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第2章 5話

 「突入!」


 割りとすぐ第二陣が来たようだ。さて、どんな反応をするのやら。


 「タカシ様、彼らはなぜ自分たちが来たことをアピールしながら入ってくるのでしょう」


 ティアさん、いい質問ですね。


 疑問に思ったらすぐ尋ねる。これ大事。


 気になったらキャットフードも食べちゃうティア先生。さすがでございます。


 「多分、まだ中にいると思ってる味方に対して言ってるんじゃないかな」


 「それは、また、なんとも残念ですわね」


 「彼らは大抵ひとりで突っ込んではこない。必ず連携してくる。そこを逆手にとるのが今回の作戦だよ」


 「楽しみです。お兄さま」


 先行部隊をあっさり退けたことで、二人とも少し落ち着いてきたようだ。


 引き続きお勉強してもらいましょう。




◇◇◇◆◆



 突入してきた10名がダンジョンに入り目にした光景はとても異常なものだった。


 装備は、びしょ濡れになっており所々破損している。ほとんどの隊員が血まみれになりながら辛うじて生きている状態だった。すでに何人かは手遅れかもしれない。


 「大丈夫か!敵はどこだ」


 突き当たりの細い通路をなんとか手を持ち上げて指さしている。敵も無傷とはいかなかったのだろう。奥に撤退したのだな。


 「谷畑、石井!二人で通路を見張れ。残りは救助ののち、一時撤退!5分以内だ。動けるものは一緒に手伝ってくれ」


 いったい何が起こったら特殊部隊10名がこの短時間で沈黙させられるのか。とにかく一度戻って話をきかなければならない。


 「おい。馬渕しっかりしろ!撤退するぞ」


 「すまない。岩田。じゃあな」

 ズバババッバババババッ!ズバババッバババババッ!


 「なっ、何を!うぉおぉ……」


 ズバババッバババババッ!


 始まったのは先行部隊による同士討ち。


 ピコン!侵入者を討伐しました。


 討伐ポイント30万P取得。


 うん。てんとう虫さん大活躍ですね。




◇◇◇◆◆



 「なぜ戻ってこない!岩田」


 第二陣突入からまもなく7分。ザイルを引かせるか。頼む。どうか無事でいてくれよ。


 「7分経過!」


 「よし、ザイルを引け!」


 ずしりと重たい感触。ザイルは切れていないようだ。ただ、単に引き摺られている。


 引き摺られて出てきたのは血塗れでまったく動かない岩田率いる第二陣10名全員だった。


 血と土が混ざりドロドロな状態の服。そして血と発砲による酸化した煙の匂いが鼻につく。うめき声すらない。見るからにダメな状態だった。


 「くそっ、救護班急げ!」


 「ま、待て!まだ出てくるぞ」


 後ろ姿で短機関銃を構えたまま、足を引き摺りながら出てくる3人の隊員が見えた。


 「まさか、生き残りがたったの3人だと……」


 川崎はようやく戻って来た3人に話を聞く。彼らは装備がひどく傷も多いが意識はしっかりしていた。


 「応急処置中にすまない。馬渕と…」


 「竹田です」「佐久間です」


 「中に入った他の隊員はもう………」


 「はい…。全員やられました」


 「中ではいったい何が起こっているのだ」


 「ダンジョンと思われる領域、洞窟の10メートル先からまったく別の空間が広がっています。広さは奥行約50メートル幅約15メートル。通信関係はそこで遮断されました。そしてカメラ機材を設置したところでダンジョンマスターが現れたのです」


 「ダンジョンマスターだと!」


 「ええ。自らそう名乗りました。身長は約175センチ黒いフードを深くかぶっています。普通の人間に見えます。奴は魔法に絶対の自信を持っているようで、ゆっくり詠唱すると電撃のようなものを撃ち約半数がこれに倒れ即死しました。カメラ機材もその時の電撃で破壊されています」


 「魔法の詠唱は何秒ぐらいだ?」


 「約20~30秒かと」


 「その後、我々の反撃によりダンジョンマスターも致命傷を負いました。が、そこで奴は最後の力を振りしぼり魔法を亡くなった隊員に放ちました」


 「その魔法が死んだ人間を操る魔法だったのです」


 「岩田ら第二陣が突入してきたのはちょうどそのタイミングでした。操られた隊員は後ろを振り向き一斉射撃を。我々もその後、応戦し操られた隊員は全て射殺しましたが第二陣は……」


 「そして、その戦闘中にダンジョンマスターに逃げられました。すでに死んでる可能性もありますが確認が必要です。おそらく他に敵はいないでしょう」


 「よし残りの隊員30名全員で向かうぞ!すぐ準備しろ。魔法は撃たせるな。迷わず撃て!」

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