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第9章 8話

 薄暗い月明かりの中、さっそく四階層のモンスターを見つけた。ふわふわと漂うように浮かぶ白いおばけ。もしくは幽霊なのか? 見た目を説明すると小さな手はあるけど足は無く、白い布のような物をかぶって、そこに目と口が貼り付いているのをイメージしてもらえればだいたい合ってると思う。


 どうやら白いおばけはこちらには関心が無いようで、僕の方を一切見向きもしない。なんなら僕が近づこうとすると離れていくぐらいだ。また変なスキル持ちとかだと困るし、攻撃してこないならそれはそれで助かるんだけど……。


「またしても不気味なモンスターだな……」


「そうか? あれはあれで、結構かわいいと思ってるんだがな」


 び、びっくりした……。入口のすぐ脇にダンジョンを案内してくれた狼男が立っていた。


「ここのダンジョンモンスターは特殊なのが多いイメージを勝手ながら思ってしまっているんだよね」


「他のダンジョンのことはあんま知らねぇから、そんな特殊なイメージはなかったな。たまには外の奴と話をするのも意外といいのかも知れねぇな」


「そうだね。僕も復活組の人達には興味があるんだ。いろいろと情報交換したいな」


「まぁ、それはこの階層を突破してから考えろよ。それとも、もう突破した気になってやがるのか?」


 好戦的な狼男だ。月明かりのフロアだと更に強くなるとかあったら困る。結構スピードあったから面倒くさそうだよね。


「いやいや、ボスモンスターのいる階層だからね。今までのように簡単にはいかないと思ってるよ」


「……簡単ね。単独での探索で四階層に来たのはお前とあと一人ぐらいだ。しかもそいつは二日掛けてやっとだぜ。お前は一時間も掛かってねぇだろ。何をやったらそんな早く攻略出来るんだよ」


 二日間も婆さんと戯れるなんて想像するだけで吐き気がしてくるな。あそこのフロアは匂いも酷かったし食欲不振になりそうだ。


「ほら、僕ってスピードタイプだし」


「姫様は、典型的な魔法使いタイプだと言ってたぞ。ここまで速かったのは魔法のおかげなのか?」


 バ、バレてたか……。でも僕がここまでどんな魔法を使ってきたかは知らないはずだ。


「魔法も割りと得意なんだよね。戦わないと攻略スピードも上がるしさ」


「一階層は一分掛からず全滅だったらしいじゃねぇか」


 チッ、知ってやがったか。


「相性的なやつかもね。きっと運がよかったんじゃないかな」


「ふぅー。そろそろ、お互い探り合いもやめるか。さぁ殺り合おうぜ」


 こういうタイプとはまずは距離をとりたい。よくわからない攻撃は不気味に思えて近寄りたいとは思わないだろう。さぁ、未知との遭遇をしてもらおうじゃないか。


 水弾(ウォーターボール)×10


 久し振りに出したのは、水溶性の強酸をイメージした水弾(ウォーターボール)だ。僕の周りを囲うように浮かぶ水弾(ウォーターボール)は結構な異臭を放っている。狼な君の鼻には強烈に感じているだろう。鼻の上と眉間に深いしわが入っている。


「お、おい! な、なんだその魔法は!」


水弾(ウォーターボール)だけど」


「嘘つけ!」


 スーッと一つの水弾(ウォーターボール)が狼男に向かって進んでいくと、慌てて10メートルほどバックしながら避けた。よし、距離があいた。成功だ。


 土棘(アースニードル)


「うぉっと! あぶねーな」


「隙あり!」


 バシャッ!


 先ほど撃った水弾(ウォーターボール)がUターンしていて狼男の右足を捉えた。


「ぐぅぉぉぉぉ!! ひ、皮膚が焼けるように……っく」


 軽く足を引き摺りながら尚もさがっていく。そこまで大きいダメージでは無さそうだけど足に当てられたのはよかった。これで少しはスピードも落ちるだろう。残りの水弾(ウォーターボール)も全て追尾機能で狼男を追っていく。何発避けられるかな。


 雷鳥(サンダーバード)×4


さて、僕も追いかけようか。どうやらこの階層には罠があまりないようだ。雷鳥(サンダーバード)は大人しく僕の周りに待機している。油断はしてないけど、これはなんとかゴール出来そうな予感。


 僕は闇の門(シャドウゲート)から取り出した魔力回復薬をグビッと飲み干しながら五階層を目指していった。

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