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第13章 8話

 外に出ると食糧倉庫を確認していたレヴィとウンディーネが出てくるところだった。


「お兄さま、目標の方はいらっしゃいましたか?」


「そうだね。それっぽい人は捕獲できたよ。レヴィの方はどうだった?」


「こちらには、めぼしい方はおりませんでした。食糧だけじゃないみたいで薬や武器もありましたがそのままでよろしかったですか?」


「さすがに闇の門(シャドウゲート)に収まりきらないだろうから置いておこう」


「では、私達はレイコさん達の方を手伝ってきますね」


「あっ、僕たちも一緒に行くよ」


 レイコさんとティア先生が調べている建物は宿舎にもなっているようで奥に長い。


 半分くらい進んだところで二人と合流するとその後は手分けして捕獲していった。起きている者は誰も居らず、割りとスムーズに完了した。


 この魔法、予想以上に使い勝手がいいかもしれないね。ちなみに捕獲した人数は合計で約350名となった。


「タカシさん、この後はどうなさいますか?」


「目標は達成してるから戻ってもいいんだよね。どうしようか」


「いたずらに功をあせっても仕方がないでしょう。言われた内容は達成しているのですから戻られた方がよいのでは?」


「うん、レヴィの言う通りかもね。まだこちらの世界のことも理解していないし、念のため周辺の確認だけして戻ろう」


「お兄さま、それなら雷の中級魔法で調べられるのではないですか?」


「あぁ、雷鳥(サンダーバード)だね。確かにうってつけかも」


 雷鳥(サンダーバード)×10


 キュルキュルー キュルルー!


「周辺に人がいないか確認しておいて。武器を持った人は問答無用で襲っちゃってください。じゃあ、ゴー!」


 キュルキュルー キュルルー!


「タカシ様は戻られたらまた魔王と宰相と話があるのですよね。私達はアモナとかいう泥棒猫とお話しさせて頂きますので別行動させてもらいますわ」


「えーっと、殺しちゃ……」


「殺さないかしら」


「食べ……」


「食べませんわ!!」


「私達ってことはレヴィとレイコさんも?」


「「もちろんです!」」


「で、ですよねー。二人もあまりいじめちゃダメだよ」


「タカシさんは一体どちらの味方なんですか?」


「も、もちろん、みんなの味方ですとも」


「お兄さま、少し私達にお任せて頂いてもよろしいでしょうか」


「は、はい」




◇◇◇◆◆



 魔王城に戻るとすぐに謁見の間に来なさいとのことで、僕は控え室にて着替えをすることになった。あれっ、前にもこんなことがあった気がするな……。


「マスターは背丈が近いっすから、自分のを着るといいっす。そこのクローゼットから好きなのを選ぶっす。じゃあ自分は先に行ってるっす」


 確か前回、そのセリフの後にクローゼットを開くとアモナ姫が抱きついてきた気がする。


 まぁ、今回はさすがにいないと……。


 パタ、バタンッ


 おかしい。目が疲れているのだろうか。


 パタ、バタンッ パタ


「タカシ様、どうしてお閉めになるのですか?アモナは淋しいです」


「ちょっ、何してるの!? 二回目はまずいって!」


「ご安心くださいませ。もう無茶しなくても婚約できそうですから目立つようなことは致しませんわ」


「そ、そうなの? じゃあ何で?」


「一応、報告というかお伝えしておこうと思いまして。こちらをどうぞ」


 アモナ姫から渡されたのは一枚の紙。クリメニア家、エレモ家、ミクロ家と三つの家系名が書かれていた。


「これは?」


「クリメニア家が伯爵家になります。クリメニア家の子分でエレモ、ミクロ両家が男爵家でございます」


「貴族の名前がどうかしたの?」


「クリメニア家は長男と私の婚約を狙って様々な画策をしておりました。今回の謁見で何かしらの邪魔をすることも考えられます」


「そこは魔王様と宰相様が上手くやってくれるんじゃないの」


「あてにできません。お父様は利があればクリメニア家に傾くかもしれませんもの」


 なるほど、それはそれでありかもしれない……。


「タカシ様! 酷いことをお考えですのね」


「全然。何も考えてないよー」


「それにクリメニア家には悪い噂も聞くのです」


「悪い噂って?」


「異種配合の禁忌研究のために多くのモンスターを殺害しているとの噂が……。私との婚姻もより多くの研究費を引っ張れるようにするために違いありません! そ、それに魔王に連なる血を研究に欲っしているかもしれませんもの」


「噂ね……。娘大好き魔王様がそんな噂のある家になんて嫁がせないと思うけどな。まぁ、わかったよ。クリメニア家には注意しておくね」


「毒や暗殺にも気をつけてくださいませ」


「えっ、僕もヤバいの!?」


「それが一番手っ取り早いですわ」


「た、確かに!」



 一気に憂鬱になってきたな……。


 全く困ったことに巻き込んでくれるお姫様だ。あー、早くダンジョンに戻ってのんびりしたいわ。

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