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第9章 4話

 二階層に進むと一階層とはまるで逆の印象となるメルヘンチックな光景が広がっていた。色合いはパステルカラー。ふわふわした雰囲気が続いている。あれだ、童話でお菓子の家とかあるイメージそのままの世界。森の中にお菓子の家が点在している。


「匂いがひどいな……」


 甘く美味しそうな匂いを想像していたら悪いけど、決してそんな感じではない。森の木々はチョコレートで出来ているのだろう。カカオの匂いが強烈過ぎて鼻が痛い。次に生クリームの甘ったるい香りもキツい。これらは少量だから美味しく、いい香りなのであって、大量にフロア全体が甘味だと鼻がとても耐えられない。チョコレート工場とかで働いてる人は絶対鼻栓してるんじゃないかな。


「それにしてもこの匂い、どうにかならないかなぁ。また凍らせた方がいいかも」


「そ、そこのお方、た、助けておくれ。こ、腰が……」


 見ると老婆が腰を痛めたようで座り込んでいる。あからさまに怪しい。見た目は魔法使いでやや小さい。座ってるからわからないけど多分、身長は130センチぐらいだろう。とりあえず腰に効きそうな魔法を撃ってあげよう。


 稲妻(サンダーボルト)


「引っ掛けじゃ反射(ミラー)!」


 スターン!


「うぉぉぉ!! そんなのあり?」


 跳ね返ってきた稲妻(サンダーボルト)が僕の身体を駆け抜けた。よ、弱めにしといてよかった。あんな魔法あったのか。こ、これじゃあ、うかつに強めの魔法が撃てなくなったな。


「チッ、ほぼ無傷じゃないかい!」


 そう言って老婆はお菓子の家にダッシュで逃げ込んだ。おい、腰はどうした。それにしても、またあからさまに誘ってくる。家ごと壊してもいいんだけど、僕に初めて攻撃を通したことに敬意を評し、乗っかってあげようじゃないか。僕はお菓子の家に歩いていくとビスケットで出来た扉を開いて家の中に入った。


「いらっしゃい。お腹減っただろ? 今ちょうどパンを焼いていたんだよ。奥のパン釜に行って焼き具合を見てきておくれ。あたしゃ、お茶でも用意しようかね。よいしょっと」


 家に入ると急に老婆の芝居が始まっていた。この婆、ためらいもないな。婆はお湯の沸いたやかんがあるキッチンの方へ向かう。その際、何気ない感じでスッと通路側のスペースをあけて奥に進ませようとする。あ、あざとい。


「パンの焼け具合を確認すればいいんだね?」


「あぁ、頼むよ。あたしゃ、美味しいローズヒップティーをいれようかね」


 パン釜の扉を開いて中に入ると、ドタバタと走る音が聞こえてガチャリと鍵をかける音が聞こえた。


「ヒャッハッハッ! この鍵は魔法アイテムで外側からしか開けられないんだよ。熱いパン釜で一緒に焼けちまいな」


 氷結(フリーズ)

 土棘(アースニードル)


 バリバリバリッ! ズガーン!!!!


 僕はパン釜に閉じ込められた後、美味しそうに焼けたパンを回収すると釜に向かって氷結(フリーズ)し、鍵のかかった扉の横を土棘(アースニードル)して壁を破壊して戻ってきた。


「パン、ちゃんと焼けてたよ。紅茶はまだ?」


「……こ、紅茶ね。美味しいローズヒップティーはあと一分くらい蒸らさないとね。パンはテーブルにおいてあるナイフでカットしといてちょうだいな」


 婆、まだ続けるつもりか。揺るぎないな。何やらこそこそやってるけど、それで隠しているつもりか。


「おい、毒入れても意味ないからな」


 ビクッ!!


 やはり、やるつもりだったな婆。


「な、何を言うかねぇ。そんな失礼なことしませんよ。はい、どうぞ。熱いから気をつけなさい」


 薔薇の香りがとてもいい。婆、なかなかいい紅茶を淹れるじゃないか。


「ゴ、ゴフォッ!!」


 治癒(キュア)


「婆、テメー、やりやがったな!」


 明らかにバレバレの状況から毒を入れてきやがった。なかなかいい根性をしているじゃねぇか。


 ただ、この婆の反射する魔法は聞いたことがない。何とかして聞き出したい。さて、どうしたものか。


ウィッチ

レベル4

体力50

魔力80

攻撃力10

守備力10

素早さ20

魔法:火属性初級、闇属性初級、特異属性初級

続きが気になった方は、ブクマやポイント評価を頂けると作者のモチベーションアップに繋がります。

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