第11章 13話
来た!!!
『ガルーダ』の群れが淀川沿いに大阪湾へと向かってきているのが見える。まだ『ガルーダキング』は見えていないがおそらく一番後ろにいるのだろう。
「レヴィ、手を繋いで」
僕はスキル『透明化』を発動させると川沿いを通過していく『ガルーダ』達を見送った。前回レイコさんと『ガルーダキング』を見かけた時は、ちょうどこの辺りの上空で待機していたと思う。あの時と同じならだいたいこの辺りに来るはず。
一団が通り過ぎてしばらく経った頃、僕の予想通り上空高くに佇む『ガルーダキング』のイーグルがいた。
ピィー!! ピィー!! ピー!!!!
口笛のような音が鳴ったのは上空の『ガルーダキング』から。
明らかにこちらを見ている気がするんだけど、『透明化』スキルが仕事していない……。気づかれたか! 大阪湾の海上で飛び込もうとしていた『ガルーダ』達はいったん上昇するとそのまま上空で周回し始めた。
息の吸えない僕はレヴィに上空を指さしながらジェスチャーで説明を試みた。
「え、えぇ。お兄さま、どうやら早速見つかってしまったようですね……」
さすがレヴィ。ちゃんと理解してくれるところが嬉しい。それにしても、せっかく透明化スキルを使っているというのに、バレバレとか恥ずかしい。気配なのか! それとも隠しきれない魔力とか漏れちゃってるのだろうか? とりあえず、意味のなかった『透明化』を解除しよう。
しかしながら、『ガルーダ』達は既に海の上にいる。飛び込まないなら落とすまでだ。
ポフンッ!!!
モンスタードールズの三人が合体して『ゲリュオン』になると、すかさず風の中級魔法を上空へ向けて放った。
「いっけぇー!!」 暴風雨!!
暴力的なまでの雨風に巻き込まれ上空にいた殆どの『ガルーダ』達はなすすべもなく海に墜落していく。一部の『ガルーダ』はモンスタードールズに向かって攻撃を仕掛けようとするも何も出来ず魔法に呑み込まれた。
唯一、陸側を飛んでいた『ガルーダ』だけが翼をズタズタにされながら地面に叩きつけられていたが、なんとか起き上がりその場から離脱しようとしていた。
イーグルは一瞬大阪湾の方を見るもこちらを警戒して動かない。少し考える素振りをするとこちらを見ながらゆっくりと降りてきた。
「おいおい、これは一体何の真似だ! お前らはこの世界のダンジョン関係者だな。どこのダンジョンだ! 言ってみろぉぉ!!」
イーグルさん激おこです。まぁ、僕が同じ立場だったら問答無用で魔法ラッシュを決めているはすだ。
僕はレヴィに討ち漏らした『ガルーダ』達の捕獲に向かうよう指示をだすと、イーグルの方へ振り返った。
「どこのダンジョン? 名前を聞いて場所わかるの? まだこの世界の地理にはそんな詳しいようには思えないんだけどな。えっ、馬鹿なの?」
「う、うるせぇ! 俺っちの部下にいきなり魔法ぶっ放しておいてただで済むと思ってるのか」
「さぁ、どうなるのか試してみるか? イーグル」
「おい、テメーなんで俺っちの名前を知っている」
「教えると思うか? いいからかかってきなよ」
身体強化と反射を用意しながら僕は次の魔法の準備をする。
「ぶっ殺す!」
かなり頭に血が上ってくれているようだ。動きが単調になってくれると助かるんだけど。
炎嵐!
「ふん、この火の中級魔法は避けられまい。避けたらあの娘にあたっちまうもんな!」
うん、予想通りの行動をありがとう。
反射
ぐわぁぁぁ!!
自分の魔法が反射されたことに驚きとっさに避けようとするも間に合わず、右羽根で体を守ろうとして被弾した。羽根が黒焦になっている。うわぁ、空飛べなそう……。
「お、俺っちの最大武器である機動力を奪うとは、どうやら少しは頭が回るようだな」
安心しろ。たまたまだからね。
土棘 土棘 土棘 土棘 土棘
「ぬぉぉぉ!!!!! 話してる時に攻撃とかよくないと思うぜ。治癒」
しっかり土棘を避けながら回復までしやがった。それにしても回復持ちだったかぁ。あー、面倒だな……。
治癒で復活した翼で空中に浮かぶイーグルは『大阪ダンジョン』のある方角を一瞥した。
「逃がさないよ。水弾×30」
直線に真っ直ぐ撃った水弾はあっさりと避けられてしまう。
「もういっちょ! 水弾×30」
「そんな魔法何発撃っても魔力の無駄遣いだぜ!」
そう思っただろうね。最初に撃った30発が分裂し倍になりイーグルを囲うように戻ってくる。前からの30発も同様に広がったところで、ようやく後ろの魔法に気づいたようだ。
「な、何で後ろから魔法が! つか、何で分裂してるんだよぉぉぉ! うがぁぁぁ!! ぶふぉっ!!!」
ジュッババババッ!! ジュバァァァーン!!
前後左右から僕の特製強酸水弾がイーグルの体を撃ち抜いた。
ここからは一気に畳み込む。
回復持ちだとわかった以上は早めに精神を壊させてもらおう。
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