……」


「城の警備も見直す必要があるっす」


「うむ、緊急事態だ。ディラン! 城兵全員のバッジチェックを行え。チェックする場所は訓練所にしろ!」


「昨夜の行動をチェックなされるのですね。かしこまりました。すぐに手配を」


「タカシよ。お主はカイトとともに北の街シャルビーへ向かってくれ。何か分かり次第こちらから連絡を入れる。お前たちも少しのことでも構わんから何か情報を掴んだら俺に連絡をよこせ」


「かしこまりました」

「お任せください。タカシ君、他に誰か連れていくならスピード重視でお願いしたい」


「ティアとレヴィに来てもらいます。彼女たちなら魔法を使わなくても強い。念のためスピードと物理攻撃力のバランスが高いヨルムンガンドちゃんには残ってもらいます」


「双子の水竜だね。それは心強いよ」

「では、すぐに出発しましょう!」



◇◇◇◆◆



「ヨルムンガンドちゃん、みんなのこと頼んだよ。何かあっても無理せずピースケやレイコさんと相談してね」


「おう! スイムーのようにみんなと相談すればいいんだな。あれっ? マスター、ウンディーネはどこだ?」


「ウンディーネには引き続きピースケの護衛をお願いしてるよ。ほらっ、ピースケの髪の毛の中に埋もれて寝てるでしょ」


「お、おう、大丈夫か?」



「北の街まではどのくらい距離があるのかしら? タカシ様は私に乗っていきますか」


 何かと背中に乗せたがるティア先生。多分そういう年頃なんだろう。


 カイトさんに確認してみると特に乗り物とかあるわけではないようだ。まぁ、急だったしね。


「シャルビーまでは約100キロだね。気づかれない5キロ手前ぐらいまで運んでもらいたい。タカシ君は背中に乗るとして僕は闇の門(シャドウゲート)に収納してもらえるかな」


 何で僕が背中に乗ることが決定しているのかな?


「あっ、じゃあティア僕も闇の門(シャドウゲート)に……」


 な、なんだ! そのウルウルとした瞳は……。遊びじゃないんだからな。


「じゃ、じゃあ、僕はティアの背中に乗っていこうかな」


「はいっ! ちゃんとしがみついてないと落としちゃいますからっ!」


 いや、笑顔でそんなこと言われてもめっちゃ怖いから! 久々に30メートル級の水竜が目の前に二体。迫力満点ですね……。


「お兄さま、落とされても私がフォローするのでご安心ください」


 レヴィ、落とされるの前提で話をされても不安しかないからね!


「じゃあ、レイコさん行ってくるね」


「はい。お気をつけて。ミルさんにミートローフとかスコーンの作り方を教わりながらお待ちしています」


 レイコさんが何も心配してないのは信頼だろうか。それとも料理好きだからだろうか。まぁ、どっちでもいいや。


 さて、竜にしがみつくって安定感無さそうだなぁ……。首もとに抱き付くような感じでいいか。


「ひゃぁっ!?」


 えっ、ダメなの?


「あ、あの。タカシ様、もう少し下にある鱗の隙間に足を固定していただけますかしら? 足場をしっかりしていないと本当に落ちちゃいますわ」


 レヴィもうんうん頷いているけど水竜に乗るのは初めてなんだから乗り方とか知らないんだからね。何で知らないの? 的な感じで言われても僕困るよ。


 100キロを水竜に乗っていくとどのくらいで到着するのだろうか。なんとなく一時間も掛からないような気はする。それくらいならなんとか耐えてみせよう……。


 ティア先生だってそんなに無茶な飛び方はしないだろう。しないよね??

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 護衛にタカモトも呼べと国王が言ってますが、14-5話の時点でタカモトは今、リズという者と公爵家に同行しておると本人がタカシにそう言っているので、不可能だと思います
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