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第10章 2話

 どうやらティア先生の胸元をベストポジションと決め込んだウンディーネ。大抵は寝ていることが多いようだ。


 ティア先生も満更でもないようでウンディーネを可愛がっている。ティア先生には意外と姉御肌体質なところがある。グラスウルフの面倒もよくみているし、それなりに慕われてもいる。


 恐らくだがティア先生のことなので打算はあるはずだと推測している。ティア先生は自分の欲望にまっしぐらなので目的のために利用出来るものはまるっと利用するタイプなのだ。それがみんなで一緒に楽しむ場合もあれば、自分一人だけでこそっと楽しむ時もある。大抵は後者の場合が多い。


 僕が九州に行っていた時も『てんとう虫』さん達を集めて、『地の物会議』というものを開催していたらしい。


 内容はもちろん地域の美味しい名産品のチェックなのだが、ここで闇の門(シャドウゲート)という大量に物を持ち帰ることが出来る僕が熊本に向かうことになった。今までは輸送の面で断念せざるを得なかった地の物を取り寄せられるということで、和牛を10頭手配しようとしており、熊本のブランド牛から和王、阿蘇王がピックアップされていた。


「それぞれの特徴を教えてくれるかしら」


「和王は細かいサシの入った極上の霜降り肉でございます」

「阿蘇王は余分な脂分がなく、赤身でほどよい噛みごたえでございます」


「ハーフ&ハーフで」


「ど、どういうことでしょうか!?」

「ま、まさか品種改良!?」

「い、いや、それではあまりにも時間がかかりすぎる」


「ティア様、熊本といえば馬肉でございましょう。重種馬品種であればサシも入って赤身の甘みも十分かと」


「甘いのね! では、馬のハーフ&ハーフにするわ」


 ピザの注文じゃないんだからと思ってしまうが、気を効かせた『てんとう虫』さん達がいずれ品種改良を進めていく可能性がありそうで怖い。僕が持ち帰るのは牛の可能性もあったわけだが、どちらにしろ豚や猪ではないのでオーク達に気を使わなくてよかったのはたまたまだろう……。



 何はともあれ、ウンディーネには今日からレベルアップのため『千葉ダンジョン』の鋸山入口からやってくる米軍、特侵隊の部隊を相手に戦ってもらう。ティア先生にフォローしてもらいながら仕留めてもらうこととなった。


 早速、誘導された部隊が足音とともにやってくる。


「な、なんだお前は!?」

「ウンディーネ、私が瀕死にさせるからあなたが止めを刺しなさい」


 水弾(ウォーターボール)


「ぐぁぁぁぁ!!!」


 壁に叩きつけられて体が動かなくなった隊員を見るとウンディーネはスキルを使用した。


 人間に含まれる水分は60%前後とも言われている。ウンディーネの水操作スキルで一ヶ所に移動させてしまうとどうなるか。


 パァァァン!!!!!!


「ウンディーネ、これはちょっとグロいんじゃないかしら……」


 頭部に集まった水分はその容量を超えた瞬間パァァァンした。頭部以外の部位は干からびてしまったかのように骨と皮を残して萎んでしまっている。


 生物への水操作スキルは対象が瀕死の状態になっていなければ使用出来ないらしい。体の抵抗力があるとうまくいかないとのこと。誰にでも使用出来たら初見殺しもいいところだけに惜しい限りだ。


 パァァァン!!!!!!

 パァァァン!!!!!!

 パァァァン!!!!!!


「ウンディーネ、なるべくこっちに飛ばさないでくれるかしら。ちょっと付いちゃったわね。今日はこれくらいにして温泉に入りません? 初日から飛ばさなくてもいいわ。ゆっくり強くなりましょう」


 ウンディーネはティアの胸元に飛び込むと谷間から顔だけ出してお礼を伝えてきた。


「タカシ様がまた『熊本ダンジョン』に行くようだから次こそは何とかしてお供したいわね。馬肉もよかったけど、やっぱり牛肉も気になるかしら。ウンディーネ、温泉で作戦を練るわ。行きましょう」



 次の『熊本ダンジョン』への同行者については二人ぐらい一緒に行こうと思っている。と僕が告げてしまったことが原因なのか水面下で静かな争いがはじまっているのだ。


「レイコはこの間大阪に行ったのだから候補から外れるかしら」


「そんなこと言うならお願いされて買ってきた大量の『堂島ろーる』渡しませんよ」


「くっ! 卑怯者」


「て、定期的に行くことになるから最初に行く二名は決めといてね」

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