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第14章 3話

「レイコさんはジルさんを連れて外へ! あと出来る範囲で動画を撮っておいて」


「はいっ! もう撮ってます」


「レヴィはレイコさん達を守りながら入口までフォローよろしく。あと外に出たらティア達に連絡を」


「お兄さまは?」


「僕は、奴等を引き受ける」


「かしこまりました」


 レヴィ達の突破口を開きたいところだったけど、先に仕掛けてきたのはキメラの方だった。火の玉を一斉にジルさんとレイコさん目掛けて吐き出してきた。こいつら妙に賢い行動をするな。でもレイコさんが逃げに撤していればあれぐらいの攻撃は大丈夫だろう。


 レイコさんはジルさんを背負うとサイドステップであっさり火の玉を避け、そのままキメラを飛び越えて出口へと向かって走り出していく。


 僕は奴等の気を引くために魔力を一気に高める。


 キメラ達が一瞬動きを止めてこちらを見る。どうやら誰が相手なのかを理解してくれたようで助かる。


 そうだな、火を吐くなら水属性でいこうか。あまりこの実験室を破壊するような魔法は証拠を消してしまうことになるので避けたいしね。


 水弾(ウォーターボール)×30


 僕の周辺を浮かぶ水弾(ウォーターボール)を横目に、一瞬動きを止めていたキメラだったが、逃げるレイコさんを狙って再度火の玉を吐き出す。


 しかしながら火の玉はレヴィが撃った水弾(ウォーターボール)で相殺された。ナイスだね。


 攻撃を相殺すると、そのまま跳躍して飛び越えレイコさん達の後を追う。すかさず、レヴィにも攻撃を加えようと動き始めたがそうはさせない。


 ブオンッ!! シュルシュルシュルー!!


 僕の周辺を漂っていた水弾(ウォーターボール)の半分を急速度で出口側へ移動させると、もの凄い勢いで回転させた。


 キシャアァァァァ!!


 高速回転する水弾(ウォーターボール)に向かって威嚇の叫び声をあげるキメラ。頭が良いのか悪いのかよくわからないな。


「ではどのくらいスピードがあるのか踊ってもらおうか。逃げ切れなかったら死ぬかもよ」


 回転する水弾(ウォーターボール)をキメラに向かって誘導弾のように追跡させる。いけっ!


 一番近くにいたキメラは急な動きに対応出来なかったようで被弾した。その他は慌てて逃げ出すが追い掛けてくる魔法に困惑気味な様子が伺える。


 すぐに、一体、二体と被弾して半分程度が倒れたと思っていたのだけど事情が変わった。

 コイツらヤバい……。


 倒れたと思っていた五体は立ち上がると一回り大きな体になって元気いっぱいキシャアァァァァ!! している。


 気をとられていると他の五体も何故か一回り大きな体にパワーアップしているし、しかも一体だけ明らかにおかしいサイズのキメラがいて色も真っ白、爪とか尻尾もデカイ。


「お、お前、ジルさんから出てきたチビだろ!?」


 グルグルゥー、グルグルゥー


 喉で返事しやがった。このキメラ言葉を理解してるんじゃなかろうな。位置的に一番怪しいし、浮かべておいた水弾(ウォーターボール)の数が減っている。


 まさかっ! 魔法を吸収しているのか!?


 キシャ、キシャシャシャッ


「おいっ、今笑ってるんだろ! わかるんだからな」


 仔猫サイズだったキメラが本物のライオンぐらいの大きさに成長してしまっている。ジルさん、息子さんは元気に育ってしまいました。


「ジルさんの息子だからジルサンダーとでも名付けてやろう」


 グルグルゥー、グルグルゥー


「嬉しそうじゃないか。まぁ、今すぐぶっ殺すんだけどね」


 土棘(アースニードル)×10


 直接の魔法は何かしらの理由で吸収されてしまう可能性が強い。あまり成長させないように仕留めたい。ならば間接的に影響を与えるまで。ただの土棘(アースニードル)だと思うなよ! これがマタタビをまぶした棘をイメージした土棘(アースニードル)だ!


 フニャー、シャアー!!!!

 キメラの真下からいきなり突き上げたので、逃げ遅れた三体は単純な物理の棘で仕留めることが出来た。


 残りの七体に関しては棘は何とかかわしたものの抗えない魅力に引き寄せられ、もれなくゴロニャンしている。


 そうだ、もっと頭を擦り付けるがいい。おいおいおい、お腹を見せすぎだぞ。涎を垂らしまくって口元がだらしないじゃないか。


 土棘(アースニードル)×7


 五体はそのまま突き刺さり沈黙したが、二体はギリギリで我に返るとこちらに向かって走り出した。


 僕の動きを見ながらキメラは地面を避けるようにして飛び掛かってきた。なるほど、土棘(アースニードル)を避けるためか……。

 念のため少しはキメラの特長も押さえておかないと不味いかな。


 炎剣(レーヴァテイン)


 上から爪を振り下ろしてきた一体を半分にぶったぎる。もう一体も避けずに向かって来るが尻尾を炎剣(レーヴァテイン)に向けて伸ばしてくる。すると尻尾の先端が開いて炎剣(レーヴァテイン)の魔力を吸い込みはじめた。


 なるほど、それで魔力を吸い込むのか。炎剣(レーヴァテイン)は半分ぐらいのサイズに短くなってしまった。


 キシャアァァァァ!!


 また随分デカくなったな。こいつもジルサンダーと同じくらいの大きさにに成長してしまったな。あれっ、そういえばジルサンダー何処にいった? マタタビ罠に嵌まらないなんて!?

新作、「冒険の書を拾ったら異世界に飛ばされたので無難にセーブしながら進んでみる」の投稿はじめました。

下のリンクから見れますのでよかったらブクマよろしくお願いします。


圧倒的弱者が死にそうになりながらも(たまに死ぬ)ギリギリのところでセーブとロードを繰り返して、無難に(本人的に)乗り越えていく異世界成長ファンタジーを目指してます。

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