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第13章 11話

 僕とピースケはようやく解放されていったんみんながいるピースケの家へと向かっている。それにしても挨拶だけで三時間も掛かるとか聞いていない。こんなので顔と名前が覚えられる訳がない。


「貴族と会う可能性がある場合はピースケが側にいてくれないと誰が誰だかさっぱりわからないよ」


「とりあえず知ってるふりをして話を合わせておけばいいっすよ。時間が経てばそのうち覚えるるっす」


「そんなんでいいの?」


「強いて言うならクリメニア伯爵一派に気をつけておくってぐらいっすね」


「そういえばさっきは彼らに挨拶しなかったけどよかったのかな」


「向こうが避けていたのだから問題ないっす」


「ならいいんだけどね。貴族のしきたりとかよくわからないからさ」


「マスター、もうすぐわが家に到着っす」


 ピースケが指差した方角には大きなお屋敷とその門の前で知らない二人組の男性が門番と揉めている光景があった。



「おい、私をシトラス・クリメニアと知っての狼藉か!」


「申し訳ございませんが事前にご連絡を頂いた上で我が主の許可をとって頂かなければここをお通しする訳にはいきませぬ」


「シトラス様、きっと見られては困るものがあるのでしょう」


「まさか中にアモナが監禁されているではないか?」


「それはいけませんねぇ。伯爵家に連なる者として指導が必要かと」


「こちらは王家直轄の敷地である。伯爵ごときの名前で指導とは無礼千万である! そうそうに立ち去るがいい」


「門番の躾すらなっていないとは嘆かわしい。よいアデルバートやれ」


 アデルハートと呼ばれた者は魔法をこめると何の躊躇いもなく火属性の魔法を門に向けて撃ち放った。


「ピースケ!」


「マスターは門番の救出をお願いするっす」


 そう言うとピースケは二人組に向かって声をあげた。


「シトラス殿! これはどういうことだ? その行為は王家への反逆ということでよいのかな」


「おやおや、そんな所に隠れておりましかピース王子。いや何、この門番が私に不敬な発言をしたのでアデルハートに仕置きをお願いしたのですよ。王子の留守期間が長かったせいか門番の質が落ちているようですな」


「ほぅ、それは失礼をした。門周辺には会話を記録する魔法具があるので後で確認してクリメニア家に謝罪に伺おう」


 ピースケの口調が珍しく怒っている。こんな話し方も出来るのか。


「いえ、謝罪はこの場で頂いたので結構。では今日は出直すとしよう。いくぞアデルハート」


「はっ、シトラス様」



 門番を救出して怪我を治すととても恐縮されてしまった。たいした怪我でなくて本当によかった。それにしてもあんなのが貴族の跡取りでクリメニア家大丈夫か?


「それで会話を記録する魔法具とか本当にあるの?」


「魔法具はあるっすけど、門にそんなのはないっす」


「なかったのか。やるね、ピースケ」


「貴族同士の場合、決闘が最終手段になるっすから口や手紙、噂話等で派閥ぐるみの争いが殆どっす。それにしてもまさか自分にこんな態度をとってくるとは思わなかったっす」


 まぁ普通に考えて伯爵家が王家に喧嘩売るとか馬鹿としか思えない。アモナ姫にこだわる何かしらの理由がありそうだ。


「タカシ様! 何か凄い音が聞こえたのですけど……あら、門壊しちゃったのかしら?」


「いや、僕じゃないよ!」


 ティア先生の胸元から出てきた眠気眼なウンディーネがしばらく様子を伺うと何かを理解したのか僕の頭を撫でてくる。いや、だから門壊したの僕じゃないの! 励ましとか慰めとかいらないの!


「とりあえず、中に入るっす。今日はさすがに疲れたし、お腹もペコペコっすよ」


「そうだね。僕もペコペコだよ」


「タカシ様が子爵になったからとお祝いの品が届きまくってますわ。食べられそうなのがあまりないのが残念かしら。私達もミルさんとご馳走を用意したので早く食べましょう」


「お祝いの品とか早すぎない? いつ用意したんだろうね」


「常々準備しているものっすよ。ミルはミートローフ作ってたっすか?」


「ピースケ様の好きな料理だそうですね。ちゃんと特製ソースにピーナッツバターを隠し味に使ってましたわ」


「それっす! マスターにもぜひ食べてもらいたいっす。ミルの得意料理っすよ!」


「それは楽しみだね!」


「あと、魔王様からタカシ様、ピースケ様宛に手紙が届いておりました。中は見てないけど聖女様関係らしいですわ」


「……そ、そう」


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