第14章 7話
早速だが、カイトさんからメルキオールについての説明をしてもらった。
「メルキオールのことですがレベル48で魔力、守備力に秀でたタイプです。『魔法とスキルの研究』グループに所属しておりスキル『交配』の持ち主とのこと」
グループの先輩でこざいましたか……。
「『交配』って、やっぱり……」
「クリメニア家で行われていた実験と関係はあるでしょう。こちらで把握している『交配』の情報は雌雄のモンスターがいる場合、ダンジョンポイントを使用せずにその数を増やすことができるスキルと聞いています」
「普通のダンジョンモンスターはポイント召喚でしか増えないのに対して、出産でも増えるということ?」
「そうですね。種族にもよりますが普通の繁殖よりも高頻度で数を増やしていきます。おそらくですが強制的に成長力の高い受精卵を造り、それを雌個体に戻すことができるものと」
「話を聞く分にはとても便利そうなスキルですね」
「ただ、欠点もあります。生まれてきたモンスターはダンジョンマスターへの忠誠心がありません。第一次世代はまだ母親の影響を受け従う個体も多いのですが、第二次世代以降はより顕著に忠誠心がなくなります」
「それはちょっと厳しいですね。戦略として使えないかな」
「そこなんです。基本的にモンスターの性質としてコロニーとして定める居住場所はそう移動することはないのですが、何らかのきっかけで同士討ち、脱走、最悪は反逆もありえるので強い個体にスキルを使用できません」
「なるほどですね。何か従えるようなスキルと併用しなければなりませんね」
「おっしゃる通りです。しかしながらまだそのようなスキルは発見されてないのですけどね」
「モフモフ系に関してはリノちゃんが統率というか快感による目覚めを利用した調教力で従えることが出来そうな気がしますけどね」
「えっ、何その変態チックなスキルは? リノちゃんって、まさかゲリュオンの?」
「そうです、そうです。彼女はモフリストとしてモンスターの懐柔をしていました。ひょっとしたらスキル持ちの可能性があります」
「そういえば、配下の『オルトロス』がものすごく『ゲリュオン』になついていた気がするよ」
本当にスキルだった場合、もしも彼女のスキルがモフモフに限らなかった場合ひょっとしたらとても危険なスキルになる可能性がある。例えば『触れたものを懐柔する』スキルとかだったら相当ヤバい。
「……まっ、そんな訳ないか」
「ですよねー。あっ、このスコーンすごく美味しいですね。ブルーベリージャムの酸味が合いますね。……まぁ一応、今度第三世界に戻ったらそれとなく調べてみてください」
「了解です。あっ、モンスタードールズの写真とかも撮ってきますね。中学生ですけど、一応元アイドルですからね」
「あっ、はい。すごく見たいですね! ちなみに彼女達は今どのくらいの総ポイントなのかわかりますか?」
「細かくは把握してないですけど、まだ2億ポイントもいってないと思います。まだちょっと先は長いですかね」
「もう会えないと思っていたんです。いくらでも待ちますよ。それと、元勇者のことですけど……」
「ご心配なのはわかりますが、すでにボスモンスターになってますし性格もがらりと変わってしまったようなのでご安心ください」
「いや、ひょっとしたらリノちゃんのスキルが影響してるのかなとか思って。性格が変わるほどの拷問といわれてもちょっとピンとこなくって」
言われてみればそんな気がしないでもない。ていうか本当にスキルがありそうだ。
「確かに気になる点が多いですね。うちのダンジョンの『グラスウルフ』がかなりモッフモフにされていましたがメロメロでした。でもリノちゃんが帰ってしばらくたったら元に戻ってたんですよね」
「時間か距離か何かしらの制約があるのかもしれませんね。あ、あれっ、話が大分逸れてしまいましたね。ちょっと話を戻します。タカシ君の情報からもメルキオールが異種配合の研究をしていたことは間違いありません。そこで、ピース様に確認したいことがあります」
「自分っすか?」
「これはあくまでも私の私見なのですが魔王様の持つスキル。いや、王族に流れる血の秘密とアモナ姫誘拐の関係性についてです」
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