第1章 14話
「暇っすね」
「最近、野生動物が来ないしね。かなり駆逐しちゃったっぽいね。もうこのレベルアップも終了かぁ」
「あ、あの。キャットフードとは、そんなに美味しいのでしょうか?」
レヴィが興味津々に聞いてくる。食べちゃダメだからね。
「薄味だから僕たちが食べるときっと物足りなく感じるんじゃないかな」
「そうですわ。あれは食感を楽しむもので、味は微妙よレヴィ」
ティア先生すでに食されていらっしゃいます。物知り顔で説明しちゃってるけど、己の欲望にとっても忠実です。さらに、堂々としていらっしゃいます。
みんな最初の頃はポイントもカツカツだったので、僕以外食事をとっていなかったけど、コウモリさんフィーバー以降は一緒に食べるようになった。食べなくても平気だけど、美味しいとかの味覚は感じるので楽しんでいる。
「おっ!何か来たね!」
「あー、ネズミっす」
大分やりすぎたのか、もはやネズミ等の小動物しか来なくなった。チッ。
現在僕のレベルは6のまま据え置きである。ティアやレヴィはレベル3になっている。
鋸山の野生動物さん達どうもありがとうございました。二人とも魔力操作が少しやり易くなったと言っているので、レベルアップの恩恵は見えている数字だけではないのかもしれない。
コウモリさんによる毎日の撃退ポイントがあるとはいえ、そろそろダンジョンしようと思う。
何もしてない訳でもなかったけど、ダンジョン的には、人類に喧嘩を売ってもっと人口減らそうぜ!とかだと思われるので、やはりダンジョンするべきだろう。そろそろダンジョン管理しちゃおっかな。
それなりに準備も整ったし、無理せず進めようとは考えているがやっぱりレベルは上げておきたい。
なので、実験を開始させてもらおう。
◇◇◇◆◆
「あれっ、女の子が助けを呼んでいたと思うんだけど、どこにいったのかしら」
私は登山道を外れて、その女の子を追っていた。
夏なのに髪を覆うような大きめの帽子をかぶっていたのが印象的でとても似合っていた。山ガールの基本は帽子コーデも大事ね。などと考えながら携帯の電波を確認するが問題ないようだ。怪我でもしてる人がいるなら電話しようと思っていた。
すると、山の斜面に洞窟が見えてきて入口付近には帽子が落ちている。間違いない。あの女の子のだ。私は意を決して洞窟の中へ進んだ。
「ねぇ?ここにいるんでしょ。返事をして!大丈夫?」
「奥にいます!連れが怪我をしていて動かせないんです」
「わかったわ。ちょっと待ってて。今行くから!」
私は何も考えずに細い洞窟の道を進んでいき、さらに進んでいくと少し拓けた場所にでた。
そこは一面黄色い菜の花が咲き乱れている一種異様な光景に思えたけど、その時は帽子を落とした女の子とその側で怪我をして横たわっている女の子の姿に目を奪われていて、まったく気にもならなかった。
夏に、菜の花が咲いているはずがないのに。
キレイな青い髪。人間離れした美しい容姿に目が離せない。よく見ると目も青い。カラーコンタクトやウィッグなどではない間違いなく本物の美。肌は透き通るような白。美しいという言葉しか出てこない。
菜の花の香りが鼻腔をくすぐる。とてもキレイな景色。それになんだかとても気分がいい。わたし何でここに来たんだっけ。あ、れ、なにも思い出せない。そこで、私の意識は途絶えた。
「お姉さま、もう大丈夫そうです」
その声でティアは覚えたばかりの氷属性魔法『氷結』を止まった心臓から離した。
ピコン!侵入者を討伐しました。
討伐ポイント2万P取得。
「ティアお疲れさま。さて、ここからだよ」
僕が目を向けた先には『てんとう虫』。
てんとう虫は倒れている女性の耳から体内へと侵入し、しばらくすると脳に寄生した。
そして、ゆっくりと女性は立ち上がりこう言った。
「マスターご指示を」
うん。第一段階成功だ。