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第10章 14話

 朝目覚めると顔がとても柔らかい感触に埋もれていた。どうやら寝てしまったようだけど、ちゃんとベッドで横になっていたようだ。ちょっと息苦しいので、どけようとしたら艶かしい変な声が聞こえてくる。


「うぅーん。あんっ」


 僕の頭はティア先生の胸に抱きしめられたまま首をホールドされていた。何故この体勢になっていたのかはわからないけどそろそろ起きないと釜揚げさん達も来てしまう。


「ティア、朝だよ。ほら、起きて」


「んんー。もう一晩……」


 こいつすでに起きているな。


 ぺしっ!


「い、痛いですわ」


 軽くおでこにデコピンをしてティア先生の目を開けさせた。


「起きてるならそろそろ解放してもらえないかな。もうすぐ釜揚げさん達も来るよ」


「もうそんな時間ですの!? お酒のせいで記憶が曖昧ですわ。さては、スケさん図ったわね」


 スケさんは美味しいお酒を提供してくれただけで、もちろん飲み過ぎたティア先生が悪い。


 ようやく解放された僕はカモメ達の様子を見に行くと、すでにダンジョンの外にいるようなので無事乗っ取りは成功しているようだ。


 すると、居住区の方から釜揚げさんがやってきた。


「おはよう。次は『佐賀ダンジョン』に行くんだっけ? これお土産『名物かまど』だよ。卵たっぷりの黄身あんが美味しいから途中で食べてよ」


「ありがとう釜揚げさん。実は来る途中に『名物かまど』の看板広告がいっぱいあったから、相方が気になっていたんだよね」


「それはよかった。昨日はよく眠れたみたいだね。おっぱい枕は寝心地がいいの?」


「み、見てたの!? 居住区から大分離れていたのに……」


「まぁ、普通に『ダンジョンカメラ』あるから。起床したかの確認をしただけだから気にしないでいいよ」


「そ、そう。な、なんか恥ずかしいね……おっ、ティアも準備が出来たようだし、そろそろ出発するとしようかな。何かあったらいつでも連絡してね」


「はい。気をつけていってらっしゃい」


 そう言ってスケさんと一緒に手を振ってお別れをしてくれる。次はようやく『佐賀ダンジョン』か。


 レイコさんとヨルムンガンドちゃんは大丈夫かな。スマホを取り出してレイコさんに連絡をしてみよう。通話ボタンを押してしばらくするとレイコさんと繋がった。


「タカシさん、お疲れさまです」


「あっ、レイコさん。そっちは問題ないかな?」


「はい。大丈夫ですよ。今、『新潟ダンジョン』から『山形ダンジョン』に向かっているところで、ショウさんも同行していただけることになって一緒に向かっているところです」


「そっかそっか。ショウくんは大丈夫だったでしょ?」


「はい。慣れるまで緊張しましたけど本当に良い人になってるんですね。びっくりしましたよ」


「こっちは『香川ダンジョン』を出たとこで、これから『佐賀ダンジョン』に向かうところなんだ」


「そうですか。今日には千葉に戻れそうですか?」


「うーん。どうだろ。『熊本ダンジョン』のリリアさん次第かな。遅くても明日には間違いなく戻るよ」


「わかりました。あと、レヴィちゃんが電話欲しがってましたよ」


「そうなんだ。了解! 後で電話してみるね」


「はい。では頑張ってくださいね」


「うん。じゃあね」



「今のはレイコ?」


「うん、そう。何か話したいことあった?」


「いいわ。後でメッセージいれておきますわ」


 まぁ、山形土産とかの話だろう。


 それにしても何気にスマホも使いこなし始めてきたな。多分、便利なものだとわかっているから覚えるのが早いのかもしれない。てんとう虫さん達とグループメッセージでやり取りしているのは知っているんだからね。


 さて、レヴィにも連絡をいれておこう。と思ってたらちょうど連絡がきた。


「レヴィ?」


「はい。お兄さま。ピースケ様から伝言があったのでご連絡しました」


「ピースケから? 何かあったの?」


「ダンジョン候補が結構な数増えているそうです。さらに、候補は海外にもあると言ってます」


「ピースケにはいつも通り会談の準備を進めておくように言っておいてくれる?」


「はい。ピースケ様もそのつもりで動いているそうです」


「それにしても候補はいくつぐらいあるのかな?」


「国内に五箇所、海外に二箇所だそうです」


「結構増えたんだね。それにしても海外か……。ちなみに海外の候補ってどこかわかる?」


「はい。中国の東北部にある黒竜江省と、マレーシアのペナン島という場所だそうです」


 うん。地名を聞いてもよくわからない。聞いたことあるような場所な気はするんだけど地図みてもすぐに探せないと思う。


「レヴィありがとう。とりあえず今はカモメ対策を優先する。新しいダンジョン候補については帰ってからだね」


「はい、ピースケ様にもそのようにお伝えしておきます」


「じゃあ、よろしくね」


 さて、急ごうか。


「『てんとう虫』さんはいるかな?」


「はっ、ここにおります」


 後ろの茂みからガサッと音をたてながら出てくる。別に隠れてなくていいんだけど……。まぁ、いい。


「アレックス准将に連絡を。移動を急ぎたいんだ。ヘリコプターをすぐにまわしてもらいたい」


「かしこまりました。マスターを離陸可能な場所に案内いたします。どうぞこちらへ」

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