第11章 7話
翌朝、夜中に戻ってきて眠そうなティア先生を引っ張りながらヘリコプターと輸送機を乗り継いで帰宅した。
「空は優雅に飛びたいものだわ。こちらの世界の飛行機とやらは揺れるし、うるさくてかなわないわ」
「おかげで目が覚めたみたいだね」
「出来れば仮眠をとりたかったですわ」
佐賀を出発してからわずか一時間ちょっとのフライト。やはり早いな。
なんだか久々に戻って来た気がするな。ダンジョンに入るとレヴィがお出迎えしてくれた。
「おかえりなさいませ、お兄さま。お食事になさいますか? それとも温泉になさいますか?」
「ひとっ風呂浴びようかな。少し考えごともしたいしね。会談の手配の方は?」
「はい。大丈夫です。みなさん今夜集合予定です。ピースケ様もお土産セットや菜の花弁当を準備されてます」
「いろいろとありがとう。やっぱりレヴィが留守番で助かったよ」
「次もまた留守番は嫌ですからねお兄さま。お土産はいいのでご褒美をください」
「そ、そうだね。ヨルムンガンドちゃんとレイコさんは?」
「二人は朝からレベルアップをしていますよ」
「おー、頑張ってるね」
「お姉さまもおかえりなさいませ」
「ただいまレヴィ。私は疲れたから少し休ませていただこうかしら」
「お疲れなのですね」
単なる睡眠不足だけどね。
一度頭をスッキリさせてから考えをまとめたい。ゆっくりと温泉に浸かろう。
まずは新しく出来たダンジョンについてか。海外にある二ヶ所については『てんとう虫』さん、『菜の花』さんの行動範囲かどうかが問題になるか。日本からの直行便がない場所だと日数がかかるかもしれない。今までもあまり都会にダンジョンが出来ているイメージがない。山があったりジャングルやら樹海がありそうなとこに出来るイメージだからね。
国内のダンジョンに関しては仲間になることが前提になるけど『新潟ダンジョン』、『静岡ダンジョン』、『山形ダンジョン』にそれぞれ割り振って魔法の指導をお願いしたいと思っている。もちろん、ダンジョン入口の守りは協力しようと思う。見張りも兼ねて。
問題は『大阪ダンジョン』のことか……。カモメの天敵って何だっけ? やっぱり猛禽類系なのかな。猛禽ではないけど水竜は苦手だったりしないかな。とりあえず、カモメを使っての情報収集は進めているので敵の内情はある程度入手出来るだろう。この一週間が勝負だ。いい情報を仕入れて情報操作したいところだ。そういえば、なんか強そうな鳥人間がいたけどやっぱりボスモンスターなんだろうな。
少し頭の中が整理できた。お風呂から上がって会議室へと向かうとピースケも準備を進めていた。
「ピースケ、ただいま。精が出るね」
「マスターおかえりっす! 女性の方が人数多いらしいっすからデザートを多めに用意してるっすよ。海外の人にも口に合うといいっすけどね」
「へぇ、そうなんだ。そういえば聞いてなかったけど、新しく出来たダンジョンって何処に出来たの?」
「国内は北海道、岩手、茨城、三重、山口で海外がマレーシアと中国らしいっすよ」
「海外も割りと近いのかな。あまり遠くじゃなくて安心したよ」
「海外のマスターともダンジョン内では普通に会話できるから安心するっす」
「おー、そうか。会話のこと考えてなかったけど普通に話せるならありがたいね」
ピースケは千葉産の果物やお弁当を大量に用意していた。そういえば会談の場所どうしようね。人数もそれなりにいるし会議室でって訳にもいかないか。魔法の練習も出来る場所がいいから二階層の『水の神殿』にしようかな。
「あっ、お兄さま。こちらにいらっしゃいましたか」
「ちょうどよかった。レヴィ会談の場所なんだけど、二階層の『水の神殿』にしようと思うんだ」
「かしこまりました。では、テーブルや椅子、食材関係の荷物も運んでおきますね」
「うん。僕も手伝うよ」
二人で手分けして闇の門で荷物を運んでいった。二階層に行くと『半魚人』達が顔を出して手伝いを申し出てくれた。
「じゃあ、半魚人達は網を使って果物を水路で冷やしておいてもらえるかな。レヴィは僕と神殿の中のセッティングをしよう」
「はい、お兄さま」
デザート関係は人気の『プレミアム枇杷ソフト』と新作の『ピーナッツソフトクリーム』を食後に提供するとのことなので楽しみにしてもらいたい。みんな仲良くしてくれるといいな。
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