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第12章 10話

 一方その頃、同じ復活組の『熊本ダンジョン』ではダンジョンが解放されたことを早々に察知した留守番中のミイラ男カールがスマホを操作していた。


「姫様、カールから電話がきたみてぇだ。えっと、これで通話になるんだっけか? こんな小さい機械がスゲーもんだな。ほらよっと」


 ガルフから投げ渡されたスマホを手に取ると耳に近づける。本当に不思議なものだ。カールの声が聞こえてくる。


「……姫様、姫様、聞こえておりますか?」


「あぁ、聞こえておるぞカール。離れた場所でも会話出来るというのは便利なものよのう。で、どうしたのだ?」


「姫様、『大阪ダンジョン』が解放されました! 姫様が攻めこんだのですか?」


「解放だと! 我々はまだ動いていない。タカシからは『大阪ダンジョン』については私の判断に任せるとは言われておったが……」


「ということは、『千葉ダンジョン』がこの短時間でカモメのジョナサンを返り討ちにしたということでしょうか」


「まさか! ジョナサンが『千葉ダンジョン』に入ってからまだ一時間も経ってないはず。さ、さすがに……タカシならありえるのか!?」


「他に考えられません。10万もの『ガルーダ』を全て倒した訳ではないでしょうから連絡がとれるようになるまで数時間は掛かるかもしれませんが、何かメッセージを残しておいたら如何でしょう」


「そ、そうだな。ガルフにやらせよう。どうも私はこの文字入力が苦手でな」


「ガルフの指ではもっと大変なのでは……い、いえ、かしこまりました。あと、ジョナサンがいないのであれば我々も『大阪ダンジョン』に向かおうと思います」


「うむ、そうだな。リタも連れてくるのだぞ。いいレベル上げになるであろう。鳥狩りだ」


「聞いたかガルフ。直ぐにメッセージを送れ! タカシとあとミサキにも伝えておくぞ。そうすれば他のダンジョンマスターにも伝わるだろう。ちゃ、ちゃんと可愛い絵文字とかも使うのだぞ」


「なんで俺が姫様のふりしてメッセージ送らなきゃなんねぇーんだよ。ったく早く覚えてくれよな」




◇◇◇◆◆



 『佐賀ダンジョン』では『オークソルジャー』のブーちゃんがスマホを持ってきてくれた。何かしら連絡があったのだろう。


 私はまだ外には出れないので電話機能は使えない。メッセージを記入してブーちゃんにダンジョン外で送信ボタンを押してもらわなければならない。


 最近、『熊本ダンジョン』のリリアさんとやり取りするのに会談出来ないためスマホでやりとりをするようになった。もっぱらそのやりとりは恋バナだ。今は『香川ダンジョン』か『大阪ダンジョン』周辺で待機しているはずだから暇しているのかもしれない。


「さてさて、今日はどんなお悩みなのかなぁ……」




 『静岡ダンジョン』の外では私とサクラ、リノの三人がダンジョンの外で待機していた。会談での情報ならリナちゃんにお願いしているので、私たちは外でワンちゃんとスマホでの情報収集をしていた。


「小太郎、おすわり! お手。……伏せ! うん、いい子ねぇ。はい、わしゃわしゃわしゃ、気持ちいいの? そう、ここがいいの? いい子ねぇー」


 小太郎も満更でもないようで服従の姿勢をみせている。気持ちがいいのか、それはもう華麗にお腹をみせまくっている。まぁリノの手にかかれば時間の問題であったのだろう。彼女のモフりに抵抗出来るモフモフ種はいない。飼い主であるアオイちゃんの悔しがる姿が容易に想像出来る。


「どう、サクラ? 『ガルーダ』の情報はネットニュースにあがってる?」


「ダメね。ダンジョン関連は何にも情報ないみたい。師匠、大丈夫かな? あれっ、ミサキからメッセージがきてる」


「内容は?」


「じゃあ読むね。『ハロー、ミサミサ。いつも元気なリリアちゃんです。今日は相談というか、重大発表しちゃうわね。な、なんと! リリア二人目が出来ちゃいました! なーんてね、うそぴょん。びっくりした?? したよね? 実はね、『大阪ダンジョン』が解放されたらしいの。これは本当よ。連絡とれるダンジョンマスターに転送してあげてね。じゃあね、バイブー! 以上転送します。ミサキ』」


「サクラ、何なのこのうざいメッセージは? リリアさんってもっと大人な女性のイメージだったんだけど」


「そんなことより、大事なのはそこじゃないよぉ! 後半の『大阪ダンジョン』解放でしょ!」


「えっ? 解放? どういうこと」


「そのままでしょ! 師匠がカモメのジョナサンを返り討ちにしたのよ。ミクはリナさんに早く伝えてきて。『大阪ダンジョン』にしばらく篭るわよ。何しろ10万もの『ガルーダ』がリポップするのよ。一気にレベル上げるわよ!」

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