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第2章 4話

 「マスター、来たっす」


 「敵意を持ってダンジョンに入ってきた初の侵入者だ。遠慮はいらないね」


 「お兄さま、私が行きましょうか」


 男らしいレヴィちゃん凛々しくて可愛い。


 「いや、レヴィもティアもここで見てて。僕の遠隔魔法で対処するから彼らがどのような戦略や武器を使うのか見て勉強してほしいんだ」


 この世界には魔法もスキルもないが、物理や科学が高度に発達している。これから戦う相手だ。じっくり観察してほしい。



 入口付近に閃光弾が投げ込まれる。


 その後、催涙ガスの煙が視界を遮り、ガスマスクに短機関銃を抱えた特殊部隊数名がダンジョンに入ってきた。


 彼らはダンジョンの様子を窺いながらカメラを設置していく。奥に繋がる細い通路を見つけるとカメラが付いた探査用ロボットをセットしはじめた。


 外から配線で繋がれた場合、カメラが起動するのか気になったが、情報を渡すつもりはない。


 「ずいぶん慎重なんだね。でもダンジョンの中を好き放題見られるっていうのは嫌だからね」


 「『稲妻(サンダーボルト)』」


 あっ、少し強かったか。稲妻(サンダーボルト)により全てのカメラと探査用ロボットが粉々に弾け飛んだ。ショートさせて作動させないようにしようと思っただけなのに。


 「そ、狙撃!狙撃ぃ!狙われてるぞ!」


 みなさん驚いていらっしゃいます。どこにも敵はいないと思っていたらカメラ機材がよくわからない攻撃で破壊されたのだ。稲妻(サンダーボルト)初めて見るし、知らないもんね。遠隔魔法恐るべし。


 「って、撤退ぃ!撤退!」


 なかなか判断は早いけど、させないよ。


 「『水弾(ウォーターボール)』!」


 撤退しようとしている入口側から押し出すように巨大な回転式水弾(ウォーターボール)をプレゼントする。


 「な、なんだあれは!ぜ、全員防御姿勢!」

「ぅうぁわぁー!」「ゴプゥピョ……」


 キュルキュルキュル~ジュッバァーン!


 全員まとめて岩壁と水弾(ウォーターボール)に挟まれて溺死または圧死。


 ピコン!侵入者を討伐しました。

 討伐ポイント30万P取得。


 一般人よりはポイントが高い模様ですね。あざっす。


 先行部隊の殲滅に要した時間、僅か3分の圧勝劇だった。




◇◇◇◆◆



 その頃、ダンジョン入口の特殊部隊では。


 「通信は繋がらないか。カメラはどうだ」


 「データまだ送られておりません」


 チッ。リアルにファンタジーかよ。この距離で電波届かないとかありえないだろうが。洞窟内の様子はわからず、音も聞こえない。おそらく洞窟に入って10メートル先は別物だ。


 「川崎隊長!カメラ機材のケーブルが繋がっていません。なんというか、ちぎれています」


 「くそっ、撤退指示だ。誰でもいい、大声で撤退を伝えろ!」


 しかしその後、何度も撤退を呼び掛けるも誰ひとりとして戻ってくることはなかった。さすがに全滅したとは考えづらいが、どうしたものか。


 無駄になるだろうとは思ったが、一応ドローンを飛ばすも10メートルより先に入った途端にロストした。


 「隊長、このままでは中に入った奴らが危険です。私の班に突入指示をください」


 「しかし、岩田。安全が何も確保されてないんだぞ」


「それでもです。誰かが行かなければなりません。10分以内に戻らないようなら全滅したと判断していただいて結構です」


 「っく、すまない。7分だ。登山用のザイルを取り付けるぞ。時間が来たら問答無用で引っ張りあげるからな。岩田、死ぬなよ」


 「隊長が優しいとか、らしくないですね。大丈夫です。全員確保して戻ってみせます」


 おおかた、功を焦り深入りしすぎたところ罠にでも掛かったのだろう。


 あれだけ情報を持ち帰るように言われていたにもかかわらず、入った直後に機材を壊されては目もあてられない。


 失敗を取り返そうとしてミスしたな。

とはいえ、我々も続けて失敗する訳にはいかない。


 「いいか。3分以内に状況を把握するぞ。3分経過したらいったん戻る。要救助者を近くで発見した場合のみ対応する。ではいくぞ」

 何度も繰り返しながら進む。


 今はそれしかあるまい。


 そうして、特殊部隊による第二陣10名がまたダンジョンに突入するのだった。

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