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第13章 14話

「信じていただけるのですね」


「聖女様、こいつらは信じているのではなく脅しているのです!」


 この女はまだ自分の立場を理解していないようだ。もう少し、いじめた方がよかったのだろうか。


「そうですね。これからは共闘と参りましょう。全てはその女が公爵様を説得してからの話になりますが」


「そうっすね。失敗した時はその女の写真を散撒くっす」


「そして聖女様も治癒(キュア)漬けにして、とっても健康的な体になってもらおう」


「き、貴様ら!」


「リズ。貴女は自分の仕事をするのです」


「では、聖女様。この女を前線まで送りましょう」


「ソフィアです。これからは仲間となるのです。お二人のお名前を教えてくださいませんか?」


「僕はタカシ。昨日、名誉騎士から子爵になったばかりだよ」


「自分のことは気づいているかも知れないっすけどピース・ハイポージア。この国の王子っす」


「やはり王位継承順位第5位のピース様ですね。するとタカシ様はピース様のマスターということでしょうか」


「そうだね。なんでそう思ったの?」


「王族の方と兄弟のように仲良く会話されていらしたので、そうなのだろうなと思いました」


「兄弟っすか」


 ここで、じきに本当の兄弟になるかもしれないなんてことは口が裂けても言ってはならないだろう。


「ソフィアさんにも兄弟が?」


「私は孤児だったので本当の兄弟はおりません。しかしながら多くの兄弟、姉妹に囲まれて育ちました。リズも同じ教会で育った大事な妹なのですよ」


「同じ場所、環境で育っても人の性格までは同じように変わらないものですね」


「おい! 変態どういう意味だコラッ!」


 このメスゴリラめ。突っ込みが早くなってきたじゃないか。


「まぁいい。ゴリズ行くぞ」


「誰がゴリズだ! 私の名前はリズだ!」


 本当にゴリズに公爵様と捕虜交換の話し合いが出来るのか不安になってくる。



 すると突然胸のバッジから通信が入り、慌てた声でレイコさんから話し掛けられた。


「タカシさん大変ですっ!」


「どうしたの?」


「アモナ姫が何者かに(さら)われました」


「えっ、まさか!?」


「私たちが部屋に来た時にはすでにもぬけの殻で……」


「ちっ、今すぐそっちに向かうから待ってて!」


「マスター!」


「うん、不味いことになってしまった。ソフィアさん、申し訳無いけど緊急事態なんだ」


「はい。早く行ってあげてください」


「し、しかし聖女様! こちらの方が優先順位が……」


「リズ、黙りなさい」


「悪いけど僕の優先順位はこっちなんだ。なるべく早く対処するからそれまで待っててほしい」


「かしこまりました」


「ピースケは魔王様にこのことを伝えて!」


「了解っす!」


 魔王城のセキュリティどうなってるんだよ。第一発見者がレイコさん達ってのも嵌められた感がある。気のせいならいいのだけど、まさか情報が漏れている?




◇◇◇◆◆



 僕たちは魔王様の執務室に集められて今後の打ち合わせをしている。アモナ姫の行方は依然としてわかっていない。


「魔王様、クリメニア伯爵の家を捜査するべきです」


「ディラン、理由なく伯爵の家を調べてアモナがもしも見つからなかったらどうするのだ」


「し、しかし!」


「おい、タカシ。合法的に伯爵の家に入る方法は何かないか?」


 今まで変態と呼んでいた魔王様が名前で呼ぶだけで何とも感慨深いものがある。


「スキルで透明になれるので忍び込むのは割りと簡単ですよ」


「確か息を止めている間だったか。見つかったらどう無力化する?」


「最近の流行りは治癒(キュア)ですかね」


治癒(キュア)で何で無力化できるのだ!」


「タカシ様の治癒(キュア)はヤバいのですわ!」


「そ、その、私は性的な感情が突き抜けて意識を失いました」


 後ろを振り向くと恥ずかしそうに俯くソフィア聖女が……。

 えっ、何で居るの?


 ピースケとソフィア聖女以外の全員が僕を冷たい目線で見つめてくる。


「まさか聖女殿が話していた補給基地での捕獲方法というのは本当のことであったのか……その、すまぬ」


「い、いえ、もう終わったことです。問題にもしません」


 た、助かったぜ。これからは仲間だからね!


「カシューのことも心配だし、父上に言われて僕が連れてきたんだよ」


「ピ、ピスタ王子!?」


「おい! 変態。その治癒(キュア)をディランにやってみろ」


「ま、魔王様ぁ!! な、何をおっしゃりますか!」


「冗談だ。で、変態。クリメニア伯爵家にいる100名程を姿を見せずに無力化可能か?」


「麻酔という人を強制的に眠らせるガスを風の魔法に乗せて伯爵の邸宅に運ぶことでほぼ無力化できるでしょう」


「お前の魔法はどうも犯罪臭がするな。まぁいい、それでいこう」

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