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第12章 9話

 モニターを見ると三階層の『ガルーダ』の殲滅は完了しており、ヨルムンガンドちゃんは一階層へ移動するところだった。一階層で生き残っている『ガルーダ』を掃討するのに一時間も掛からないだろう。


「案内人について詳しく知りたいんだけど、話せる範囲で聞かせてもらえるかな?」


「そうっすね。案内人は魔族の中でも貴族階級の家柄の者がなれるっす。以前にも話したかもしれないっすが、上級階級者はチャンスが二回あるっす。つまり、第二世界と第三世界で案内人が出来るっす。死と隣り合わせの任務になるため、長子、次子を除く以降に生まれた子達が自身の爵位を得るため、魔族の未来のために立候補するっす」


「三男以降? 次男はダメなの?」


「ダメじゃないっすけど、長男、長女の代わりとして家に残すのが通例っすね」


「じゃあピースケも末子になるのかな?」


「兄貴が四番目で自分が五番目になるっす。ちなみに妹も一人いるっす」


「六人兄弟かぁ。ピースケの家は大家族なんだね。あれ三番目のお兄さんも案内人に?」


「いえ。三番目の兄貴は恐らく人族に殺されているっす」


 うん? 三番目、何か聞いたことが……親書を持っていった!?


「も、もしかしてだけど、ピースケの家は……」


「王家っす。父親は魔王っす」


 目の前に王子がいる。しかもピーナツ王子だ。いや、落花生王子なのか!?


 意外だ。意外すぎる。ピースケに風格とか品位とかを感じたことがないんだけど。


「王家なのに案内人に立候補しちゃうもんなの?」


「王家といっても自分は王位継承四番目っすから。それにダンジョン候補者の初期魔力や召喚されるモンスターで王家は優遇されているっす。可能性が高いならチャレンジするっす」


「ピースケと会えたことでみんなに会えた可能性もあるのか。それにしても四番目って結構上の方じゃないの? こんな気軽に話しちゃってていいのかな」


「問題ないっすよ。あと案内人の姿は仮の姿であって、第一世界に戻ればカッコいい魔族っす。名前はピース・ハイポージアというっす。今まで通りピースケでいいっすよ。この名前、結構気に入ってるっす」


「ピースケの魔族姿がまったく想像出来ないよ」


 ふと見上げるとモニターには一階層の掃討場面が映っている。そこにはレイコさんが魔力回復薬を片手に魔法を撃ちまくっていた。そういえばワインボトル先輩も第一世界にいる可能性があるんだよね。レイコさんは会いたいだろうな。


「ピースケ、第一世界にはみんなも転送出来るの?」


「マスターとボスモンスターは何人でも一緒に行けるっす。ワインボトルの奴、生き残っているといいっすけど……」


 ピースケも画面を見ながら思い出したようだ。ワインボトル先輩も一応上級貴族になるんだよね。第二世界でしっかりポイントを稼いでいることを祈ろう。


「それにしてもウンディーネの戦闘を初めて見たけどエゲつないね」


 それはもう気持ちいいぐらいに『ガルーダ』の頭が水分で膨らんでからのパァァン! が炸裂しまくっていた。映像で見ていてもなかなかにグロい光景である。


「すごいボスモンスターが集まったもんすね。水竜二体に大海蛇、水の精霊。レイコもかなり成長してるっす」


「ティア達はもしかして第一世界の住人? ってことはないよね」


「もちろん違うっす。ダンジョンから召喚されるモンスター達もパラレルワールドから呼び出される技術というか術式が使われているっす」


「なんだか想像を超えるものだね」


「マスターも新しいスキルや魔法を作りあげてるっす! 第一世界では最初にダンジョン協会に行って三つあるグループのどれかに参加することになるっす。一つは『ダンジョンとパラレルワールドについての研究』、二つ目は『魔法とスキルの研究』、三つ目は『戦略と戦闘についての研究』。各グループの研究結果を元に人族との戦いに生き残る戦略を立てているっす」


「研究グループに参加するのか……。それぞれの特徴を教えてもらってもいいかな」


 ピースケから聞いた内容はこんな感じだった。


 ダンジョンとパラレルワールドの研究は、文字通りその二つを研究していくグループ。


 魔法とスキルの研究は、新魔法や新スキルに関わる全てのことを調べるグループ。


 戦略と戦闘についての研究は、対人族に対する効果的な攻撃・防御方法などを研究するグループ。


「僕が選ぶとしたら『魔法とスキルの研究』グループになるのかな?」


「マスターに合ってるっすね。各グループからスカウトもあると思うっすから話を聞いてから決めるのでも構わないっすよ」


「なるほど。ところで、他のクリアしていないダンジョンマスターにはこの話は出来ないんだよね?」


「出来ないっす。喋ろうと思っても言葉が出ないはずっす」


「だよねー。モンスタードールズからはカイトさんというダンジョンマスターと敵対しないでもらいたいと言われていたんだよね。どんな人なのか会ってみたいかな」


「近いうちに会えるはずっすよ。味方として」


 モニターは一階層『ガルーダ』掃討の終了が近づいていることを映し出していた。もうそろそろ片付くか。

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