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第9章 6話

 雷鳥(サンダーバード)を消し去ると、婆さん達に動きがあった。なんと、闇の門(シャドウゲート)から(ほうき)を取り出すとまたがって空中を飛び始めたのだ。なんと魔女っぽい。その(ほうき)とっても欲しい。


 婆さん達は魔法アイテム的な物をよく使うようだけど、『千葉ダンジョン』では婆さん達が使っているような魔法アイテムは交換出来ない。また知りたいことが増えたな……。そんなことを考えていると婆さん達は僕の周りを囲うように上空から惜しげもなくパンチラしてくるのだった。


「くっ! な、なんだこの精神攻撃は……えげつないな」


 ピンクや赤、紫などの色鮮やかなパンツが空からこれでもかと主張してくる。な、なんて恐ろしい階層なんだ……。


「イヒヒヒヒッ! 逃げられないよ」


 何から逃げられないのだろう。パンツか! パンツなのか!


 いろいろと面倒臭くなった僕は少し考えると、身体強化(ストレングスン)したままだったことを思い出した。


「あっ! パン釜が燃えてる!」


 僕は遠くを指差して婆さんの目線を一ヶ所に向けた。


「な、なんじゃと!」


 婆さん全員がパン釜を気にするように僕の指差す方向を見ていた。まさかの全員が引っ掛かるという……。僕はその隙に、がら空きになっている三階層入口へ普通に走っていった。


「あぁぁぁ! ま、待て小僧ぉぉ!!!」

「キー!! 我らの必殺技を……」

「パンツ観賞代払えぇ!」


 後ろから声が聞こえてくるも魔法を撃ってくる気配もなかった。悔しそうに必殺技ぁとか、観賞代とか言ってる時点で、やはりわざとみせてやがったな……。逆にこっちがお金を貰いたいぐらいだ。必殺技だって、きっとパンモロフラッシュとかに違いない。


 なんというかこの階層は精神的にかなり苦戦してしまった。ちょっと休憩したい気分。


 素早く階段を駆け抜けると二階層から三階層に婆さん達が来ないかと、しばらく様子を見ていたが足音も聞こえない。


 どうやら婆さん達は下の階層にはこれないようだ。ダンジョン内のルール的なものかもしれない。これはこれでいいことを知った。四階層にはスピードタイプの狼男が控えている。うまくやりすごして、五階層を目指すというのも頭に入れておこう。


 ちなみに、逆の場合はどうだろう。二階層で婆さんを引き連れて一階層に戻った場合、婆さん達は追い掛けて来るのだろうか。もし追い掛けてこれるならばモンスタートレインのようなことが起こりうる。


 これが可能なら戦略的にモンスタートレインを引き起こすことが出来る。戦略の幅が広がるかもしれない。やっぱり他のダンジョンを見るといろいろと面白い考えが浮かんでくるし、考えることも増えて勉強になるようだ。


「とりあえず、この階層に婆さんがいないことを祈ろう」


 三階層を見渡すと月明かりの薄暗い夜が広がっていた。さっきのフロアが一面パステルカラーだったこともあり、いきなりの夜に目が慣れるまで時間がかかる。なかなか考えられている気がする。


 僕だったらここで時間を掛けずに仕掛ける。なので、雷鳥(サンダーバード)をすぐに呼ぶ。明るくなるしね。


 雷鳥(サンダーバード)×4

 キュルルー キュルルー


 今回大活躍の雷鳥(サンダーバード)さん。キュルキュル言いながらも僕の周りを離れない。つまり仕掛けなし……か。と思われたが、一体が反応して飛んでいった。罠かな?


 約200メートル先で稲妻(サンダーボルト)が鳴り響くと、それが合図だったのか周辺から次々にカボチャが這い出てきた。


 カボチャは目と鼻と口がくり抜かれ中から炎の光が洩れている。手足や胴体はなく、ゆらゆらと空中を漂う。


 雷鳥(サンダーバード)稲妻(サンダーボルト)を撃ちまくる。


ズダーン! ズダーン! ズダーン! ズダーン!


「ス、ストップ!!」


 あれっ、様子がおかしい。魔法攻撃を受けたカボチャが一回り大きくなっている気がする。まさかとは思うけど、まさかするのだろうか。


 カボチャは何も喋らずにじわりじわりと不気味に近づいてくる。あぁ、モンスター図鑑がすごく欲しい。モンスターの生態がわからないとこういう時困る。


 攻撃が効いているのかわからないし、困ったな。さて、どうしようか。

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