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第13章 7話

 みんなで基地に入ると用意したロープで片っ端から縛り上げていく。胴体と腕を一緒に縛り、歩けないように足首もきつく縛って完成。縛り終わったらすぐに闇の門(シャドウゲート)の中に入れて完了だ。


 麻酔はかなり効いているようで多少乱暴にしても全然起きない。麻酔切れたらちゃんと起きるよね? そう心配するくらいに目が覚める気配はない。


「マスター、これ薬中じゃねぇよな?」


「ヨルムンガンドちゃん寝てる人を蹴りながらお話しちゃダメだよ」


「本当に寝てるだけなのかぁ?」


「ね、寝てるだけだよ。起きちゃうからあんまり蹴っちゃダメだって」


「まぁ、どっちでもいいんだけどよぉ」


「お兄さま、外にいる方々は全て捕獲し終わりました」


「じゃあ、建物の中だね。倉庫の中の食糧は量が多すぎるから前線部隊の方に任せて残しておこうか。僕らは捕虜の捕獲に注力しよう。二班は左側の倉庫を三班は右側の大きな建物を」


「はい」「かしこまりました」


 指示を出すと僕とヨルムンガンドちゃんは真ん中の二階建ての小さな建物に向かう。なんとなくだけど、お偉いさんがいるならこの建物だろう。倉庫にたまたまいる可能性は低い。大きな建物の方は大型の宿泊用施設っぽい。慰問中ならここにいてもおかしくはないがそれなら外にこれだけ多くの人が捕獲されているのはおかしい。


「ヨルムンガンドちゃん、建物の中は一応気を付けてね」


「おう!」


 バッターン!


「ヨルムンガンドちゃん、お、音!」


 こんなので起きるほど優しい麻酔じゃねぇーぞ的な目線を向けないでもらいたい。まるで僕が悪いみたいじゃないか。あれっ? そうなのか?


「ヨ、ヨルムンガンドちゃんは一階をよろしく。僕は二階を見てくるよ」


「了解したぞ」


 二階に上がる階段を見つけて進んでいく。どうやら三部屋あるようだ。順に開けていこう。


 左側の部屋に入ると着替え中の筋肉おっさんが床に倒れていた。偉そうな雰囲気もなくはない。あんまり触りたくはないが一応縛り上げておこう。


 うつ伏せに倒れている筋肉を仰向けにしたところ急に抱き締められた!?


 いや、痛い痛いっ! この筋肉! あっという間に口を抑えられ体を床に押しつけられる。


「貴様、何者だ!」


 氷結(アイシクル)


「フグッ……」


 あっぶなー。たまたま麻酔耐性の強い筋肉だったのか筋肉に麻酔が効かないのか……。


「あっ!」


「マスター、大丈夫か? あーあ、殺しちゃった」


「いや、違くて。この筋肉が襲い掛かってきてヤバかったんだって」


 床には胸を凍らされて息をしていない筋肉が上半身裸で下半身も半分脱げかかって倒れている。

「と、とりあえずみんなには黙っておくよ」


「いや、違くて!」


 何とか誤解を解きつつも筋肉を闇の門(シャドウゲート)にしまいこみ次の部屋へと向かう。


「一階は大丈夫だったの?」


「二人しかいなかったし、グッスリだったぞ。ちなみに偉い感じじゃない服装だった」


「ちっ、やっぱ筋肉がお偉いさんの可能性が高いのか……しまったな」


 真ん中の部屋は誰も居らず、残った右側の部屋に入ることにする。するといきなり手刀が眉間に飛んできた。今回はちゃんと警戒していたのであっさりと避けられた。


「ていっ!」


 すぐにヨルムンガンドちゃんが伸ばしてきた腕ごと蹴りちぎった。可愛いかけ声とはほど遠い残虐っぷりに躊躇いもない五歳児である。


 右腕を失いながらも後ろに高貴な女性を庇い佇むのもまた女性、どちらも十代後半ぐらいか。左手に短刀を構え、歯をくいしばっている。よし、こっちが当たりだったか。


 筋肉よ安らかに眠りたまえ。


「二階は麻酔があんまり効かなかったみたいだね」


「麻酔!? なんだそれは? お前達は魔族のものか」


「あなたの後ろにいるのは誰?」


「言うと思ったか!」


 だよねー。レイコさんは人道的にとか言うけど、どうやって捕らえようかな。そもそもヨルムンガンドちゃんが腕蹴りちぎってる点から人道的とはほぼ遠い気がしてきた。


 もういいや。


「ごめんね。腕を治してあげるよ」


「な、なんだ、おい! ち、近づくな」


 治癒(キュア)


「はぅっ!! な、何を……はぁぁぁぁん」


 右腕が生えてくると同時にくる性的な気持ちよさに負けてしまったようだね。床に倒れてピクピクしている。


 久し振りに変な成分が含まれた治癒(キュア)を撃ってしまった。怪我を治してあげたのに人道的でない感じMAX。ん? 人道的って何だっけ?


「リ、リズ! どうしたのだ! リズに何をしたのだ!」


「見ての通り治療だよ。ほら腕治ってるでしょ」


「こ、来ないで! や、やめるのだ。あっ」


 後ろに下がりながらも、躓いて転んでしまう高貴な女性。


「あれっ? 怪我しちゃった? 治さないと」


「してない! してないぞ」


 治癒(キュア)


「あっ……ああっ。あ……ふぅ!」


 ゾクゾクッ びくんっ びくっ



「マ、マスター、とりあえずみんなには黙っておくよ」

みなさんの応援のおかげで200話到達出来ました。ありがとうございます。

続きが気になった方は、ブクマやポイント評価を頂けると作者のモチベーションアップに繋がります。

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