第9章 11話
炎剣
落とし穴に落ちる瞬間なんとか包帯を斬ることが出来た。慌てて炎弾を選択してしまったのは失敗だったか。
土壁
下に落ちる前に体全体を保護するように透明でクッション性の高い素材を纏った。
ボフンッ!
ようやく落とし穴の底に着いたのかと周りを見渡すと真っ白いおばけに囲まれていた。おばけ達は何やら頑張って魔法を使っているように見える。やはり気味が悪い。何か魔法を撃って距離をとろう。アンデッド系に効果のありそうな魔法といえば光属性だよね。ちゃんと習得しています。
聖浄化!
小範囲における光属性の浄化魔法である。効果は絶大のようだ。周辺にいた白いおばけを軒並み消滅させてしまった。どんどんいこうか。
聖浄化! 聖浄化! 聖浄化! 聖浄化!
楽しく聖浄化していたら落とし穴の上から何かでっかいのが降ってきた。
ズガーン!!!!!!
痛っ!!!!! 気づいた時には落とし穴の底に埋まり、左腕からわき腹にかけての感覚がなくなっていた。腕は多分ついている……はず。だけど全く力が入らない。土壁は解除されてしまっている。これを直接食らっていたらヤバかったかもしれない。
隕石か何かが降ってきたかのような衝撃に頭がボーっとしている。何が起きているのか理解が追いついてこない。辺りは血の匂いが充満しているようだけど。こ、これは僕の血か……。
治癒
慌てて魔法を自分に使う。体の回復とともに思考も復活していく。何かに殴られたような痕だった……まさか新手のモンスターか!?
「フンガー!」
ズガーン!!!!!!
「うおぉぉぉ!!!!!」
あ、危なかった……。ちょっと大きい声出ちゃったよ。
僕の頭の右脇にグーパンチが突き刺さっている。間一髪のタイミングで首を捻って避けていた。たまたまというか、本能のようなものだったかもしれない。
すぐに上を見上げるとそこには逆の手を振りかぶっている大男がいた。こいつか! 防御か、攻撃か、どっちにする!? 少しの時間悩んでいると急に体の力が抜けていく。あれっ……何が起こっている……。悩んでる暇なんてないわ!!
「防御しつつ攻撃! 土壁!」
強度の高い防弾ガラスをドリル状にして大男に突き刺しながら真上に勢いよく伸ばしていく。途中で大男の体は半分にちぎれ落ちてきた。
「こ、これで終わりか……はぁ……はぁ……」
体力がかなり消耗している……。足下をみると白いおばけがまた大量に湧いていた。あの大男と一緒に落ちてきたのか……。どうやら体力の消耗はこいつらの魔法かスキルっぽい。
聖浄化! 聖浄化! 聖浄化! 聖浄化!
治癒!
ピコン! レベルが57に上がりました。
うへー、疲れた……。ボスクラスが三体いたのか。さすがにこのクラスのモンスターに連携されると苦労するな。ここに初見の婆さんがいたらもっと面倒なことになってたんじゃないかな。考えるだけで恐ろしい。
身体強化で落とし穴から脱出して、五階層に続く階段を探しながら歩く。周囲を見渡してみるが、どうやらもうモンスターはいなそうだ。白いおばけも見当たらない。すると、リリアさんの眷属と思われるコウモリさんがパタパタと飛んできて僕の頭上をくるくると旋回するとついてこいと言わんばかりに案内を始めてくれた。
ようやくゴールか。ボスモンスターっぽいの倒しちゃったけどリリアさん怒ってないかな。とはいえ、やらなければやられていたかもしれないのだ。そのあたりはきっとわかってくれるだろう。
それよりも何とかして反射魔法を教えてもらいたい。先生が婆さんだった場合は要検討だ。精神的に耐えられそうにない。というか、ゴールしたらご褒美もらえる約束とか別にしてないんだよね。
そんなことを考えていたら五階層に続く階段が見えてきた。リリアさんがいるのかな? さて話をしに行こうか。
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