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第12章 12話

「どうやら説明は終わったようっすね。全員で行くってことでいいっすか?」


 ウナ次郎との話が終わったピースケが会議室に戻ってきた。


「うん、全員で行くよ。ピースケ、何日間ぐらい行くのかな? 着替えとか何着持っていけばいいかわからないよ」


「初日は日帰りっすよ。予定といってもマスターは一応父上にも会ってもらうつもりっすけど、あとは所属グループを決めるぐらいっす」


「ま、魔王に会うのか……あれっ! 日帰りなの!? バトルな展開とかがあるんじゃないの! 人族に攻められているんでしょ?」


「攻められてはいるっすけど今日明日でどうにかなってしまうほど酷い状況じゃあないっすよ。領土は取られているっすけど、今は膠着情態ってやつっすね」


「あらっ、ピースケ様。人族を殲滅させなくていいのかしら?」


 ティア先生はやる気十分なようだ。まだ暴れ足りないのだろうか。


「こっちの世界の戦争でも話に聞くのは攻める方がお金がかかるとかいいますもんね」


「まぁ、レイコの言う通りっす。今は前線基地の整備でお金をかなり消費してるようっすからしばらくは大きな動きはないはずっす。領土が狭くなったことで魔族の防衛も硬くなってるっす。それに、父上は人族を全滅させるつもりはないと思うっすよ」


「息子を殺されたかもしれないのに?」


「政治に家族は関係ないっすよ。人族全てが悪ではないから難しいっす。詳細は父上から話があると思うっすよ。それじゃあ行くっすか」


「それでどうやっていくの?」


「『転送キー』を取得したはずっすよね。それを手で握りしめて少し魔力を込めたら行けるはずっす」


 『転送キー』を取り出して少しだけ魔力を込めてみる。すると心に話しかけてくるように声が聞こえてきた。


 ―――転送する人数はこの場にいる七名全てでよろしいですか―――


 なんか喋りかけられた! このカギが話しているっぽい! 周りを見渡してもどうやら僕以外のみんなには聞こえていないようだ。ピースケの方を見ると頷いているからこれでいいのだろう。


 心の中で念じてみる。 ―――はい―――


 一瞬ぐらっと揺れるような気持ち悪い感覚。するとそこは会議室ではなく真っ白な世界に切り替わっていた。みんなは……ちゃんと周りにいる。ピースケが歩き出すとその方向に行き先がわかった。白い中に一つだけポツンと扉があるのだ。みんなの方を見て頷くと僕たちはピースケの歩いていく方へついていくことにした。




 扉を開けて入っていくピースケ。ボクたちも続いて扉を抜ける。扉の先は少し狭く、特にこれといって言うことのない木で造られた部屋だった。


 目の前には金髪の青年を迎えるようにダークブラウンの癖っ毛ショートなネコ耳少女が膝まずいていた。メイド服を着ているからメイドで間違いはないと思う。金髪の青年はピースケ? だよね?


「お帰りなさいませピース様。ミルは心配で心配で一睡も出来ませんでした」


「自分が第三世界に行って戻ってくるまで約一年。いかにミルでもそれは無理っすよ」


 やはり金髪の青年はピースケのようだ。歳や背格好は僕と似ている。二十歳を少し超えたぐらいで身長も175センチぐらいかな。少し田舎者っぽく感じさせる雰囲気は王子っぽく見えないけど耳に入ってくる声は紛れもなくピースケのものだった。


「えーっと、ピースケだよね? そのメイドさんは?」


「あー、紹介するっす。自分の妻でミルっす」


「初めましてミルと申します。みなさまのことはピース様から常々伺っております」


「いや、今紹介したばっかっすよ!?」


「やだわピース様ったら、妻は旦那様のことなら何でも知っているものなのです。それが愛というものですわ」


「そ、そういうもんっすか」


 ピースケが押され気味だが、なんとなくミルさんが嬉しそうなのはわかる。ミルさんの少し長めの尻尾はピースケの腰のあたりをペシペシと巻きつかん勢いだ。


「仲良いんだね。それにしてもピースケが結婚しているとはね……」


「まぁ、王族の結婚は早いっすからね。ミルと結婚したのはもう五年も前っすね」


「まさかとは思うけど子供は?」


「二人いるっすよ。あとで紹介するっすね。それじゃあ、そろそろ行くっす。みんなを我が家に招待するっす。ミル、みんなのことを頼んだっすよ。マスターは研究グループへ挨拶に行ってもらうのでついてきてほしいっす」


「はいピース様。ではみなさんは私についてきてくださいね。今晩は腕を奮っちゃいますよー」


「あ、あのワインボトル先輩のことなんですけど……」


「自分が調べておくっすよ。すぐわかると思うから家で待ってるっすよ」


「はい。よろしくお願いします」


 レイコさんの精神衛生上、ワインボトル先輩には生き残っていてもらいたいな。


「マスターはこっちっすよ。ちゃんとついてくるっす」


 あー、三つの内のどれかのグループに参加しないといけないんだったね。確か一つは『ダンジョンとパラレルワールドについての研究』、二つ目は『魔法とスキルの研究』、三つ目は『戦略と戦闘についての研究』だったね。


 先ずはいろいろと話を聞いてみよう。一応『魔法とスキルの研究』にするつもりではある。そういえばカイトさんはどのグループなんだろうな。

今話よりジャンルの変更をさせていただくことになりました。今までのローファンタジーからハイファンタジーへ。また異世界タグも追加いたしました。

主な舞台を現実世界にするか、異世界にするかで悩んだのですがもっとファンタジーしたいと思います。たまに現実世界にも戻ったりもします。なんでも有りでいきたいと思います。

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