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第12章 14話

「それではピース様、タカシ殿、お手を拝借致します」


 塔の中に入るとすぐにグループ長から手をとられて応接室っぽい場所へと転移させられた。テーブルの上には既に人数分の紅茶が用意されており、見たこともない機械が並んでいた。


「ささ、どうぞこちらにお座りくださいませ」


「このあと魔王様と謁見なされるのでしょう。私共でスケジュールの確認をしておきましょうぞ」


「あー、すまないっす。ついでに調べてもらいたいことが二つあるっすよ。一つはボトル家の三男について消息を教えてもらいたいっす。次に兄貴のダンジョンマスターであるカイトと話をしたいっすよ」


「ボトル家の三男につきましては現在第二世界でセカンドチャレンジ中でこざいますな」


 よかった、ボトル先輩まだ生きていた。第二世界の方が普通に魔法で攻撃される以上、条件は厳しそうだから喜んでいいのか微妙ではあるけどね。でもレイコさんの悲しい顔を見ずに済みそうでホッとした。


「カイト殿は儂の『戦略と戦闘についての研究』グループに在籍しておるな。残念だが今は前線の一つで工作活動の指揮をとっておってな。戻るのはもうしばらく先のことであろう」


「あのー、カイトさんに手紙を届けることは可能でしょうか? 実はお知らせしたいことがありまして……」


 僕はモンスタードールズと『ゲリュオン』のことを三人のグループ長にお伝えした。ちなみに『ダンジョンとパラレルワールドについての研究』をしているのが、ガズズ氏。『魔法とスキルの研究』をサイゼス氏。『戦略と戦闘についての研究』をしているのがオランズ氏とのこと。


「何とも不思議なことが起こるものよのぉ」


「第二世界に召喚され、転生したのが第三世界とはまた数奇な巡り合わせよ」


「魔操殿のお手紙、しかとこのオランズが引き受けようぞ」


「ありがとうございます。ところで魔操っていうのは僕の呼び名みたいなものなのですか?」


「そうじゃな、ダンジョンマスターに与えられる二つ名のようなものじゃよ。その者の特長を捉えた名となる」


「タカシ殿は『魔力操作』というスキルを生み出したダンジョンマスターであるからに魔操という名は相応しい。スキルと魔法には一番興味があるであろう」


「おいサイゼス。タカシ殿をお主のグループに誘導するでない。ダンジョンとパラレルワールドに興味を持っているかも知れんだろ!」


「二人とも落ち着かんか! それはこれから説明することであろうが。決めるのは魔操殿である。その前にと。誰か、誰かおらぬか!」


 オランズさんが場をまとめるようにガズズさんとサイゼスさんを嗜めると人を呼んで何やらお願いをしていた。どうやら魔王様との謁見時間を調整する役人を呼び出したらしい。


「こちらは一時間も掛からんであろうから、それ以降で魔王様の時間調整をお願いしてくるのだ」


「はっ。かしこまりました」


 役人は慌ただしく去っていく。この城広いから大変だろうな……。


「それではタカシ殿、この機械に手を置いてもらいたいのだが」


「これは何ですか?」


「新魔法と新スキルの情報を解析させていただくものじゃ。これを使って研究を進めていくことで誰でも使えるようにしていくのが魔法とスキルの研究でもある」


「こらサイゼス! いい加減にせんか」


「ちょっとぐらいえぇじゃろ!」


「それはすごいですね。『魔力操作』スキルはみんな習得は出来たけど、なかなかレベルが上がらなくて苦戦してましたから」


「あまり期待はせんでくれ。タカシ殿のスキルはとても難度が高いように思われる。魔法に至っては上級魔法じゃからそもそも使える者がそうおらんしの」


「そ、そうなんですか」



 その後、三つの研究についての説明をしていただいたのだけど『ダンジョンとパラレルワールドについての研究』についてはさっぱり話についていけなかった。


 魔方陣学の応用とか時空の歪みとか熱弁されても中二病患者でない僕にはそのノリにもついていけなかった。唯一、ダンジョン管理というのが面白そうだと思ったけど観察メインなのでちょっとつまらなそうだ。


 続いての『魔法とスキルの研究』はある程度予想通りで僕向きとも言える。解析された情報を基に魔法やスキルを万人が使えるように分析したり新魔法の開発を行っている。


 最後に『戦略と戦闘についての研究』だけど、個人用の武器から攻城兵器の製作、工作活動に様々な陣形の研究などを行っているという。


 話を聞いて思ったのは、三つのグループは連動したグループ構成になっているということ。ダンジョンや魔方陣関係の魔力関連でガズズさんとサイゼスさんは連携している。


 魔法やスキル攻撃でサイゼスさんとオランズさんの戦略は連携している。


 そして、武器の製作や工作活動の研究をオランズさんとガズズさんのダンジョン研究で連携している。


 僕的にはやっぱり『魔法とスキルの研究』が面白そうだ思った。新しい魔法やスキルを考えるのは楽しい。


 今でも魔法が出現した感触が手に残っている。ジョナサンを斬った上級魔法炎剣(レーヴァテイン)改雷切(かいらいきり)。上級魔法をもっと使ってみたいし自分でも完成させたい。


「僕はサイゼスさんのグループに参加したいと思います。僕の『魔力操作』スキルは新魔法の開発向きですし、何より僕自身が新しい魔法を創りたいんです」


「おぉ、そうであるか!」

「創りたい……か」


 喜んでくれるサイゼスさんに、何か考えるような素振りのガズズさん。最後はやはりオランズさんがまとめてくれた。


「魔操殿はまさに研究家であられるな。そこまで言われてはしょうがあるまい。先ほど話をした通りグループは違えども連携することもある。その時はしっかり頼むぞ」


「かしこまりました。オランズさんもガズズさんもよろしくお願いします」


「では魔操殿、これをお渡ししよう。こちらの世界にいる間は常に身に付けなければならないものだ。だいたいみな左胸に付けて留めておるの」


 オランズさんからもらったのは杖のマークが印された金属製のバッジのようなものだった。裏面にはその場で魔操の文字が刻まれた。


「これは?」


「杖のマークは所属グループを。裏面と合わせて本人確認が出来るものでな。位置確認や通信も可能なアイテムじゃ」


 ちなみに、他のグループのマークはガズズさんのグループが魔方陣で、オランズさんのグループが剣だった。


 その後、僕はカイトさん宛の手紙をオランズさんに預けてピースケのお父さん、つまり魔王様と会うことになった。場所は謁見の間とかではなく、何故か城兵の訓練所だという。えっ?

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 感覚派と研究家は完全に真逆でしょ。 実際この主人公は何か努力して得たのかな?
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