第11章 14話
強酸による強烈な臭いと体や羽根が溶けて発生した異臭が酷い状況を物語っている。
「まさか、し、死んでないよね?」
ピクピクしているのでまだ大丈夫だと信じている。
僕はリナちゃん特製のヤバい薬を水弾に混ぜていつでも撃てるように空中に浮かべていた。
「じゃあ、このヤバいお薬を全身にぶっかけてあげようね」
ピクピクピク!!!!
「う、うぐっ。ヤ、ヤバい薬だとぉ……」
あっ、起きちゃったか……。
「ゲホッ! ちょ、待て、って喋ってるときに魔法ダメぇぇー! んぐっ、ぎもぢいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
おぉぅ、き、気持ち悪いな。この鳥さん、なんて叫び声で泣きやがるんだ。
するとイーグルの体がピカッと光り、まるで時間が巻き戻ったかのように傷が癒えた状態に戻って文字通りの復活を果たしていた。スキルか!?
「フッ、ビビったか。俺っちは死ぬ前等のピンチの際、直前に魔力の約、ゴプォゴプォプフォ! ふぐぉっ、ぎもぢいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
こいつ思ったより鳥頭だな。巻き戻すならこの場所で復活はダメじゃないかな。それともそこまで長くは巻き戻せないのか。
ちなみに僕はまだ特製のヤバい薬を含んだ水弾を出したままの状態で空中にキープしていたのだ。それをただ頭を包み込むようにスーッと上から下ろしてあげただけ。念のため、ヤバい水弾をイーグルの周りを囲うように増やしておこう。
何か言いたそうだったけど、あとで『てんとう虫』さんが詳細に教えてくれるから拷問も自白もいらない。さぁ、あと何回巻き戻せるのかな?
「し、師匠、お手伝いに来たんだけど……」
「お兄さま、大丈夫……ですか?」
「タカシ、面白そうなことしてる」
ピカッ!
「おい、お前ら! 俺っちの部下、ゴプォゴプォプフォ! ぶふぉっ、んぎもぢいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
「お、おいマスター、そのやべぇ奴はどうなってるんだ」
「リノ、サクラ、あまり見ちゃダメな人ですよ」
「あれは鳥。大丈夫」
「はははっ、師匠おもろいわ」
「レヴィ、『ガルーダ』達は問題なく?」
「はい。ヨルムンガンドちゃんと私ですべて捕獲しております」
「じゃあ、あとはこのヤバい鳥さんだけだね。なんかスキルで巻き戻しができるっぽいんだけど、あまり長い時間は出来ないみたいで……」
ピカッ!
「ま、周り囲まれちゃってる!? もう魔、ゴプォゴプォプフォ! ファヒュー、ん! ぎもぢいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
「マスター、ファヒューって何だ?」
何だろうね。レヴィが見ちゃいけないものを隠すようにヨルムンガンドちゃんを抱っこしはじめた。おい、うらやましいぞ。
「ヨルムンガンドちゃん、あんまり見ちゃダメです」
「ファヒューって、ファ、ファヒュー、はははっ! もう、はははっ! や、やめて」
サクラちゃんのツボにはまってしまったようで、笑いすぎて息が出来ずに苦しんでいる。
ピカッ!
「もう空だからっ、ゴプォゴプォプフォ! んん! ぎ、ぎもぢいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
ビクンビクン! ビクンビクン!
とても満足そうに失神しているイーグルが若干不憫に感じられるが、この巻き戻りのスキルは使い方によっては凶悪なものになっていたはずだ。鳥さんが使い方を間違ってくれて助かった。
「ようやく魔力切れで巻き戻し出来なくなったようだね。気を失っているうちに乗っ取ってしまおう」
僕は近くにいた『てんとう虫』さんに指示を出すとセットで『菜の花』さんも周りを囲み催眠をかけていく。
「師匠、これから『熊本ダンジョン』に行くんでしょ! せっかくだから私たちも遊びに……じゃなかった、何か手伝えると思うからついていくよ。いいよね、ミク」
「そうですね。なかなか外出の機会もありませんし、会談の様子も気になりますからね。何か力になれることもあると思います」
「『熊本ダンジョン』にモフモフは?」
「ボスモンスターで狼男がいるよ」
「オーケー。ノープロブレム。その狼連れて帰ろう」
いや、ボスモンスターだからね。しかも君らより多分強いからね。
「じゃあ、みんなで『熊本ダンジョン』へ行こう。魔法を使ったせいで人が集まってきてるから少し急ごうか。ヘリコプターで移動するからサクラちゃん達も一緒についてきて」
「うん。りょーかい!」
さて、リリアさんは会談を上手く進められているだろうか。大丈夫かな……。
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