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第10章 12話

 リナちゃんとティア先生は、その後ちゃんと仲直りしてくれたので一安心した。それにしても『静岡ダンジョン』、趣味と実益を兼ね備えたえげつないダンジョンに成長しそうで末恐ろしい。


「マスターリナ。私……ごめんなさい、調子に乗ってましたわ」


「い、いいの。私も勉強になったし。なかなか自分のダンジョンを客観的に見る機会はない。美少女ちゃんのおかげで良い点、悪い点が見えたのは収穫」


「そう……。あの階層は飛行モンスターには対処が必要だと思うけど、あとはかなり完成度が高かったわ。正直甘く見ていたのに……やるわね」


「そ、そう言ってもらえると自信がつく。よ、よかったら『ミニローパー』いる? 美少女ちゃんになら、あ、あげてもいい」


「え、えっと『ローパー』は遠慮しておこうかしら。しばらくは見たくないというか、今は忘れたい気分ですの」


 それからしばらくすると『てんとう虫』さんの乗っ取りが無事完了したとの連絡が入った。


「それじゃあ、そろそろ行くよ。今回はいろいろとご迷惑掛けちゃったね。またね、リナちゃん」


「こちらこそ、カモメ対策ありがと。次はゆっくりしていくといい」


 『静岡ダンジョン』では、いろいろと面白いことを知ることが出来た。モンスターの進化というのは興味深い。実際は退化の可能性もあるから確認が必要だと思うけどね。


「ティア、うちのモンスターならどんな進化が出来たらいいと思う?」


「そうですわね。『グラスウルフ』に羽根を生やせば機動力が更に高まると思いますの」


 なんか別の生き物というかモンスターになってない? そういうのは難しそうな気がする。


 単純に主力モンスターで考えるなら『菜の花』さんの催眠力強化、『てんとう虫』さんのダンジョン外活動時間のアップとかがすぐに浮かぶ。そんなことが出来ればとても喜ばしいことだが、『ローパー』のケースを考えると劣化版の可能性もある。どちらにしろダンジョンに戻ったらじっくり実験してみようとは思う。


「ちなみに聞いてみるけど、水竜は進化する可能性ってあるのかな?」


「竜はあらゆるモンスターの頂点に立つ生物なのです。ナンバーワンなのです。最強理想生物である竜にこれ以上の進化は考えられませんわ」


 本当だろうか。レヴィに言われたらきっと納得しちゃうかもしれないけど、ティア先生に言われると途端に怪しく聞こえるこの不思議さ。


「『ローパー』に負ける最強理想生物か……」


「っく……ちょ、ちょっとハンデを与えすぎたかしら」


「はいはい。じゃあ『香川ダンジョン』に向かおうか」


 岡山までは新幹線、岡山から高松までは快速マリンライナーに乗り換えて向かう。


 到着する頃には夜になっているだろう。ダンジョンを監視するカモメ達は夜間もその場を離れないことは調査済みなので逃げられないようにだけ注意しようと思う。


「タカシ様、『神戸ステーキ弁当』はまだかしら。新幹線の社内在庫で20箱買えるか不安ですわ。新しいスキルはかなり疲労がたまるみたいですの。まったくお腹ペコペコですわ」


「へぇー、そうなんだ……って!? 新スキル覚えたの?」


「『ローパー』達に沈められそうになった時に怒りに燃えて生まれたスキルですわ。『火事場の馬鹿力』というネーミングセンスに欠けるスキルなんですけど短時間のパワーアップと使用後の極度の疲労以外はまだよくわからないスキルですわ」


 火事場の馬鹿力か。イメージしやすいスキルだね。普段は使うことが出来ない眠った力を解放するようなスキルだろう。


「ちゃんと詳細がわかるまでは使わないようにしなよ。体に負担がかかるスキルみたいだし」


「わかりましたわ。とりあえず、『神戸ステーキ弁当』で体力回復に努めますわ」


 新幹線の中であまり目立ってもらいたくないのだけど、ここでなんと『てんとう虫』さんが同行し、僕とティア先生の周辺の指定席を押さえてくれた。更に、カバンの中の『菜の花』さんが然り気無く催眠効果を出すことで僕らに注目が集まらないようにしてくれている。


 スピィィィー スフゥゥゥー


 最初からこうすればよかったのかも。こんなにも楽なんて……。僕の右肩にはお腹いっぱいになって爆睡しているティア先生の頭がある。右腕も抱き締められたままだ。う、動けない……。


 スピィィィー スフゥゥゥー


 ヨダレが凄いことになっているけど、岡山まではゆっくり休ませてあげよう。右腕のおっぱいの感触がとても柔らかいので全部許す。間違って通り過ぎて広島駅に行かないように気をつけよう。

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