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第10章 9話

 『静岡ダンジョン』に行くのは久し振りだ。なぜだろう。あまりいいイメージがない。あの時から約半年が経つ。ローパーとスライムの数はどのくらい増えてしまっているのだろう。どうしよう、急に行きたく無くなってきたな。


 えーっと、アオイちゃんと小太郎(犬)は元気だろうか。会議室のモニター越しでしか見ていないので直接会ったことはないのたが、リナちゃんに頼まれてローパー中毒だった彼女を治癒(キュア)したことがあるのだ。


 アオイちゃんは『静岡ダンジョン』が出来立ての頃に迷いこんでしまいリナちゃんとローパー達に手籠にされた……いや、凌辱されたといってもいい。それから何かに目覚めてしまった二人の関係はいたって良好らしい。


 とてもややこしく、どうでもいいことなのだが、位置付けとしてはリナちゃんのペットがアオイちゃんでアオイちゃんのペットが小太郎(雑種)だ。しかしながら小太郎はアオイちゃんのことをライバルだと思っている節があるらしく主従関係は築けていない。


「ここが『静岡ダンジョン』ですの。予想通り大量のカモメがいますわね。タカシ様、如何なさいますか?」


「そうだね。僕が調整した稲妻(サンダーボルト)を大量に撃つから、動けなくなったカモメ達を手分けして回収しようか」


「えぇ、かしこまりましたわ」


 稲妻(サンダーボルト)×500 ズダンッ!


弱く撃ちだされた稲妻(サンダーボルト)は周辺の木に留まっていたカモメを軒並み落としていく。雷音もそんな大きくは鳴っていないので人が集まるようなこともないはずだ。


 カモメが地面に落下する前にティア先生が回収していく。僕が魔法を放った時には既に動き出していたようだ。さて、僕もどんどん回収しにいこう。


 一応レベルアップしているだけあり、木から落ちてもフラフラとなんとか立ち上がろうとしているカモメもちらほらと見かける。そういった元気のありそうなカモメを優先的に闇の門(シャドウゲート)で回収していく。


「ティア様、こちらの方向は全て捕らえました。回収お願いします」


「えぇ、助かるわ」


 どうやら『てんとう虫』さん達もお手伝いしてくれているようで、10分も掛からずに全てのカモメを回収することに成功した。


「じゃあ『静岡ダンジョン』に入ろうか……」


「なんだか行きたく無さそうに見えますわね」


「い、いや、気のせいだよ。リナちゃんに挨拶してカモメ達を催眠していこう」


 足取り重くダンジョンに入って行くとリナちゃんとアオイちゃんがお出迎えしてくれていた。


「い、いらっしゃい、タカシ。カ、カモメは全部捕らえたの?」


「初めましてアオイです。その節はありがとうございました」


 相変わらず人見知りの吃り口調なリナちゃんと中毒症状がほとんど感じられないアオイちゃんがいた。


「うん、リナちゃんカモメは全部捕らえたよ。アオイちゃんは元気そうで何よりだよ。中毒症状は大丈夫なの?」


「はい。リナお姉様が中毒症状の出ない新種のローパーを生み出すことに成功したので……」


 顔を赤らめて足をモジモジさせながら話すアオイちゃんはやはり我慢の出来ない子に見える。中毒症状の出ないローパーなんてモンスターとして退化しているように思えるのだがいいのだろうか。……いいのだろう。二人の顔が物語っている。


「そ、それに私も治癒(キュア)をお、覚えたのよ」


「なるほどね。それはよかった」


 それにしても、ロ、ローパーの新種……。やはりたどり着いてしまったのか。


「ふふふ……。お、驚いたでしょ? 他にも小型化に成功した新種もいるわ。さ、さぁ、奥で話をしてあげる。そちらの子は確か?」


 こ、小型化って、それも退化してないか? それにしても新種か……。


「あぁ、うちのボスモンスターのティアです」


「す、水竜の子ね。よ、よろしく」


「マスターのリナとアオイね。よろしくですわ」


「リナお姉様のペットのアオイです。よろしくお願いします」


「よ、よろしくですわ」


 おおう。ティア先生も若干引いているように見える。


「奥に行く前にカモメ達に催眠をかけておくね」


 僕はあらかじめ用意しておいた大型のネットを取り出し、動けなくなったカモメ達をどんどん入れていく。あとは『菜の花』&『てんとう虫』さんにお任せしてリナちゃんの話を聞きに行くか。


「な、なんか奥の方でピカピカ光ってますわね」


「あぁ、あれがローパーだよ」


「あ、あれがローパーですのね」

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