第11章 8話
会談に合わせて二階層のモンスター達には三階層へ一時的に移動してもらった。現在、水の神殿は打ち合わせスペース兼お食事会場に模様替えが完了し、外側の水の回廊、砂浜エリアを魔法練習場所ということにした。
「あらかた準備は整いましたね」
「うん。レヴィも手伝ってくれて助かったよ」
「リナさん、コウジさん、サクラさんのお三方はまもなくいらっしゃると思います。ミサキさんは呼ばれないのですか?」
「ミサキさんは『熊本ダンジョン』との繋ぎになってもらいたいから暫くはフリーでいてもらいたいんだ。リリアさんとも仲は良さそうだしね」
「なるほど、お考えがあるのですね」
「実は、『大阪ダンジョン』からリリアさんに会談の連絡が入ったそうなんだ。レヴィとレイコさんにはカモメ達から集まった情報を整理してまとめておいてもらいたい。どうやら敵対する可能性もありそうなんだよね」
「かしこまりました。ダンジョン内の分析ということですね」
「話が早くて助かるよ。よろしくね。ティアはまだ寝てるの?」
「お姉さまはウンディーネと一緒にずっと寝てますね。何かご用が?」
「いや、何もないよ。でもそうだね、引き続きウンディーネのレベルアップを手伝ってもらおうかな」
「かしこまりました。伝えておきます」
それからしばらくして、リナちゃん達が集まった。コウジさんはサクラちゃんを見つけて嬉しそうだ。
「タカシ君、久し振りだね。カモメの件ではお世話になってしまったね。それにしても今日はサクラちゃんに会えると聞いて昨日から寝てないんだよ!」
「そ、そう。コウジさん、睡眠は大事だよ」
「大丈夫だよ。アドレナリンに満ち溢れているし、更に生サクラちゃん成分を補充できるからね!」
サ、サクラちゃん頑張ってください。
「師匠! 魔法の属性は一応全部習得しといたよ」
「ありがとうサクラちゃん」
「タ、タカシ。私たちは新人に魔法をレクチャーすればいいのよね」
「そうだね、リナちゃん。その前に僕たちと仲間になってもらえるかの確認が必要だけどね」
「そ、それはそうね」
「今回は、『大阪ダンジョン』対策で僕はあまり動けないから魔法練習は三人に任せたいんだ。もちろん今日一日はお手伝いするから何でも言ってね。食材関係もあっちの神殿の方に用意してあるから」
「じゃ、じゃあ早速だけど『菜の花弁当』を頂くわ」
「あっ、僕も食べたいな。あと山形の駅弁『牛肉どまんなか』を持ってきたから、こちらも並べておくね。美味しいからサクラちゃんも食べてみてよ」
「あー! そのお弁当、この間僕も食べたよ。人気の駅弁なんだよね! 味が染みててとっても美味しかったよ」
「師匠がそこまで言うなら食べてみようかな。コウジさーん、一つくださーい」
「やったー! サクラちゃん、こっちこっち。一緒に食べよう!」
どうやらコウジさんに生サクラちゃん成分が補充されていくようだ。食べ終わった箸とかをゲットされないようにだけ注意しておこう。
「そ、そろそろ来る? な、なんか緊張するわね」
リナちゃんが人見知りを拗らせはじめている。教えるなら年下の女の子とかの方がいいのだろうけど、彼女の性癖が存分に発揮されそうでとてもこわい。
「あっ、来たみたいだよタカシ君」
続々と集まって来る新人ダンジョンマスター達。今回はちょっと人数も多いし、まずは挨拶とコミュニケーションを兼ねて夜ご飯にしようと思う。新人はポイント節約のためお腹が減っているのがデフォだ。
「いらっしゃい。ここ『千葉ダンジョン』のダンジョンマスターのタカシです。今日は会談に応じてくれてありがとう。あちらの神殿で食事を用意しているからみんなで食べながら自己紹介といきましょう」
「ご、ごはん!!」「た、食べていいの!!」「お金持ってないよー」「毒とか入れてないわよね」「お、おかわりは?」
ものすごく歓声が上がった。若干一名疑っている者もいたが、何人か食べ始めたらきっと安心できるだろう。
「お金もいらないし、好きなだけおかわりしていいよ。まずは腹ごしらえからだね」
「か、神がいる。ここに神がいるぞ!」「お腹ペコペコだよー」「はじめて会ったけど愛してるわ」
「タ、タカシ、モテモテね」
「僕っていうよりお弁当がだけどね」
それでは、新しいダンジョンマスターを紹介していこう。
北海道ダンジョン
マユ27歳 案内人タラ男
岩手ダンジョン
ユウタ30歳 案内人わんこそばの助
茨城ダンジョン
ニコル(花子)17歳 案内人地塚君
三重ダンジョン
ナナミ21歳 案内人赤福丸
山口ダンジョン
ナオキ20歳 案内人ふぐ助
ペナンダンジョン(マレーシア)
アイシャ16歳 案内人パール君
鏡泊湖ダンジョン(中国)
雪蘭25歳 案内人キャロちゃん
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