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閑話 10

 私はリタといいます。六歳の女の子です。私は、リリア様に召喚された『ウィッチマスター』でボスモンスターなのです。


 今日はリリア様もとい、ママと一緒に『佐賀ダンジョン』へお出掛けをするのです。『佐賀ダンジョン』にはなんとパパが来るそうです。初のご対面です。一体どんな人なのでしょう。とても気になります。


「ママはパパのどこが好きなんでしゅか?」


 するとママという言葉に反応してクネクネしながら恥ずかしそうに答えてくれた。


「他のダンジョンを守るために立ち向かってみせる強さと、ちょっと弱々しく感じる母性本能がくすぐられるようなキュンとさせられる表情。そして、主導権をとらずに相手に先に話をさせつつも自分のやりたいことを上手に乗せてくる大人な雰囲気と話し方がいいわ。例えばそうね、キスしたいけどキスしてもいい? と哀願するように男性に言われると女性はその逆転現象に戸惑い驚くものなの。女性って普段はリードされる側じゃない? そ、それ、聞いちゃうの? って、ちょっとした言葉使いにもドキドキさせられちゃうのよ。まったくたまらないわ。で、でもね、やっぱり一番はあの狂ったように魔力が混ざった血よ。あんな血は初めて。ゾクゾクしちゃうの。あぁ、早く吸いたいわ」


 ね、熱弁されてらっしゃる……。


 完全に心酔してしまわれている。パパとはまだ会って間もないと聞いた。こんな短期間で心を鷲掴みしてしまうパパはおそらく詐欺師か根っからのヒモ男に違いない。どちらにしろ完全にダメ男であろう。


 こんなにも綺麗でバインバインなママをダメ男にいいようにされてしまっていいのでしょうか……。ふとママの方を見る。おそらくパパを想像しているのだろうママは鏡の前でさらっさらの美しい銀髪の髪先をくるくると弄りながらデレデレしていた。


 とりあえず、母性本能とダメ男に引っ掛かる関係性についての検証とそれに伴う考察をしてみようと思うのです。そのためにはパパに会ってみなければ始まらない。


 ママの気持ちを考えるなら何とかしてこの恋心を成就させてあげたいところだが、本当にどうしようもないダメ男の場合はママのためにも引き離すことも考えなければなるまい。私もボスモンスターとしての矜持がある。なかなかに頭の回るダメパパだと想定して準備を進めましょう。


「ママ、パパの弱点……じゃなかった。苦手な物って何かな。仲良くなれるように知っておきたいの」


「そうねぇ。そういえば『ウィッチ』のおばあさん達には苦手意識があったような……」


「お、おばあさん達は強烈でしゅからね。ほ、他には?」


「他に何かあったかな……ちょっと何も思い浮かばないわ。だってタカシは完璧ですもの」


 好きな人を完璧とか言っちゃうママがすごく心配になってきちゃったけど、まだ矯正は可能だと思いたいところなのです。


「リタ、そろそろお出掛けするわ。髪の毛を結ってあげるからこっちにいらっしゃい」


 私の髪の毛は金色をしている。ママのようにサラサラの銀髪だったらよかったのに、私の髪は少し癖っ毛なので結ってもらわないと外に広がってしまうのです。それにしてもママのバインバインのお胸を背中に感じながらセットしてもらうと女子力の高さに自分自身が悲しくなります。豊胸魔法とか編み出したい気分です。


「リタは大人しくていい子ね。性格はパパに似ているかもしれないわ」


 ちょ、ちょっと考えごとをしていただけですよ。性格がパパ似とか心外なのですよ。私はヒモ幼女ではないのですからね。


 あ、あれっ、でも幼女も基本的に養ってもらう側だけに間違いではないのでしょうか。もっとママの母性本能をくすぐらなければ……。愛玩動物のように寄り添わなければ。


「えー、リタはママに似てると嬉しいなぁ。えへへっ」


「まぁリタったら本当に可愛いわね!」

 はっ!! これは正にヒモ思考なのでは!? お、恐ろしい……。血は繋がってないというのにこんなところでパパしてくるなんて! パパに似ちゃいけないのです。気をつけなければいけません。検証と考察なのです。

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