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第13章 3話

「消えるスキルであるか。気配を消せないのが残念でござるな。タカシ殿が何処にいるのかは某にはまるわかりでこざるよ」


 そうだろうね。タカモトさんは真っ直ぐ僕を見て喋っている。何なら目が合っているような気がしないでもないのだけど気のせいだろうか。


 気配がバレバレなのは予想通りなので別に構わない。


 ただ見つめている僕の姿が見えていなければいい。


 エレメント化して雷人となり上級魔法を準備していることがわからなければいい。


 この一撃は外せない。魔力もごっそり注ぎ込んだ。肉もとい、エレメントを切らせて骨を断つ。


 エレメントでも斬られたら痛いのだろうか。ジョナサンは綺麗にスパッと切れてただけに若干心配ではある。しかし、今回は死なないらしいので試してもいい。そんな風に思ってしまう僕は大分頭のネジがイカれてきているのかもしれない。


 目の前には何を悟ったのかタカモトさんも再び居合い斬りの構え。本当、それ怖いからやめてもらいたい。


 でもね、僕がさっきまでのスピードだと思うなよ。


 下手な小細工はしない。

 ただ真っ直ぐに突き刺す。


 足に神経を集中させる。最短に無駄な動きを全て削りとってただ真っ直ぐに突き刺す!


 僕の目はタカモトさんの心臓を一点に見つめて逸らさない。


 よしっ!


 タンッ!


「ぬおっ!? は、早いっ!」


 ザシュッ シュパーン!



「っ! お、お見事でござるな」




 僕の突き刺した刀は僅かに右に逸れて、いや避けられたのか。しかしながらタカモトさんの左腕を吹き飛ばしていた。


 一方で僕は胴を真っ二つに斬られた……かと思いきや、左腕を飛ばしたことで奇跡的に刀も同時に飛ばせていたようだ。


 ほんのちょっとの差だったけど隙を突くことは出来たようだ。でも……


「僕の負けですね」


 魔力はもうすっからかんだし、何よりスキルや魔法を重ねすぎたせいでまともに体が動かない。タカモトさんなら別に片腕でも動けない僕を倒すのは簡単なことだろう。


「いやはや、ここが戦場ならば刀を飛ばされた時点で相討ちに等しいでござるよ。それに模擬戦とはいえ傷をつけられたのは久し振りのことである。タカシ殿は面白いでござるな」


「結構自信があったんですけど……まだまだですね。上には上がいると思い知らされました」


「立てるでござるか? 肩を貸そう」


 ドーム状の枠が解除されるとタカモトさんの腕は元通りに戻っていた。もう終わりでいいってことかな? な、なんとか死なずに戻ってこれたか。


「腕は生えるのに体力は回復しないんですね。すみません、肩お借りします」


「それにしても、最後のは魔法でござるか? あの雷のような刀。とてつもない切れ味であった。あれを某に教えて欲しいでござる!」


「それはもちろん構わないですけど……あれっ、タカモトさん魔法使えるんですか?」


「使えるでござるよ」


「で、でも、今の模擬戦では……」


「さすがにルーキー相手に全力は出さないでござるよ。一応、先輩でござるからな」


 タイプの問題もあるだろうけど僕が魔法なしで戦ったらこの世界にいるダンジョンマスターの誰にも勝てないだろうな。


 いや、考えるだけ無意味か。タカモトさんのように魔法が使えなくても戦えるように剣術や体術を学ぶのは大事かもしれないけど、僕のステータスは魔力特化に振り切っている。磨くならスキルレベルや魔法でいいか。



「タカシ様ぁー!! こ、これは殆ど勝利といってもいいのではないでしょうか。やっぱりタカシ様は素敵でございますわ!」


 そこへ、僕に抱きついてくるアモナ姫。殆ど体が動かない僕はあっという間に押し倒されてしまう。ちょっ、やめて。


「元々、タカモト様と勝負させたお父様の頭がおかしいのであって普通の模擬戦なら圧勝ですもの!」


 僕が動けないのを知っているのかわからないが、頭をぐりぐりとこすりつけてくる。ご主人様が帰ってきたワンコのようにグイグイくる。


 ふと、顔を見上げるとこめかみをピクピクさせた魔王様が……。


「おい、変態マスター。随分と元気そうではないか。話があるからついてこい! アモナもいい加減にしなさい。場をわきまえるのだ」


 そう言うとスタスタと歩いていってしまう。いや、僕まだ動けないのだけど。


「マスター、お疲れっす。とりあえず『魔力回復薬』っす」


「あぁ、ピースケありがとう」


 『魔力回復薬』をグビグビ飲んで少し魔力が回復したのを確認すると治癒(キュア)を施し、ようやく体を動かせるようになった。


 さて、魔王様の後を追いかけなければ……。なんか嫌な予感がしないでもないが行くしかあるまい。


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