第9章 7話
ゆらゆらと間合いを詰めてくるカボチャが不気味すぎる。カボチャにのみ攻撃しないように設定し直して再度、雷鳥を出した。
雷鳥×4
僕はカボチャから少し距離をとり魔法を撃ってみようと思う。なんだか怖いので念の為、防御体制も整えておこう。このパターンは自爆して爆発するやつだと思うんだ。
水弾 水弾 土壁!
シュルシュルシュルー!!
ドカッ! ドカーン!! ボカッ、ズガガーン!!!
何故か一面焼け野原になってしまった……。
一回り大きなサイズになったカボチャに狙いを定め攻撃すると、二回目の攻撃で更に倍の大きさなり、三回目の攻撃でカボチャは盛大に爆発した。ここまでは正直、予想通りだったのだが……。
悪いことにその爆発が他のカボチャの爆発を誘発させて、気付いたときには一面焼け野原の大爆発が起きてしまったのだ。
目で見える範囲にカボチャはいない。軒並み爆死だ。
カボチャ一体の爆発範囲は約五メートル程度か。一体ならまだしも、連鎖するのが恐ろしいな……。これ、一人攻略だったからいいけど周りに人がいたら大変なことになってた気がする。とりあえず離れた場所から攻撃しておいてよかった。土壁した意味はなかったけど、透明な壁から安心して状況を確認することができた。
確かあのカボチャ、最初は地面に埋まっていたよな。ということは、絶対零度で地面をカチコチに凍らせれば出てこれないかも。万が一出てきたら、そのまま追加二発で爆発させてしまえばいい。さくっと進もうか。
絶対零度!
魔法が発動すると一気に階層全体が氷の世界に変わっていく。すると離れた場所からもの凄い爆発音が次々に鳴り響いた。間違いなくカボチャが爆発してる音のようだけど、一回の攻撃で爆発するのは予想外だった。
ピコン! レベルが54に上がりました。
ど、どうやらちゃんと倒せているみたいだ。回数では無く威力の問題だったのかな? それにしてもこのダンジョンには謎モンスターが多くて気が抜けない。とりあえずは、罠に気をつけて雷鳥さんと一気に進もう。
ジャック・オ・ランタン
レベル1
体力300
魔力160
攻撃力0
守備力0
素早さ10
魔法:火属性初級
スキル:自爆レベル1
相変わらず罠の多いダンジョンだけど、多すぎると階層にいるモンスターも大変そうだと思う。これじゃあ、うかつに散歩もできないし昼寝もできないよ。あっ、ダンジョンはそんな場所じゃないって? わかってるけど、嫌になるくらい雷鳥さん大活躍ですよ。
ズダーン! ズダーン! ズダーン! ズダーン!
落とし穴、たらい、落とし穴、虎ばさみ。
相変わらずの定番罠だらけ。もっとこう罠っていろいろあると思うんだ。この何の意味も脈絡もなく多発する罠……これはあきらかに時間稼ぎじゃないかな。
どうやら、僕が予想以上に進んでいるのを足止めしようとしてるのだろう。でもコウモリさんを見かけないからリリアさんはこちらの状況をわかってないはずなんだけどな……。
しばらく進むと四階層の階段が見えてきた。これで次が最後の階層か。ゾンビに婆さんにカボチャ。次は一体何が出てくるのか。
僕はゆっくり様子を伺いながら階段を降りていった。四階層も月明かりのみの薄暗い階層だった。
◇◇◇◆◆
「ん……うん。あ、れ? ここは……。そ、そうか私は気を失ってしまったのだな……」
気持ち良すぎて気を失ったなんて恥ずかしすぎる……み、みなに知られたくないな……。
「リリア、起きたのね。下着は替えておいたわ」
い、いきなりバレてる……。すぐさま下着を確認すると上下共に新しくなっていた……。
「れ、れれれ蓮子!!」
「みんなには知られてないから安心して」
「そ、そうか……」
「そんなによかったの?」
「き、聞くな!」
「こんなにも感情が露わなリリアはめずらしいわ」
「そ、そういえば、タカシはどこまで進んでいるのだ」
「彼は間もなく四階層に入るわよ」
「なっ! 時間はどのくらいだ!」
「一時間掛かってないわね。リリア、彼は何者なの?」
「わ、わからん。只者ではないと思っていたが、これほどとは……。このままうちのダンジョン攻略されないよな?」
「このままのペースなら夕方ぐらいには攻略される勢いね」
「い、いかんぞ。五階層に来たら何か褒美を取らせてでも攻略を止めねばならん」
「そういえば、フランケンも四階層に向かったわ」
「うちのメインボス三人掛かりか……。奴等がやられたら、わ、私がタカシの妻となることで許してもらおう」
「そんなによかったの?」
「き、聞くなー!!!」
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