第11章 4話
幼女先生リタちゃんがとっておきといった魔法はそれなりにスケールのでかいものだった。魔法の名前は星墜。特異魔法の中でも禁忌とされている魔法で歴代のウィッチマスターでも発動できた者はおらず、どうやら存在事態がかなり眉唾物とされてきた魔法らしい。
「念のため言っておきましゅけど、万が一間違って奇跡的に魔法が発動しそうになっても決して撃ってはダメでしゅよ」
どうやらこの星墜は自爆魔法のようで魔法が発動してしまったら最後、その星は滅亡してしまうらしい。魔法で引き寄せられた惑星がその星に向かって墜ちてくるのだ。防ぎようもないだろう。いったん魔法が発動してしまったら止める術はない。
可能性の話をするならば、同じ魔法での相殺ということも考えられなくもないが、最初にその星から一番近くにある惑星を引き寄せるため、必然的に次は二番目に近い惑星を引き寄せなければならない。距離にもよるがそれでは恐らく間に合わないだろう。
「えーっと、手を空に向けて星を感じる。この星を感じるってのがアバウトすぎるよね? しかも星を掴まえて引き寄せるとか本当に出来るの?」
「資料がなくて口伝なんでしゅよ。パパも魔法はイメージと勢いとか言ってたじゃないでしゅか。それでしゅよ」
「イメージと勢いね」
空へと魔力を薄く広く放っていく。……ってムリムリ。何日間かかる魔法なんですか? 魔力回復薬漬けになりながらやるんですか?
「リタちゃん、これ一人でやる魔法なの? 想定している発動までの日数はどのくらい?」
「一人でやる魔法でしゅよ。日数は約1ヶ月でしゅね。あっ、そういえば……」
「そういえば何?」
「星墜を補助する魔法がありました」
「そういうのは早く言ってよね」
「ちょっと忘れ……今手元に資料がないので、わかったら伝えるでしゅよ」
おい、口伝どこいった。
「しょうがない。触吸収の復習をしようか。おいでリタちゃん」
「い、いや、反射にしましょ。ね、パパ? あれっ、目がマジでしゅよ! パパァ!!!!!!」
触吸収!
逃げようとする幼女先生を後ろから羽交い締めにしての触吸収。この魔法は相手の体力を自分に吸収することができる。吸収してる時は常に相手の体の一部に触れていなければならない。
「はわわ、はわわわぁぁ……」
「ちょ、ちょっと、タカシ君、自分の娘に一体何をやってるのかな? もしかしてそういう趣味があるっていうならお仕置きが必要なんじゃないかなぁ」
ミ、ミサキさんに見つかってしまった。しかも一番悪いタイミングで……。端からみたら幼女を後ろから抱き締めて、はわわぁぁ言わせているヤバい奴に見えているはずだ。あれっ、これいろいろとダメなんじゃないかな?
「もう一度聞くわ。タカシ君は一体何をやってたのかな?」
この隙に幼女先生は涙目をしながらミサキさんの後ろに隠れてしまった。
「えーっと、魔法の練習かな?」
「こんな小さな子を泣かせながらやる練習なんて反対よ」
「ご、ごめんなさい。ちょっと調子に乗ってやってしまいました」
「タカシ君は魔法のことになると周りが見えなくなる時があるから誰か近くにいないといけないわね。そういえばリリアさんはどうしたの?」
「ママはパパとベッドで休憩してから疲れて戻って来ないのでしゅよ」
おい、幼女。間違ってないけど言い方に悪意が感じられるぞ。
「タ、タカシ君! き、君は性別が女ならなんでもいいのかな」
「いや、そういうのじゃなくてですね」
「そういうのじゃって、まさか性別も超えちゃうのかな!?」
「ミサキさん、落ち着いて! そういう話じゃないから」
「いいわ。リリアさんが戻ってくるまでは私が一緒にいてあげる。リタちゃん安心してね」
「ミサキお姉ちゃんありがとう!」
後ろ向きに舌を出しながらミサキさんの豊満なお胸に抱きついている幼女先生。なんだやる気か。よろしいならば、いじめてあげようじゃないか。もっと、はわわぁぁ言わせてやろうじゃないか。
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